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転生先は貞操観念逆転世界!?  作者: 晶洞 晶
第二章 夏休み編
59/67

美琴のボーナスステージ!

この話にはバレーボールが出てくる為、その用語を書いておきます。


3回しかボールには触ってはいけない


サーブ:相手の陣地にボールを飛ばす

レシーブ:飛んできたボールを上に上げる。

トス:そのボールをスパイクが打てるように綺麗に浮かせる

スパイク:ネットの上から相手の陣地に叩きつける


 俺は悩んでいる。


 突然でみんな驚いたかもしれないが……俺は悩んでいる。


 その理由は、30分前に俺の部屋に来た白服さんが言った言葉が問題だったからだ。


 それは――


『美琴様がアプローチをかけてくる筈ですのでよろしくお願いします』


 ――というものだった。


 え?これの何が問題かだって?


 よくよく考えてみろ。万が一美琴が俺のことを好きだとする。そしてその気持ち故に俺にアプローチをかけようと決心したとする。そう考えると不自然はないように思える……が、だ。問題なのは部下(白服)にわざわざあんなこと言わせるか?って事なんだ。


 答えは「NO」だ。一体どこの世界に自分がアプローチかける事を他人の口から言わせる奴がいる。(ここにいる)


 そうなると、先ほどの白服の言葉には美琴以外の何者かの意図が絡んでいることになる。

 そして考えられることがあるとすれば、それは――


「脅されている?」


 そう。そうなのだ。俺にアプローチをかけろと脅されているとすれば、これにも納得できるのだ。


 まず、第一に俺が有料物件だということ。自分で言うと恥ずかしいけれど。


 成績優秀、運動神経抜群、容姿はハリウッド級、親は医者、姉は天才、欠けている物があるとすれば血統くらいだけれど、男が希少なこの世界において女性ならともかく男に血統を求めることはほぼないので問題はなし。

 うん。超優良物件だわな。


 第二に、美琴が俺を好きではないという事。


 なんでそんな事がわかるかって?それは簡単だ。美琴が襲ってこないから。

 んな馬鹿な理由があるかって思うけれど、これが結構まじなんだ。

 諸君らに聞こう。男女比1:100での世界でもし、いい感じの雰囲気の異性がいたとする。そして自分は並の政治家を凌ぐ権力を持つ財閥の跡取り。そして目の前にいるのはこれからの人生で会うことの少ないであろう美形……襲う、は犯罪だから踏みとどまったとしてもアプローチくらいはかけるだろう。

 にも関わらず、俺は美琴からこれと言ったアプローチを受けた覚えがない。これ即ち美琴は俺の事が好きじゃないってことの証明になる。


 だからだ。俺を一族の取り込んでアクセサリーの如く、虎白院家の箔を付けの為に利用するつもり……なのかはわからないけれど、兎に角俺が欲しい()()()()が美琴に命令して、美琴は精一杯の抵抗として部下に暗号めいたことを言わせたんじゃないかってことじゃないかと思うんだ。


 つまりさっきの言葉は


『美琴様がアプローチをかけてくる筈ですのでよろしくお願いします』

 ↓

『アプローチかけるけど靡かないでね?』


 ってことになる。


 さて、美琴からの隠れたメッセージを受け取った俺はどうするべきか……その答えは決まっている。美琴からのアプローチに抵抗しつつ、その背後にいる黒幕を探す!だ。


 ククク……転生してから鍛えに鍛えまくったこの頭脳!とうとう使う時が来たな。


 §


 同時刻、美琴に妙な気を使った白服のせいで奏斗が迷走しまくっている事など全く知らない少女、美琴は鏡の前に立っていた。


(髪型よし!服装よし!メイクもよし!完璧ですね!)


 ぐっ!と胸の前で手を組み美琴は決意を固める。


(奏斗さんが好き。これを自覚させられ……したからには速攻で落とさなければいけません。そうしないと他の方に掻っ攫われてしまいます!それに比べたら、私の羞恥心など問題にもなりません。今日はせめて攻めて攻めまくります!)


 そして、美琴は扉を開け――


「美琴、待ってたよ」


 ――全女性(この世界の)の夢男のお迎えをくらった。


(うっ!?な、な何故奏斗さんが!?というか今日の奏斗さんいつもよりかっこいい気がします。なんというか覚悟を決めた漢っていう感じがするような)

(攻撃は最大の防御。悪いけれどせめて攻めて攻めまくって美琴から情報を吐かせてもらう)


 こうして盛大な勘違いの元始まったバカンス2日目は、混迷を極めていくこととなる。


 §


 ビーチバレー


 二人1組でチームを組み行う競技。

 それ以外は基本的にバレーボールと同じルールだが、明確に違う特徴を一つ持つ。

 それは――服装である。

 バレーボールは普通の競技服であるのに対しビーチバレーにおいて女子選手の多くが()()()を着用する。理由としては、砂や水で重くならないようにだとか、布面積が少ければ少ないほど強いとかいう迷信もあるが、重要なのは()()()であるという点だ。

 スポーツ選手は自身の機能性の向上の為極限まで体を鍛え、脂肪を落とす……つまりナニの脂肪も落ちる為選手に()を持つ方はあまりいない。が、である。ビーチバレーではビキニを着るというその行為が我々素人にも降りてきたら?もし、山を……双子山をお持ちの方がビーチバレーをしたとすれば?全世界の思春期男子が考えたであろう難題。その答えを今、俺は身を持って体験していた。


