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転生先は貞操観念逆転世界!?  作者: 晶洞 晶
第二章 夏休み編
61/67

いい雰囲気

佐藤さん素敵なレビューありがとうございます!

これからも楽しんで頂けるよう頑張ります(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 その後、俺は無事レジに並んでいる時に志帆姉に確保された。あと、ついでに誘拐犯に勘違いされた志帆姉が通報されて大騒ぎになった。


 そのお陰というか、なんというか……とにかく俺の指詰めは有耶無耶になったから結果オーライと思うべきか、それとも志帆姉に申し訳ないと思うべきか……わからん。


「はい。ではこれで最後の肉になります。奏斗様、芳田様」


 そして、今とうとうBBQが終わってしまった。結局肉焼き係は志帆姉に奪われてしまったが十分楽しめた。うん。これで満足しよう。


 そして……楽しい時間はここまでだ。そろそろ本来の目的を果たさねば。


 俺は、壁際で秋穂と楽しそうに談笑している美琴の元へ近づいていき片腕を壁につけ寄りかかり、もう一方はポケットへ。そして体を傾けさせチャラ男っぽく。


「美琴、ちょっといいかな?」

「はい?大丈夫ですけどッ!?」


 振り向く美琴に合わせてポケットに入れていた手を美琴の顔の横へ。そして完成するは――壁ドン!


「か、かかかかかか奏斗さん!?」

「……海でも見に行かないか?」

「は、はい!!」


 ふっ完璧だ。俺のチャラ男レベルが恐ろしいぜ。……おっと、表情には気をつけないとな。微笑微笑。


「じゃ、行こうか」

「はい!」


 そして俺は美琴の腕を引きバルコニーへ……何で肩抱かないのかって?それはハードルが高いからだよ。チャラ男歴10秒の俺には荷が重い。


 俺たちの空気を察してくれたのかご年配の白服さんと一度すれ違うだけで、俺たちはバルコニーについた。



「あ、あの奏斗さ――」

「月が……綺麗だな」

「――ッ!!?!?!!?」


 ふむ。反応はなし。ここなら隠れる場所もなし、いくつかの懸念も既に解決済み。……そろそろ切り込むか。


「しん――」

「美琴、大事な話があるんだけど……いいかな?」

「よろしいでしゅ……」


 §


 時は遡り美琴が秋穂と談笑中の事。


「それでは祐樹さんも楽しんでいただけたんですね」

「ああ。あの眼鏡のお陰でだいぶ楽だったと言っていたよ」


(ああ、なんやかんやで有耶無耶になっていまいましたけど、奏斗さんに嫌われてないでしょうか?……すごく心配です)


 表面上は取り繕いながらも頭の中は奏斗でいっぱいな美琴。炭の一件をまだ引きずっているようだ。

 そんな時、後ろから奏斗の声が聞こえた美琴は振り返り――


「はい?大丈夫ですけどッ!?」


(ち、ちかいッ!?近すぎませんか!?奏斗さんの唇がすぐそこに!?)


 ドン!


(か、壁ドン?壁ドン一丁ですか――ッ!?)


「か、かかかかかか奏斗さん!?」


(い、一体どういうおつもりで!?こんなの私が口説かれているみたいな――)


「……海でも見に行かないか?」

「は、はい!!」


(口説かれてましたッ!やった!)


「じゃ、行こうか」

「はい!」


(嗚呼、奏斗さんの余裕のある微笑み……素敵!)


 ぎゅ


(ああああああ!?手、手が握られてッ!?わ、私の心臓もう少しだけ頑張ってください!も、もう少しだけこの時間をッ!!)


 そして、奏斗さんに手を引かれて歩いていると、反対側から節子が歩いてくる。そして二人が交差する瞬間――


(あれ?今耳とポケットに何か入れられたような?)


『美琴様。声を出さないでください。ただお話を聞いてくだされば大丈夫です』


(これは節子さんの声……イヤホンですか!)


『私共使用人一同、お嬢様の大勝負をできうる限りサポートさせて頂きます。既にポケットの方に盗聴器を入れてありますので、ここぞと言う時にアドバイスを』


(な、なるほど。これは確かに助かります。……なんせ私この後冷静でいられる自身がありませんから)


『我々は庭の生垣にて待機しておりますので、万が一の時はハンドサインを』


(了解です)


 そうして美琴が節子と連絡を取り合っているうちにバルコニーについてしまう。

 先頭に立ち外に出た奏斗は柵の上で腕を組み寄りかかる。


「あ、あの奏斗さ――」

「月が――」


(月がどうしたのでしょうか?ああ、でも月を見上げる奏斗さんも絵になりますね。特にまだ幼さが残る顔と大人びた雰囲気のギャップが――)


「……綺麗だな」

「――ッ!!?!?!!?」

『――ッ!?!?!!!?』


(い、いま、月が綺麗と、私が好きとおっしゃいましたか!?)


