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第170話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の四十四

「ふぅ……今日も一日いろいろあったわね」


 とセルフィは大きなあくびをしながら、目をこすった。


 リリカやレオン達が温泉を堪能しているころ、セルフィはレオンの勧めもあって一足先に寝る事にした。


 テントに戻ると寝る準備を整えたステラが出迎える。


「おかえりセルフィ、ご苦労様」


「ステラ様、わざわざこんな……私の仕事なのに……」


 セルフィは慌ててステラに駆け寄った。


「いいのよ。毛布を敷いただけだもの。それよりもリリカ達はどう?」


「はい、温泉を堪能している頃でしょう。リリカ様の面倒はレオンに任せてあります」


 ステラは頷きながら


「そう、正直今日はもうヘトヘトなの」


 と微笑んだ。


 セルフィはステラを見て内心少ほっとしていた。


 改めて彼女が頼もしいリーダーあることを感じていた。


 しかし、セルフィがふと思い出したように


「あの……見張りはどうすれば……?私、レオンと交替でやりますね」


「いいのよ、セルフィ。ヤマタイコクの警備兵が見張りをかって出てくれたわ。カガリとカズチもいるしね。もう寝ましょう。睡眠は大事よ。明日に備えてゆっくり休みましょう」


 とステラが背伸びをしながら言った。


 ステラはセルフィを見つめ笑顔を浮かべながら、


「さあ、セルフィ一緒に寝ましょう。広いテントだし、いいわよね?」


 と提案した。


「え?あの……私が……?ステラ様のテントに……いいのですか?」


 セルフィが明らかに動揺しながら言った。


 するとステラがポンポンと毛布をたたきながら手招きして言った


「いいから。セルフィ、こっちにおいで」


 そう言ってステラはセルフィの手を取り隣で寝るよう促した。


 ステラとセルフィは手をつないだまま毛布に横になった。


「この毛布、寝心地は良さそうね」


 ステラはは満足げに言い、セルフィに寄り添うようにして目を閉じた。


「おやすみ、セルフィ」


 とステラが優しく言うと、リリカも


「おやすみなさい。ステラ様」


 と返した。


 しばらくすると、遠くにリリカの笑い声が聞こえた。


「クス、リリカ様ったら本当に元気なんだから……」


 思わず笑みを浮かべて囁いた。


 ふと目を開くとステラが穏やかな寝息が立てている。


 ステラは疲れからか、既に深い眠りに落ちているようだ。


 しかし、セルフィはなかなか眠りにつけなかった。


 彼女は興奮と緊張で寝るどころではなかった。


 目の前にステラにいる、しかもいつの間にかステラと手を握りあっているという特殊な状況は、セルフィの心を躍らせるには十分だった。


「こっこれは……確か以前にもあったわね……なんて幸せな状況なのかしら……!」


 セルフィは心の中で呟いた。 


 静寂の中、スカイポプラの明かりが、二人を照らしている。


 ステラの寝顔に目をやると、セルフィは胸の高鳴りを抑えきれなかった。


 ステラの安心しきった穏やかな顔、そして白く輝く絹のような肌、時おりかすかに聞こえる柔らかな呼吸。


 その全てが、セルフィにとって夢のような光景だった。


「ステラ様……」


 思わずその名前が口をついて出る。


 セルフィは、抑えられない衝動に突き動かされるように、


 そっと体を移動させ、ステラの顔をさらに近くで見つめた。


 白く光るスカイポプラの粒子の下で輝くその姿は、まるで幻想のようだった。


 普段の冷静で毅然とした彼女とは違い、今のステラはただ無防備で、甘美な魅力に溢れている。


「こんなに近くでまたステラ様の顔を見つめられるなんて……幸せ……」


 セルフィはその優雅な寝顔に手を伸ばし、思わずステラの猫耳に触れた。


 柔らかい手触りが指に伝わり、心臓が一瞬止まりそうになるほどの幸福感が広がる。


 その感触を確かめるように、セルフィはゆっくりと撫で始めた。


「こんなに……ふわふわで……」


 触れるたびに、猫耳がピクリと動く。


「キャ!なんてかわいい猫耳!」


 セルフィの心はどんどん深い快感に包まれていった。もっと触りたい、もっと近づきたい。


 そう思いながら、指先で猫耳を優しくなぞり続ける。


 ステラの体は薄い光魔法の幕で包まれているかのようで、彼女の頬に触れるとまるで柔らかい絹に触れるような感触がした。


「ステラ様の肌……こんなに滑らかで……」


 指先が滑らかな頬に触れると、セルフィはさらにその魅力に引き込まれていく。


 ステラの唇が少し開き、静かな寝息が彼女の耳元に届くたび、胸が高鳴る。


 もっと触れたい、もっとこの瞬間を味わいたい。そんな欲望が抑えられなくなってきた。


「ステラ様……」


 セルフィが夢中でステラの頬を撫でていると、突然ステラが抱きついて胸元に顔をうずめてきた。


「ヒャッ!ス、ステラ様……!?」


 セルフィは驚きつつも、心がさらに揺れ動く。ステラは子供のようにセルフィに甘え、その顔を彼女の胸元にグイグイと埋めてくる。


「セルフィ……いい匂い……」


 ステラのの甘い囁きが、心地よく耳に響く。


 その声に、セルフィはさらに体が熱くなるのを感じた。


 ステラの柔らかい体がぴったりと寄り添い、温かさが伝わってくる。


「ステラ様……なんていい香り……」


 セルフィはステラの耳を優しく撫で、心の中でさらに興奮が高まっていく。


 彼女の柔らかな髪と耳、そして甘い囁きに包まれながら、セルフィは幸福の絶頂にいた。


 ステラの無防備な体を抱きしめているうちに、セルフィの中でさらに愛おしさが膨らんでいく。


 ステラが眠っている間だけ、セルフィはこの瞬間を自分だけのものにしたいと強く願った。


「猫神様……ありがとうございます……」


 ステラに抱きつかれ、なかなか寝付けないセルフィ。普段は強気で頼もしい彼女が、大好きなステラに触れることで心を満たされ、幸せを感じている。二人だけの甘美な時間を楽しみながら、いつまでもその幸福感に包まれていたいと願うセルフィであった――。

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