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転生先は貞操観念逆転世界!?  作者: 晶洞 晶
第一章 中学入学編
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ドキドキの入学式

 

「では私はここで失礼します」

「ありがとう志帆姉さん」

「うぐっ」


 ふらふらしながら志帆姉さんは車に乗り込み走り去っていった。

 ......蛇行していて事故らないかすごく不安だ


「奏斗行くわよ」

「腕掴む必要ある?」

「あるわよ。今のうちにアピールしとかないと」


 そう言って姉さんは俺の腕に抱きつき歩き始めた。正直に言ってすごく恥ずかしい。救いなのは周りに人がいない事だろう。

 だけど......人がいないのにアピールとはこれ如何に?

 ちなみに周りに人がいないのは男女で登校時間がずらされているからだ。テンプレな大勢の女子の中を通ってざわめきが...みたいのは出来なかった。まぁ常識的に考えればそれが正しいのはわかるんだけどちょっと残念。


 ............視線を上から感じるっ!


 なるほど女子は公社から見ているのな。なるほど。......五条ムーヴかましとくか。俺の中のイケメン五条聡っぽくサングラス外して、髪かき上げて


「朱色!」

「「「ぐはッ?」」」


 ふっ......他愛もない。


 「なにやってんの?」

 「ボランティア」


 そんなこんなで正門に着くとそこには50歳くらいの女性が待っていた。


「桐生奏斗様ですね。時間内行動ありがとうございます。ここからは私が引き継ぎますのでレイナさんは教室へ」



「わかり「いくら学年主任とはいえそれは横暴じゃないですか。私と奏斗を引き離そうとするなんて」...」

「貴方こそ何をいってるんですか。これから奏斗様をお連れする先は教員と男子生徒以外立ち入り禁止の場所ですよ」

「しかし、それはしばらく歩いた先の事ですよね。ならそこまではついていってもいいのでは?それともついて来られると困ることでもあるのですか?田中先生」

「毎回貴方のように付き添いの方がごねられますがこれは決まりですので」

「決まりなんて変えればいいじゃないですか。変わらない決まりは害悪ですよ」

「であれば次の職員会議でプレゼンしてはいかがです?あなたは生徒会の人間ですからその権利があります」

「そんなもの待てるわけないじゃないですか。私は今直ぐの変更を要求しているんです」


 いきなり目の前で繰り広げられた息もつかない舌戦に俺は慄く。やべぇよ姉さん。相手学年主任だろ?

 すると田中先生が首をやれやれといったふうに動かした。


「ふぅ......奏斗様はどちらが悪いと思われますか」


 おお......そうきたか。確かに俺が言えば姉さんは大人しくなるけど.....ブラコンの姉さんが耐えられるかどうか


「えっと......レイナ姉が悪いと思います」

「そんな......!!」

「では行きましょう。こちらです」


 まるで明日世界が滅ぶと知った人の様な絶望の表情を浮かべ崩れ落ちた姉さんを、別の先生らしき人が担ぎ上げて連れていってしまった。俺はまた後でねって姉さんに声を掛けて田中先生についていく。


 その途中で田中先生が口を開いた。


「毎回付き添いの方はごねられるので専用の対応マニュアルが作られているんです」

「そうなんですか。毎回ご苦労様です」

「......!!ありがとうございます。.......男性から労われたのなんて30年ぶりよ」


 おおう......30年ぶりとかこの世界の男性諸君やばすぎないか?もっと女の人に対して敬意を払おうよ。

 あ、あと田中先生、小声聞こえてますよ。


 そういって歩いて行くと構堂の裏についた。


「奏斗様には代表の挨拶をして頂くのでこちらの控室で待っていてください」

「わかりました」

「では失礼します」


 田中先生が出て行った後部屋を思わず見回してしまう。


 だって前世でイギリス王族とかが住んでそうな部屋なんだもん。俺ゴッリゴリの庶民だからめっちゃ居心地悪いの。ゆっくりくつろぐとか出来ないから置いてあるもの見て気を紛らわしてるの。


 30分後


「へぇーこのレバーおろすと紅茶が出るのか。ちょー便利。おっこれゴッホの向日葵じゃん。でもなんかたんない気が......この白い紙を添えたらいい感じじゃね。おっ俺天才かも。そういやゴッホて黄色ばっか使ってんなー二色型だったんかな」


 はい、めっちゃくつろいでました。いやなんか緊張しまくって心臓の音が爆音になり始めた時に一気に解けたんだよね。緊張が。あれかな、一周回って大丈夫的な?それだったらオレもう最強じゃん。

 これ以上回ることないしー。やっぱ俺サイコー!


