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第161話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の三十五

 リリカが泉の水面から勢いよく飛び出し、泉の縁に飛び上がると、待ち構えていたレオンは思わず目を見張った。


 リリカの姿はいつもとは異なり、龍人としての姿が現れていた。


 黒い鱗が体全体を覆い、額には力強く鋭い角が一本突き出し、瞳には赤と黄金が交じり合った妖しい光が宿っている。


 手足には鋭い爪が伸び、太く強靭な尾が後ろに長く伸びていた。


 彼女の全身からただよう圧倒的な気迫に、レオンは驚愕の表情を隠せなかった。


「リリカ様、そのお姿は……」


 レオンは戸惑いを隠せずに口にするが、リリカは黒い鱗に覆われた腕を見つめながら軽く肩をすくめ、苦笑を浮かべた。


「これ?サーガの影響みたいなのよ。気がついたらこんな姿になってて、驚いちゃった。」


 リリカは自分の変化した姿を見つめながら、不思議そうに笑った。


 すると、彼女の後ろでカワウソの魔獣が小さく鳴き声をあげ、名残惜しそうに見送るかのように泉の中へ姿を消していく。


 彼らが助けてくれたからこそ、リリカは無事に戻ることができたのだと感謝しつつ、小さく手を振った。


「本当にありがとう、カワウソさんたち。また会いに来るね!」


 リリカは嬉しそうに言うと、レオンも


「ええ、また会えるといいですね」


 と優しく応えた。


「カワウソの魔獣ですか?」


 レオンは少し驚いた様子で問い返した。


「そうなの。可愛くて、すごく親切だったわ。彼らがいなかったら、きっと私はこの姿になるどころか、泉の底で溺れていたかもしれないわ」


 リリカが笑って語ると、レオンもホッとしたように微笑み、少しだけ緊張が解けた。


「リリカ様がご無事で本当に良かったです。ですが……申し訳ありません……」


 レオンは深く頭を下げ、後悔の表情を見せた。


 リリカは軽く首を横に振り、レオンの肩に手を置いて優しく微笑んだ。


「いいのよ、レオン。無事にこうして戻ってきたんだから、それで十分よ。」


 その言葉に、レオンも少しずつ笑顔を取り戻し


「ありがとうございます、リリカ様」


 と小さく答えた。彼はリリカの龍人の姿に少し驚きつつも、変わらず温かく接する彼女の姿に安心感を抱いていた。


 そして、ふとリリカは思い出したようにレオンを振り返り


「そうそう、あれは大変だったの!」


 と話し始めた。


「水面に浮かぶ魚をぼーっと眺めていたら、急に巨大な魚に引きずり込まれちゃってね。必死に抵抗しようとしたけど、泳げないし……気づいたらあのカワウソの魔獣が助けてくれて、それでこんな姿になっちゃってたの。」


 リリカは軽く肩をすくめ、少し照れくさそうに笑った。


 レオンは真剣な表情で彼女の話に耳を傾け


「リリカ様、本当に申し訳ありません。私が目を離してしまったばかりに……」


 と悔しそうに頭を下げた。


「実はその時、私は白い仮面と鎧を身につけた兵士たちと交戦していたのです。彼らは非常に手練れで、油断のならない相手でした。」


「え? 人がいたの?」


 リリカは驚き、目を大きく見開いてレオンに問いかけた。


 レオンは険しい表情を浮かべながら「はい、何者かは分かりません。かなりの技量を持っている二人組で、交戦せざるを得ませんでした。」


 リリカは少し考え込んだ後


「それなら、とりあえずステラのもとに戻って全て報告しましょうか。私もこの姿、ステラに見せたいし、何より……お風呂に入りたい!」


 と元気よく言い放ち、苦笑するレオンに微笑みかけた。


「ええ、早く戻りましょう。チャチャ、全速力でステラ様のもとへ!」


 チャチャが元気に鳴き声を上げ、リリカとレオンを背に乗せて力強くジャンプすると、森の中を駆け抜けていった。


 一方、リリカとレオンと交戦していた二人の兵士は、慌ただしく隊への合流を目指して森を進んでいた。


 彼らの顔には焦りが浮かび、夜の静寂の中でも彼らの気配が感じられるほどだった。


 息を切らせつつも必死に足を運ぶ姿から、彼らの緊迫した様子が伺えた。


「兄者、もう時間がないぞ。エルン隊長にまたどやされるな……」


 弟と思われる兵士が苦笑しながらも、焦りの色を隠せずにぼやいた。


「仕方ないさ。我々も敵と遭遇してしまったからな……だが、残りの三人は既に我々の隊と交戦状態かもしれない。早く合流せねば。」


 兄と呼ばれる兵士が冷静に応じるも、その目には焦りの色が浮かんでいた。


 すると、森の中に響き渡るかすかな鳴き声とともに、地面が振動するような足音が後方から聞こえてきた。


 振り返ると、闇の中から何かが猛スピードで近づいてくるのが見え、二人は即座に警戒態勢をとった。


「何だ?先程の魔獣か……速いぞ!」


 兄の兵士が鋭く目を細めてつぶやくと、影は一気に加速して二人を追い抜いていった。


「まさか、あれがあの一団の一人なのか……!」


 リリカを見た弟の兵士が呟くと、二人は急いでその影の正体を確認しようと視線を巡らせた。


 リリカとレオンを乗せたチャチャが、彼らの視界に捉えられた。


 兄の兵士が剣を抜き放ち、前に飛び出そうとしたその瞬間、チャチャが鋭く停止し、リリカとレオンがその背から身軽に降り立ち、敵兵士たちと対峙する。


 リリカは毅然とした表情で叫んだ。


「あなたたち、どこへ行くつもり?」


 彼女の手には赤い炎が静かに燃え上がり、その炎の光が彼女の龍人の姿をさらに妖しく照らし出していた。


 レオンも剣を握り、リリカに呼応するように冷静な声で言った。


「リリカ様、彼らの目的はおそらく……」


 リリカはレオンに向かって短く頷き、さらに炎を強く握りしめた。


「行かせないわ……」


 心の中でサーガの力を呼び覚まし、彼女は龍人の姿での戦いに備えた。


 泉の魔獣たちに助けられリリカは無事、泉の中から生還する。彼女の体は黒い鱗や鋭い角を持つ龍人の姿に。その姿に驚くもリリカの無事の帰還に安堵するレオン。一行はステラの元へ急ぐが、途中で白い仮面の兵士たちと再び遭遇。リリカの姿に焦る二人の兵士。リリカが赤い炎を纏い二人を止めるべく立ちはだかるのだった――。

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