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第109話 鬼ごっこで勝負⁉因縁の対決!

 孤児院では、久しぶりに訪れたセルフィと、レオンが無事に回復したことで、子供たちもスタッフも大いに盛り上がっていた。


 孤児院に漂う温かい雰囲気は、まるで家族のような絆を感じさせ、セルフィの存在が一層その場を明るくしていた。


「セルフィ姉さん!」「おかえりなさい!」


 と、子供たちが駆け寄り、彼女を取り囲んでいる。


 笑顔で彼らの頭を優しく撫で、セルフィは元気な声で挨拶を返す。


 しばらく子供たちと触れ合った後、セルフィは昼食の準備を手伝うため、厨房へと足を運んだ。


 久しぶりの台所仕事に少し緊張しながらも、手際よく野菜を切り分け、鍋をかき回す姿は、子供たちを心から思い


 やる彼女らしく懐かしい光景だった。


 その一方で、レオンはガレット団長と一緒に食堂の隅で話し込んでいた。


 ガレットは、昨日レオンが倒れた原因について詳しく説明し始めた。


「レオン、昨日は危なかったな。訓練中に倒れたお前を見た時は、正直、死んでしまうんじゃないかと思ったよ」


 レオンは顔を曇らせながら言った。


「あの時、胸に激痛が走って、瞬時に黒騎士に切られた時の事を思い出したんです。」


「原因は、以前その黒騎士に受けた傷だ。あの傷がまだ完全には癒えていなかったらしい。ステラ様がいなければ、お前は……本当に死んでいたかもしれない」


「また、ステラ様に命を救われたんですね……」


 と、レオンは呟いた。


「そうだ。お前が倒れたとき、ステラ様とリリカ様が駆けつけ、ステラ様の強力な治癒魔法でお前は一命を取り留めたんだ。本当には見事だった。お前の生気のない顔がみるみるうちに顔色がよくなっていったんだ」


「ステラ様は、本当にすごいですね。毎回助けてもらってばかりで……」


 と、レオンは深く頭を下げた。


 ガレットはふっと笑いながら、彼の肩を軽く叩いた。


「お前の気持ちはわかるさ。恩返しをしたいんだろう? ならまずは生き延びることだ。二度も救ってもらった命だぞ、無駄にするな」


「はい、その通りですね。ステラ様に報いるためにも、もっと強くならなければ」


 と、レオンは決意を新たにしたように目を輝かせた。


 しかし、ガレットは少し真剣な顔をして、話を変えた。


「ところで、レオン……セルフィを泣かせるんじゃないぞ」


 レオンは突然の指摘に驚き、きょとんとした表情を浮かべる。


 「え?どうしてその話に?」


 ガレットは苦笑いを浮かべながら言った。


「お前のことを見ていれば、誰でもわかるさ。昨日からの様子を見ていてな、お前とセルフィの間に何かがあったのは一目瞭然だ」


「そ、そんな……!別に何も!」


 と、レオンは慌てて否定しようとするが、ガレットは冗談めかして笑った。


「まあいいさ。ただ、これからは彼女を大切にしてやれ。セルフィもお前のことを心から想っているんだ。それに気づけないようでは、まだまだだな」


 レオンはその言葉にしばし沈黙し、心の中で何かを噛み締めているようだった。


 彼は深くうなずくと、小さな声で


「はい……わかっています」と答えた。


 やがて、昼食の時間が訪れる。


 セルフィとスタッフが準備した食事がテーブルに並べられ、みんなで楽しく食事を共にした。


 レオンとセルフィも、子供たちと一緒に食べ、にぎやかなひとときを過ごした。


 食事が終わった後、ガレットは騎士団の仕事へと戻り、セルフィとレオンは運動場で子供たちと遊び始めた。


 子供たちは大喜びで、再度「鬼ごっこ」を提案した。


「レオン兄さんも一緒にやろう!」


 と子供たちがレオンの手を引っぱる。


「よし!みんなでセルフィを捕まえよう!」


 と、レオンは元気に応じ、すぐに鬼ごっこが始まった。


 セルフィは軽やかに、飛び跳ねながら、レオンや子供たちの攻撃をひらりひらりとかわしていく。


 その姿はまるで風に舞っているようで、子供たちは何度も手を伸ばしたが、なかなか捕まえることができない。


 セルフィの俊敏な動きに、子供たちは笑い声を上げ、孤児院はその笑い声でいっぱいになった。


 その光景を、少し離れた場所で見守っていたスタッフたちは、思わず笑顔を浮かべていた。


「レオン兄さん、お願いこのままじゃ負けちゃうよ!」


 と子供たちがレオンの腕を掴み懇願する。


「よし!任せておけ!」


 レオンはセルフィに向かって走り出した。


「レオン!勝負よ!」


 セルフィもニヤリと笑う。


 今までこういった場面は何度もあったが、レオンはセルフィの動きには全くついて行けず、軽くあしらわれて尻もちをついたり、股の下を抜かれたりするのが関の山だった。


 セルフィはわざとスピードを緩め残像を見せてパフォーマンスすると、子供たちは足を止めその技術に見とれていた。


 レオンの周りをセルフィが残像と共に飛び跳ね、レオンの股の下をくぐったかとと思えば右と左に同時に現れたりしてどれが本物のセルフィか、誰にも分からなかった。


「そろそろ終わりにしましょう」


 そう呟いた瞬間、レオンの腕が目の前に現われ視界をふさぐ。


 セルフィも瞬時に残像を出して上に跳んだ。


 が、しかし、レオンもそれを読んでいたかのように、残像には目もくれずセルフィに飛びかかってきた。


 レオンが両腕でセルフィを捕まえようと飛びついた瞬間、セルフィの姿はすでにレオンの頭上を超えて音もなく地  

面に着地した。


 レオンはその場で尻もちをつくと


「いや~もう目が追い付かないよ。セルフィ、一段と速くなってない?」


「何言ってるの?これでもセーブしてるのよ、さあ、立って」


 と笑いながら手を差し出した。


 夕方、レオンの両親が馬車で彼を迎えに来た。


「レオン兄さんもう帰っちゃうの!」「またね!レオン兄さん!」


 と、子供たちが次々にレオンに抱きつき別れを惜しむ。


 中にはさみしさに泣き出す子供もいたが、セルフィが優しくなだめた。


 セルフィも、少し寂しげに見送りながらも、


 「気をつけてね、レオン。またね」


 と子供たちと一緒に手を振って、レオンを見送った。


「じゃあ、みんな。またすぐ来るからな!」


 と、レオンは名残惜しそうに子供たちに別れを告げた。


 その後、セルフィも孤児院を後にし、猫耳ハウスへと急いだ。夕焼けに染まる道を駆け抜けながら、セルフィの心はステラ、リリカの二人に会いたい気持ちでいっぱいだった。足早に家路を急ぐセルフィの身体を沈む夕陽が黄金色

に照らす。孤児院の子供たちとの久々の再開は彼女の心を満たし明日への糧となるのであった――。

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