 30分後


「はぁー......死にたい」


 はい、くつろぎが一周回って元に戻りました。ほんと三十分前の俺どうかしてたわ。見てる人いなくて本当に良かった。(本日二度目)

 もし見られてたら一生の黒歴史だよ。

 あーそれとさっき田中先生が来て後もう少しで始まるって教えてくれたよ。それとお待たせしてすみませんってさ。それで聞いてみたんだよね。どうして予定より三十分も遅れちゃったのかって。


『それは......その非常に言いにくいのですが......男性は基本遅れて来るものですので、それを考慮した時間設定を行うのが我々女性の暗黙の了解なんです』

『............三十分前行動なんていう余計なことしてごめんなさい』

『そんな!?あ、謝らないでください!奏斗様が時間内行動をしてくださった事には職員一同感激していたんですから!』

『そ、そうですか......ちなみに俺以外に遅刻しなかった奴っています?』

『奏斗様と同じクラスになる芳田様が五分前に到着されました。それ以外の方は皆遅れての到着でした』

『ありがとうございます』


 とのことだ。

 いや、まじこの世界の男って......!少なくとも同じクラスの芳田って奴とは仲良く出来そうで良かった。そうじゃないと価値観が合わなくてボッチになるかもしれなかったからな!


 そんな事を考えていると俺の番が近づいて幕袖に移動した。

 そして俺の目に映ったのは壇上にいる校長先生の姿。仕事ができる雰囲気をバリバリに出してて小い○都知事みたいな人だ。かっこいいな......まって、俺この後に新入生代表挨拶すんの!?校長の後で!?俺そんなの聞いてないよ!(レイナの説明を眠くて聞いていなかった)。いやなんか聞いた様な気もするけど......


「奏斗様。大丈夫ですよ」


 俺が動揺しまくっていると、田中先生が俺の心を読んだかの様に慈愛の微笑みを浮かべ声をかけてくれた。これが年の功...!!


「やっぱり男の子は目立ちたいですもんね。既に総理を含めた来賓の方々の挨拶も終わっていますからトリですよ。目立つ事間違いなしです!」


 わかってねぇえええ!!!


「それでは新入生代表挨拶。桐生 奏斗様お願いします」


 タイミングぅううう!!


 ほらっとキラキラとした目の田中先生に促されて俺は立ち上がってた。......その目前世のペットのポチとかさなるからやめて欲しい。ブンブンしてる尻尾が見えてくる。俺褒めないよ。


 あーやばいめっちゃ緊張する。もう視線がグサグサと突き刺さってきてハリネズミになりそう。あ、あのガラスに包まれたとこが男子の部屋か。なんかどうぶつ園の動物を見てるみたいだ。一番右前に座ってるのが芳田君かな?なんか煤けてるけど大丈夫か?お、あれが地下通路につながる階段か。ドラク○の魔王城みたいでかっこいいな。俺も通ってみたい。


 ......講演台についてしまった。やばい心の準備とかすんの忘れてた。

 ドラク○とか変な事考えてる場合じゃなかったっ!!

 お、落ち着くんだ奏斗。大丈夫。ネットから引っ張って来たのを少し変えただけの原稿がある!............向日葵の額縁に挟んだままだぁあああ!!

 ど、どうする!?一旦取りに行くか!いやんなことできないし。し、仕方ない。緊張のせいで飛びかけてる頭の中の原稿を読むしかない!!


「春の息吹が感じられる今日、私達は桜堂学園に入学します。本日は私たちのために、このような盛大な式を挙行していただき誠にありがとうございます。新入生を代表してお礼申し上げます。私はり゛ゅう学生(中学生)になるということに、正直まだ実感がありません。(ここに立てていることに喜びを......という文章を入れる予定だった)これまでは両親を始め、多くの方々の力を借りて日々を過ごしてきました。まだまだ子供で未熟な私たちですが、大人へと成長するために、先生方(先輩方)の背中を見ながら成長していきたいです。伝統ある桜堂学院(学園)の一員として、責任ある行動を心がけていきます。校長先生を初め先生方、先輩方、どうか暖かいご指導をよろしくお願いいたします。 以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます」


 俺は一例をして壇上から颯爽と去って行く。

 意外と何とかなったな(4回間違えた) ......拍手がなかったのはこの世界の風習だろうか。そうであってほしい。マジでッ!


 そう思いながら、涙ながらに素晴らしかったわ!と褒めてくれる田中先生に連れられて俺のクラスへと移動し始めた。田中先生やっぱあんたは最高だよ。俺の心を読んでわざと褒めてくれてるんだよな。一瞬惚れかけたよ。

 落ち込みながら田中先生について行き自分の教室に辿り着き一番後ろの三席の端に座った。


「もう少ししたら他の男子生徒が来てその後に女子生徒が来るから待っててね」


 そういって出て行った田中先生を見送りながら俺は誰もいない教室で黄昏れるのだった......。


 こんな感じです。


挿絵(By みてみん)

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