いたずら
「結姫」
ぼんやりと中庭を眺めていた結姫は、その声にパッと振り返る
結姫の後ろには、ギンが玄関の柱に手をかけて立っていた
「ギンさま…」と、結姫は姿勢を正して応える
ギンは「珍しいね」と、首をこてんと倒しながら言った
「まだ日陰だけど、焼けちゃうかもしれないよ」
結姫は「そうですわね…」と言って、少しギンに近寄った
ギンは無意識なのか、結姫を避けるように下がって玄関の中へ入る
輿入れしてからずっとこうだと、結姫は苦笑した
そして何も気にしていないフリをしながら、「次の里下がりのことを考えていましたの」と言った
ギンは結姫が近付くごとに、少しずつ後ろに下がっていたが、上がりかまちに当たって困ったように笑った
そして観念したかのように、近くの柱に背を預けて寄りかかる
結姫は微笑みながら、さらに触れそうなくらいギンに近付いた
それから、里下がりの間に衣替えもしてしまおうと思っていることや、だから少々長くなるかもしれないことを話した
ギンは困ったように笑いながら、うんうんと相づちを打つ
結姫はひと通り話し終えて、ひと通りギンを困らせると、満足したようにギンのそばを離れた