第156話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の三十
リリカたちは長い戦いを終え、疲労がじわじわと体に重くのしかかっていた。
戦場の静寂がようやく訪れ、夜の冷たい空気が一行を包んでいた。
ステラがゆっくりと息を吐きながら、その場を見回し、ふとつぶやいた。
「さすがに疲れたわね。もう地上は夜中かしら?」
疲れが全身に感じられるが、どこか清々しい気持ちも漂っている。
「とりあえず、今日はここで野宿しましょう」
レオンが即座に動き、チャチャに積まれた荷物を下ろし始めた。
「了解です、ステラ様。テントを張りますので、皆さんは休んでいてください」
レオンはチャチャの体を撫でながら
「チャチャ、荷物運びお疲れ様。おまえも疲れたろう?」
チャチャはレオンに頬ずりしながら
「ンニャ!」
と鳴いた。
それを見たステラは微笑みながら、リリカとセルフィにも指示を出した。
「リリカ、セルフィ、私たちも手分けして食事の準備をしましょう」
セルフィは野外活動に慣れているだけあって、すぐに周囲の状況を把握し、スムーズに準備を始めた。
彼女はリリカとステラに水を汲むように指示し、自分は手際よく料理の支度を整えていく。
荷物から調理道具を取り出し、まず火を起こして温かなスープを作るために鍋に水を張った。
「セルフィ、手際がいいわね」
とリリカが微笑みながら言うと、セルフィも楽しそうに笑みを返した。
「お任せください!今日は全力で疲れを癒すメニューを用意しますから!」
セルフィの目が輝き、持ち前の料理の腕前が発揮される時が来た。
手際よく食材を準備し、彼女の自信に満ちた動きに皆が期待を膨らませた。
まずは体を温めるスープから。
セルフィは鍋に水を張り、香り豊かな野菜とハーブを丁寧に刻み入れた。
玉ねぎ、にんじん、セロリ、じゃがいもを加え、しばらく煮込むことで、野菜の甘みがじっくりとスープ全体に染み渡っていく。
そこにエリンギやシメジといったキノコも加え、旨味のある深みのあるスープが出来上がっていった。
最後にすりおろした生姜をひとつまみ加えると、ほんのりとした温かさが喉を優しく通り、体を芯から温めてくれる一杯が完成した。
湯気とともに漂う豊かな香りが、疲れ切った一行の体をほぐしていくようだった。
次にセルフィは、香草をまぶした鶏肉を取り出し、熱した鉄板でじっくりと焼き上げた。
パリッとした皮の表面には黄金色の焼き目が付き、噛むたびに中からジュワッと肉汁があふれ出す。
ローズマリーとタイムの香りが肉に染み渡り、そこにステラが持ってきた新鮮なレモンを絞りかけると、爽やかな酸味が加わり、食欲をさらに引き立てる仕上がりとなった。
レモンの酸味が程よく香るこの香草鶏肉は、噛みしめるたびに濃厚な味わいが広がり、リリカやレオンもその香りに思わず生唾を飲み込む。
「わあ、本当に美味しそう……!」
とリリカが目を輝かせると、セルフィは得意げに微笑んでみせた。
「鶏肉は香草とレモンで香りづけすると、美味しさが増すんですよ!」
さらにセルフィは、野菜のローストを手際よく準備し始めた。
かぼちゃ、パプリカ、ズッキーニ、トマトといった色鮮やかな野菜を、丁寧にオリーブオイルで和えた。
少しの塩と胡椒で味を調え、火加減を調整しながらじっくりと焼き上げる。
焼けた野菜からは自然の甘みが引き出され、オリーブオイルのコクが野菜の味を引き立てる。
カラフルな野菜たちが一皿に並ぶと、視覚的にも楽しめる鮮やかな一品が出来上がった。
疲れた体にじんわりと染み込む優しい味わいが、一行の心を癒していくようだった。
そして、セルフィは焼きたてのパンも用意した。
少し焦げ目がついた香ばしいパンが、スープや香草鶏肉にぴったり合う一品だった。
外はカリッと焼き上がり、中はふわふわとした食感が口の中に広がる。
パンをスープに浸しながら食べても良し、鶏肉と一緒に頬張っても格別な味わいだ。
「セルフィ、本当にパンまで焼いちゃうなんて、すごい!」
とリリカが感嘆の声を上げた。
セルフィは軽く笑って肩をすくめ
「野宿にパンが欠かせませんからね」
と言って、誇らしげにパンを差し出した。
さらに、セルフィはデザートとしてフルーツの盛り合わせも用意していた。
甘く熟したブルーベリーやラズベリー、シャキッとしたリンゴを盛り付け、蜂蜜を少し垂らしてさっと混ぜ合わせた。
食後にぴったりの爽やかな甘みが口の中に広がり、疲れた体に優しい甘さが染み込んでいく。
フルーツの自然な甘みが引き立ち、一行は心から満たされた表情を浮かべていた。
セルフィの料理が全て完成すると、湯気の立つスープや香草鶏肉の香ばしい香りが広がり、一行の食欲をさらにかき立てた。テーブル代わりに使った平らな岩の上に並べられた料理は、野営とは思えないほど豪華で、美味しそうな香りが夜の空気に溶け込んでいく。
リリカたちはセルフィの料理に感謝しながら、心ゆくまで料理を味わい、彼女の腕前に感嘆の声を上げていた。
「セルフィ、最高!疲れが吹き飛んだよ!」
とリリカが満足そうに言うと、セルフィは照れくさそうに笑った。
ステラたちはセルフィの料理に舌鼓を打ちながら、心から満たされた表情を浮かべていた。
疲労困憊の一行が、戦いを終えて野宿の準備を整える中、セルフィが得意の料理を振る舞う。彼女は野外でありながら、体を温めるスープ、香草鶏肉、ロースト野菜、焼きたてのパン、さらにはフルーツのデザートまで手際よく作り、豪華な食事を提供。リリカやレオンもその香りと味わいに感激し、セルフィの腕前を称賛します。セルフィの料理がもたらす温かさと安らぎが、一行に充実したひとときを与え、明日への活力になるのであった――。




