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第176話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の五十

 冷たい空気が張り詰める鍾乳洞の奥。


 マナは足元から這い上がるような恐怖に全身を支配されていた。


 暗闇の中、足音が反響し、遥か上空ではスカイスネークの群れが蠢いている。


 彼らの羽ばたき音が、不気味な静けさの中でさらに緊張感を煽る。


 奥から巨大な気配が近づいてくるのを感じ、マナは息を呑んだ。


 その気配は普通の魔獣とは異なり、圧倒的な存在感と威圧感を放っていた。


「これ以上進むのは危険……」


 そう言いながら、マナは腕に抱いていた子猫を優しく撫で、守ろうとした。しかし、子猫は低い唸り声を上げると、マナの手からするりと逃げ出した。


「猫ちゃん、待って!」


 マナの声も届かず、子猫は暗闇の奥へと駆け出していった。


 その瞬間、広間のさらに奥から地響きのような音が響き、巨大な影が姿を現した。


 それは双頭蛇――大地を揺るがすほどの巨大な双頭の蛇だった。


 その体は岩石のように硬く、鱗は青黒く光を反射している。


 一頭はマナに威嚇するように睨みつけ、もう一頭は何かを咥えていた。


「マノ!?」


 マナの叫びが洞窟内に響き渡った。


 咥えられているのは双子の姉、マノだった。


 彼女の体はぐったりと垂れ下がり、意識があるのかどうかも分からない。


「マノを放して!」


 マナは恐怖を振り払うように叫びながら鞄を開け、中から金属の棒を取り出した。


 それを思い切り振り下ろし、鋭い音を響かせる。


 しかし、その音は効果がなかった。双頭蛇はさらに威圧感を強めるだけだった。


 そんな中、子猫が再びマナの前に現れた。


 その小さな体は震えていたが、その瞳には鋭い光が宿っている。


 そして、信じられないことに子猫の体が輝き始めた。


「え……何なの……?」


 マナの目の前で、子猫は驚異的な速さで成長していく。


 小さかった子猫は次第に巨大化し、その姿はまるで獅子と虎が融合したような威厳ある魔獣へと変貌を遂げた。


 牙を剥き出しにし、双頭蛇に向かって轟音のような咆哮を放つ。


「ニャアアアアオオオオーン!」


 その咆哮は洞窟全体を揺るがし、スカイスネークの群れが一斉に飛び立っていく。


 その姿に一瞬ひるんだ双頭蛇だったが、すぐに敵意を取り戻し、一頭が猫の魔獣に向かって猛然と襲いかかってきた。


 双頭蛇の一頭が牙を剥き出しにして猫の魔獣を目がけて突進してきた。


 しかし、猫の魔獣はその動きを見切り、鋭いジャンプでかわした。


 そして、巨大な爪を振り下ろし、双頭蛇の鱗を裂いた。


 飛び散る青黒い血が洞窟の地面に染み込む。


「すごい!あなた魔獣だったのね」


 マナは一瞬の勝利に歓喜したが、双頭蛇は怯むどころかさらに怒りを募らせたようだった。


 咆哮を上げ、その巨体をくねらせながら攻撃を仕掛けてきた。


「危ない!」


 双頭蛇の片方の頭がマナに向かって突進してきた。


 その瞬間、猫の魔獣が割って入り、巨体でその攻撃を受け止めた。


 二体の巨獣がぶつかり合い、洞窟全体が揺れる。


 猫の魔獣は双頭蛇の首元に噛みつき、激しい攻防を繰り広げた。


 しかし、蛇の反撃も凄まじく、猫の魔獣の体が何度も地面に叩きつけられる。


「このままじゃ……!」


 マナは背中の鞄を開け、中から父親が護身用に持たせてくれた魔力弓を取り出した。


 それはトラ耳族に伝わる特殊な武器で、魔力を込めることで矢を生成し放つことができる。


「私も……戦う!」


 マナは魔力弓を構え、双頭蛇の一頭に狙いを定めた。集中し、魔力を矢に込める。


 放たれた矢は青白い光を放ちながら飛び、蛇の片目に突き刺さった。


「ギャアアアアア!」


 双頭蛇は激痛に咆哮し、頭を激しく振り回した。


 その隙を逃さず、猫の魔獣はもう一頭の蛇に鋭い爪を振り下ろし、その鱗を引き裂いた。


 だが、双頭蛇はまだ力尽きていなかった。


 残った片目でマナを見据え、最後の力を振り絞って突進してきた。


「これで終わらせる!」


 マナは再び弓を構えた。


 今度は全身全霊を込めた一撃。


 放たれた矢は洞窟内を貫くような光を放ち、双頭蛇の心臓部に突き刺さった。


 その瞬間、双頭龍はその場に崩れ落ちピクリとも動かなくなった。


「やった!あと一匹、マノ!待ってて!」


 もう一頭の蛇――マノを咥えた蛇は、巨大な体を必死でくねらせる。


「何してるの……これ?」


 マナが驚きの声を上げた瞬間、双頭蛇の体が不気味に輝き始めた。


 その光は裂け目のように広がり、蛇の巨大な体が二つに分裂した。


「嘘でしょ!?」


 驚くマナの隙をついて、分裂したもう一頭の蛇は、マノを咥えたまま洞窟の奥へと逃げていく。


「マノを咥えた方が逃げた……!」


 マナは焦りのあまり、その場で立ち尽くしたが、すぐに心を奮い立たせた。


「追いかけるしかない……!」


 彼女は懐から取り出した魔力弓を握り締め、逃げた蛇の後を追おうとする。


「マノ! 待って、行かないで!」


 マナは必死に追いかけようとするが、足元に転がる瓦礫に阻まれ、思うように進むことができない。


 すると猫の魔獣がマナに体をすり寄せると、マノの体は宙に浮き猫の魔獣の背中に乗っかった。


 「あなた……これ」


 驚いたマナは猫の魔獣に語りかける。


 「ンニャオン!」


 猫の魔獣は返事を返すように鳴いた。


 「驚いた!私の言葉が分かるのね」


 マノは驚きながらも半信半疑で語りかける。


「猫の魔獣さん。お願い。マナを助けてください」


 その瞬間、逃げた蛇の後を追って洞窟の奥へ。


 猫の魔獣は風のように走り出した。


 トラ耳族のマナが双子の姉マノを救うため双頭蛇に挑む。双頭蛇が姉を捕え、絶望的な状況に立たされるマナ。そんな中、子猫が猫の魔獣へと覚醒し、マナと共に戦いを繰り広げる。魔力弓を手に立ち向かうマナの決意と、猫の魔獣の助けを得て、双頭蛇の一頭を倒すことに成功する。だが双頭蛇は分裂し、マノを咥えた蛇を逃してしまう。危機的な状況の中、猫の魔獣の力を借り新たにマノを救う決心をするマナであった――。

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