 月が綺麗とは夏目漱石が言った「あなたが好きです」の遠回しな使い方である。


(こ、これは死んでもいいわと返すべきですか!?べきですね!)


 二葉亭四迷の死んでもいいわ、は告白に対するyesの返答である。


『お嬢様!アタックです!』

「しん――」

「美琴、大事な話があるんだけど……いいかな?」


(さ、ウィスパーボイス!?か、奏斗さんの恋のコンボが止まりません!?というかもう私の心臓が限界です!)


「よろしいでしゅ……」


(か、噛んだ!やってしまいました!)


「美琴……聞きたいことがあるんだ」


(こ、告白ですか!?さっきの返答ですか!?わ、私は奏斗さんの彼女枠、欲しいです!)


「……首謀者はだれ?」

「志望者はわた……首謀者?」


(あれ?私の聞き違いですか?今明らかピンクの空気に合わない言葉が聞こえたような……)


「ああ、美琴に俺を堕とすように命令した存在が……いるんでしょ?」


(それは私の恋心ですが?)


「な、何を――」

「隠さないでいいんだ。ここなら誰にも会話を聞かれない。だから安心して話してくれ」

「………」


(……い、意味が、どういうことですか?これは……とりあえず、何の話かを聞き出さないと)


「どういうこと、ですか?」

「……気づいたのは今朝、白服が俺の部屋に来て言った言葉だった「美琴様がアプローチをかけてくる筈ですのでよろしくお願いします」……このおかしい発言に俺は違和感を感じたんだ」


(私も違和感だらけなんですけれど……一体誰ですか?)


「自分でアプローチをかける人間は普通こんなことはしない」

「そうですね」


「なら、これはどういう意味かと、考えた結果……これは美琴からのSOSだと俺は気づいたんだ」

「SOS?」

「ああ。美琴が脅されて俺と付き合おうとしている、そう気づいたんだよ」

「な――」


(名を、犯人は名を名乗りなさい!)


 キッ!と鬼の形相で生垣を見下ろす。ちなみに、奏斗は月を見ながら喋っているため気付いてない。

 そして、美琴の視線に気付いたのだろう。一人の頭がニョキっと生えてきて、全力で首を振り始めた。


「俺は、そんな幸せになれない恋人はダメだと思うんだ」


(ええ、その通りです。なので今から元凶を排除します)


 そして美琴は首に手を持っていき――奏斗の目を気にして途中でやめ、肘をスッとなぞった。

 それを見た白服は、顔が青白くなり……倒れるようにして生垣に沈んだ。


「奏斗さん。それは勘違いです――」

「え?勘違い?」

「実は――」


 説明終了。


「という訳でして、ただの部下の暴走です。私が脅されているという事実はないです」

「よかったぁ……」


(ああ、奏斗さん怒らないなんて優しすぎます)


「……あれ?でもそれじゃあ――」


(あ、これって遠回りな告白になっているような……キャァアアア♪)


「大変で!お嬢様!」

「切腹です!!!」

「え、切腹?」

「間違えました……何の用ですか?」


(さっきから、後一歩というところで邪魔が……しかも全て白服達のせい。大したことじゃなければ許しません)


「さ、先ほど連絡があり、カメリア合衆国からエリーゼ・ファルークが留学に、桜堂学園に転校して来るそうです!」

「は?……はい!?」

『そんな馬鹿な!?』


(あ、あのエリーゼが!?日本に!?なぜですか!?)


「な、何故ですか!?」

「そ、それが、先ほど外務省の方に金髪縦ロールを揺らしながら「わたくし、黒髪紫眼のカナトという人物のいる学校に入りますわ。手続きよろしく」と言ってきたそうで!」

「奏斗さんの存在がばれている……一体どこから」


(奏斗さんの情報の取り扱いには注意していたはず。どこかにネズミが)


「やべぇ」

「……奏斗さん?」

「な、なな何んでしょう!?」


(凄まじい動揺の仕方……黒ですね)


「大事なお話を……いいですか?」

「よろしいです……」


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