「いっくわよ〜」

「ばっちこーい!」

「それは野球のような気が」


 茜先輩の掛け声と共に双球がはずm…… う゛、う゛ん!ボールが弾かれ俺と美琴の陣営に飛んでくる。

 それを美琴が綺麗にレシーブし、俺がトスを上げる。そして飛び上がった美琴の双丘がゆr…… う゛、う゛ん!スパイクを打ち込み点を取った。


 そして得点した美琴がこちらを勢いよく振り向き、純粋な笑顔を浮かべる。


「やりましたよ!奏斗さん!」

「実に見事なこうけ、プレーでした!」


 そして俺のなんと汚れたことよ。もう脳内比率がバレー:エロス=1:9になってる……これは、これは非常にまずい。このままじゃ、俺の理性が煩悩に負けるのは時間の問題!ならば……最低限顔だけでも取り繕おうじゃないか。バレなきゃ犯罪じゃないなんていう言葉もあるくらいだ。俺が美琴に陥落したことを周りに気づかせなければそれでミッションコンプリート。ついでに俺の株を下げて、美琴に「こんなやつ嫌です!」と言わせるか、黒幕さんの婚姻候補の対象から外せれば万々歳……よし!仏頂面作戦で行くぞ俺!


 そう覚悟を決めた奏斗はボールを持ちサーブの準備に入る。そして――


「俺が、決める」


 無駄に表情を引き締めて、ハードボイルドな渋い男みたいな雰囲気を醸し出す。


(ふっ、皆んながはしゃいでいる場面で一人だけローテンション……これなら美琴に惚れてないアピールと並行して俺の株も下げられる!)

(サーブに集中する奏斗さん……かっこいいです!!)


「フッ――!」


 奏斗の手から放たれたサーブは茜と志帆のいるコートに向かって飛び――志帆の目の前に飛んでいった。


(わざわざ強者である志帆姉に打つという愚行!黒幕さんも失望間違いなし!)

(わざわざ強者である志帆さんに向かって打つだなんてなんて女らしい(漢らしい)ことを……でもそこが良いです!)


 盛大なすれ違いを起こしている二人を尻目に、志帆はスパイクを奏斗の手に当たるようにわざと打ち――


「ぶほっ!」

「なぜ!?」


 何故か前進した奏斗が顔面レシーブをした。


(グッ痛ってぇ!だけど顔面レシーブほど不格好なものはない!これで黒幕&美琴の好感度ダウン!)

(顔で受けてまでボールを落とさないという執念……一体奏斗さんは私の好感度をどこまで上げるんですか!?)


 次に、奏斗はスパイクを打つため跳躍し――タイミングを外したのか着地してから相手コートに打ち返した。


(これならどうだ!?スパイクでタイミング外すとかいうやりたくないミスNo.1のプレーだ!)

(今のはまさか、一人時間差!?素人でありながら高難度の技に挑戦するガッツ……惚れなおしました!!)


 その後も奏斗は空回り続け、美琴の好感度をただひたすらに上げ続けるという試合が続いた。


 そしてラストプレー。奏斗があと一点を取れば勝ちという場面。


「ハッ!」

「う、ん゛!」


 裂帛の呼吸と共に志帆から放たれた殺人スパイクを美琴がなんとかレシーブする。


(間に合え!)


 そのかなりの低空飛行で上げられたボールを奏斗がなんとか上に上げ――


「えい!」


 体勢を崩しながらも美琴が相手陣地に打ち込み見事得点を決める――が、大勢を崩したままの美琴はそのまま


「ぐはっ!?」

「きゃっ!?」


 奏斗の上に倒れ込んだ。

 そして至近距離でぶつかる二人の視線


(うわー美琴まつ毛長げー。目もぱっちりだしスッゲェ美人だなー)現実逃避

(あ、あわわわ。か、奏斗さんの上に!?い、急いでどかなくては……で、でももう少し奏斗さんの胸の中にいたいといいますか、カチコチの筋肉を触っていたいと言いますかっ!!)


 勝者を告げる秋穂の言葉など聞こえていない二人は、完全に脳内の世界の没入する。


(奏斗。奏斗よ。ポーカーフェイスだ、仏頂面を維持するんだ!ここで相好を崩したら今までの積み重ねがパーに!?)

(っ!奏斗さんが不機嫌そうな顔を!?ど、どど、どうしましょう!?えーと、えーと……確か奏斗さんは胸が好きな奇人だった筈…えい!)


 仏頂面の奏斗に突然美琴がぎゅっ!と抱きつきナニを押し付ける!


(ふぉぉー!ふぉぉぉぉー!やわい、柔すぎる!この世にこんな幸せな物があったなんて………というか冷静に考えたら、ここまでしてくるんだから本人も結構乗り気なんじゃないか?それならもう……いや、ダメだ!ここで煩悩に屈するわけには!)

(な、何故さらに表情が厳しく!?……ま、まさか、今までのは演技で、奏斗さんもあの忌まわしき()()()()()()()の一人だったんですね……残念です。奏斗さんなら私の胸(巨乳)の誘惑に屈してくれると思っていたのに!)


 お互いに大きな敵に直面し


(もう少しくらいデレても……そんでもってそのままゴールインしちゃっても良くないか?)

(奏斗さんが貧乳好きなら……私が性癖を歪めれば良い話ですね)


 奏斗は屈し、美琴は真正面から打ち破ることを決めたその時


「はい!離れて!お姉ちゃんを差し置いていつまでくっついてるつもり!?」

「ああ!?マシュマロが!?」

「ああ!腹筋が!?」


 レイナに強制的に引き離されてしまうのだった。


米米クラブのマドロス3部作を聞いてたらいつの間にか投稿時間過ぎとった。

遅くなりすみません。

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[一言] いつも楽しく読んでます。
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