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第163話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の三十七

 雷鳴が轟き、荒れ果てた戦場に閃光が走った。


 サーガは両手を広げ、彼自身の雷の龍を召喚し、二体の雷の龍がサーガに向かって迫ってくる敵の雷の龍と激突した。


 空中でぶつかり合ったそれらは、瞬間的に凄まじい閃光と爆風を発生させ、無数の火花と共に散っていく。


 その光景はまさに天地を揺るがすような壮大な光景で、近くにいたレオンとチャチャもその威力に圧倒され、思わず後ろに後退せざるを得なかった。


 土煙が立ち込め、視界が遮られた中で、ふと人影が現れた。


 煙が少しずつ晴れていくと、そこには幼い姿に戻ってしまったリリカが立っていた。


 リリカは短い腕で前髪を払うようにしながら、戦場の中央に倒れている二人の兵士に気付き、彼らのもとへと駆け寄った。


「ねえ、レオン?この二人を助けてあげて。お願い。」


 リリカの声には、敵を思いやる優しさがこもっていた。


 リリカは、目の前に倒れ込んでいる兵士の傍らで、心配そうにレオンを見つめた。


 レオンはすぐにリリカの意図を察し、真剣な表情でうなずいた。


 「分かりました、リリカ様。まだ息があるようです。ステラ様なら、彼らを助けられるかもしれません。」


 レオンは慎重に二人の兵士の体を確認し、彼らの状態が悪化しないように、チャチャに彼らを乗せて、リリカと共にステラのもとへと急いだ。


 リリカは心配そうに二人を見守りながら、レオンに声をかけた。


「ステラなら、きっとなんとかしてくれるわよね?」


 リリカが小さな声でそう呟くと、レオンはしっかりと頷いた。


「ええ、ステラ様の治癒魔法なら……。とにかく急ぎましょう。」


 チャチャは全速力で駆け、リリカとレオン、そして二人の兵士を乗せてステラのもとにたどり着いた。


 やがて、カガリがぼんやりと目を覚ました。彼の視界に入ったのは、弟のカズチの姿。


「兄者、大丈夫か?」


 ふと見ると、弟カヅチの横で自分の胸に手を当てる美女の姿。


 彼女の青く透き通った瞳と美しい微笑みに、カガリは思わず息を呑んだ。


「美しい……」


 カガリは無意識に言葉を漏らし、次に浮かんだ言葉は


「ヒミコ様……」だった。


 その一言が口からこぼれると、カガリは再び意識を失い、穏やかな眠りについた。


 ステラは静かに彼の額に手を当て、彼の体に残る傷を癒し続けた。


 カズチは、その様子を見守りながらステラに感謝の意を表した。


「ありがとうございます、ステラ様。私と兄者の命を救っていただき……」


 と涙ぐんでしまった。


 ステラは微笑みを浮かべて、治癒を続けながら答えた。


「ええ、実はもう少しで手遅れになるところだったわ。今は、魔力も回復しているし、安定しています。安心しても大丈夫よ。」


 セルフィも満足げに頷き、ステラの傍らで安堵の表情を浮かべていた。


「ステラ様、さすがです。本当によかったですね」


 その時、ステラがふとリリカの方を見やると、リリカは長い戦闘と緊張から解放されたのか、疲れ切ってその場に倒れ込んでいた。


 幼い姿に戻ったリリカは、眠りながらも小さな鼻を鳴らし、疲れを癒すように深い眠りについている。


 ステラはリリカの頭を優しく撫で、微笑みを浮かべた。


「リリカも相当疲れていたのね。私たちのために一生懸命頑張ってくれたから、きっともう限界だったのね」


 レオンは静かに頷き、リリカのために毛布をそっとかけてやった。


「リリカ様にも助けていただき、私たちも感謝しています。本当に……エルフェリア王国の皆様にはお世話になりっぱなしですね。」


 その時、ステラのもとにエルンが歩み寄ってきて頭を下げた。


「まさか部下であるカガリとカズチが、サーガ様――いや、リリカ様と戦闘になっていたとは……」


 エルンは困惑と戸惑いの入り混じった表情を浮かべている。


 エルンのその言葉を聞いたカズチは、驚きと困惑を隠せず、目を見開いたまま聞き返した。


「隊長、今、サーガと……?あの少女が……?」


 エルンはゆっくりと頷き、カズチに分かりやすく説明を続けた。


「そうよ。あなたが戦ったリリカ様は、実は龍神サーガ様の御神体となった存在なの。あの小さな女の子の中に、あの龍神サーガが宿っているのよ。」


 カズチは一瞬言葉を失い、驚きに満ちた表情を浮かべた。


「あの小さな女の子が……そんな……信じられません。でも……戦ってみれば、その力の片鱗は確かに感じました……」


 エルンは頷きながら続けた。


「そう、信じがたいことだけど、今のあなたなら理解できるはず。そして、さらに驚くべきことに、城に封印されていた邪龍ナーガもまた、ステラ様の水龍に敗れて取り込まれたそうよ」


「邪龍ナーガを……あの美女が?」


 カズチは息を飲むように問いかけ、その事実に呆然とした。


 エルンは微笑みを浮かべながら言った。


「ええ、あの邪龍さえも封じたのよ、ステラ様が。私たちはただただ驚くばかり……」


 ステラは、エルンが少し頭を抱え気味であるのを見て、静かに彼女の肩に手を置いた。


「エルン、彼らとの戦闘は、状況的に仕方のないことだったのかもしれないわ。でも、死人が出なくて本当によかった」


 エルンは安堵したように息を吐き、ステラに深く頭を下げた。


「ステラ様のおかげで、こうしてカガリとカズチが無事でいられるのです」


 リリカが寝息を立てながら幸せそうに眠っている姿を見て、ステラは満足そうに頷き、彼女の疲れが少しでも癒えるようにと願いを込めて静かに見守り続けた。

 

 リリカはサーガの力で龍人化し、兵士たちと激しい戦いを繰り広げる。激しい戦闘の末リリカが勝利するも、倒れた敵兵たちを助けようとレオンに頼む。その優しさに心を打たれたレオンは、リリカと共にステラの元へ急ぎ、ステラの治癒魔法で二人の兵士、カガリとカズチを救うことに成功する。カズチはステラの美しさとその魔法力に伝説の巫女ヒミコの姿を重ねるのであった――。

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