表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

167/196

第167話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の四十一

 温泉を出たリリカをセルフィが迎える。


 柔らかなタオルを差し出すセルフィの表情はいつも通り優しさに満ちている。


「リリカ様、お湯加減はどうでした? こちらで髪を乾かしますね。」


 リリカは少し照れくさそうに微笑みながら、セルフィに髪を預ける。


「ありがとう、セルフィ。でも、自分でやるから大丈夫だよ!」


「いいえ、私に任せてください。せっかく温泉で体を癒されたのですから、しっかりとケアしないといけません。」


 セルフィの甲斐甲斐しい手つきで、リリカの髪は丁寧に乾かされ、ふんわりとした艶やかさを取り戻していく。


 その様子を見てリリカは満足そうに頷いた。


「セルフィ、冷たいハーブティーが飲みたい」


 セルフィは微笑みを浮かべながら、リリカの肩にそっと手を置く。


「ちゃんとご用意しております」


 その時、レオンが近づいてきた。


 彼は周囲を見回しながら尋ねる。


「セルフィ、ステラ様は?」


「ええ、先程までエルン隊長と何か話していたけれど、もうテントでお休みに」


 レオンは軽く頷き


「セルフィ、君も疲れたろう。そろそろ休んだら?」


 傍らでチャチャと遊ぶリリカを横目にセルフィは少し微笑みながら


「じゃあ、レオン、お言葉に甘えるわ。リリカ様を寝かしつけたら私達のテントまでお願い」


「ああ、ハーブティーありがとう。いただくよ」


 レオンが笑顔で答えると、セルフィは両手をレオンの首に回して抱き寄せる。


「おやすみ、レオン」


 セルフィはレオンの耳元で囁く。


 そして二人は見つめ合い口づけを交わした。


 セルフィがテントに戻った後、リリカはレオンに向かって、期待に満ちた瞳で声を上げる。


「ねえ、レオン。ハーブティーは?」


 その言葉に、レオンは笑みを浮かべながら、手際よく魔法で氷を作り、香り高いハーブティーを淹れると、その香りが広がった。


 リリカ、カガリ、カズチにカップが渡され、それぞれが一口含むと、穏やかな笑みを浮かべる。


「わあ、冷たくて美味しい!」


 リリカは満足げに声を上げた。


 カガリも静かに頷きながら言った。


「これはいい香りだな……地上にはこんな贅沢な飲み物があるのか!」


 レオンは微笑みながら答える。


「エルフェリア王国ではよく飲まれるんだ。セルフィの特製ハーブティーは疲れた体を癒すには最適だ」


 ハーブティーを飲み終えたリリカはチャチャを相手に遊びに夢中だ。


 三毛猫の姿に戻ったチャチャはリリカの膝に丸くなり、ゴロゴロと喉を鳴らしている。


 その可愛らしい姿に、リリカはつい夢中になって撫で続けた。


「チャチャは本当に可愛いね!」


 しかし、やがてリリカは眠気に負け、チャチャを抱きながらそのまま眠りに落ちてしまった。


 カガリがその様子を見ながらふと火を見つめ、ぽつりと呟いた。


「しかし……この辺りの景色もすっかり変わってしまったな。あの城も跡形もない……」


 その言葉に、カズチも静かに頷きながら続けた。


「ナーガとの戦いは、さぞ壮絶だったのだろうな。」


 レオンは少し表情を引き締めながら答えた。


「ああ、壮絶だったよ。でも、ステラ様はたった一人でその戦いを終わらせたんだ。彼女の水龍がナーガを打ち破ったんだよ。」


 その言葉にカズチは深い感銘を受けたように頷き、尊敬の念を込めて言葉を続けた。


「ステラ様……本当にすごいお方だな。」


 カガリも静かに頷く。


「そちらの女隊長も相当の実力者だと思うが……?」


 レオンは微笑みながら肩をすくめる。


「ああ、彼女も強い。だが、ステラ様と比べるまでもない。なんせ、ナーガを相手に勝利したんだからな」


 少し沈黙が流れた後、レオンが辺りを見回して言った。


「それにしても、この国は一日中明るいのが不思議だな。地上は今、夜中なのか、それとも朝なのか……時間の感覚が狂いそうだ」


 その言葉にカガリは口元に微笑を浮かべながら答えた。


「俺たちは時計が無くても、スカイポプラの粒子の出方を見れば時間が分かるんだよ。さらに都には時間を知らせる仕組みも整っている」


「へえ、面白い仕組みだな。それで時計ってなんだ?」


 レオンが不思議そうに聞き返した。


 カガリとカズチは顔を見合わせると、同時に腕に付けた時計なる物をレオンに見せた。


「俺達、警備隊用な特別製なんだ。魔法によるコーティングで壊れにくいし、魔力電波受信で狂いもなく正確だ」


 レオンはカルチャーショックのあまり二人の会話についていけなかった。


「こんなすごい道具は見たことがない……この国では当たり前なのか?」


 するとカガリが薄く平べったい道具を取りだすと


「こちら、カガリ。時間だ。現状報告頼む」


「こちら、A班。半径1キロ。現状異常無しです」


 レオンは目を丸くしてその物体を指差して


「なんか今、そいつと会話してたよな?」


「ああ、このトランシーバーも特別製で……」


 とカガリが話し始めた途端に、ショックのあまりレオンは気を失ってしまった。


 セルフィ淹れたハーブティーに癒されるリリカ達。そして、カガリとカズチがヤマタイコクの技術である時計やトランシーバーを披露し、レオンは驚愕する。技術力の違いに戸惑うレオンに反し、冷静な説明を続ける鈍感なカガリとカズチであった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