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転生先は貞操観念逆転世界!?  作者: 晶洞 晶
第二章 夏休み編
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衝撃の新事実

 

「ぅ、う〜ん」


 微睡の中俺の意識が覚醒する。


「ここは.……?」


 俺が目を覚まして起き上がるとそこにはちょっと……いや、三つ星ホテルもかくやといった豪華な部屋が広がっていた。


「……これが札で殴るってやつか」(違う)


 とりあえず完全に意識が覚醒した俺は、なぜ倒れたのかを思い出そうとして……


「はっっっっっず――ッ!!?」


 悶絶した。


「ふぅ……よし。忘れよう。あんな事実は存在しなかった。うん。それでよし」


 自分の中で折り合いをさっさとつけた俺はとりあえず人を探しに行くことにして、扉を開け外に出ると。


「何これ。足が沈むんすけど……ここコテージだよね?実は誘拐とかそういう奴じゃ……」


 あまりの非現実に俺はかなりショックを受け……とにかく知り合いに会いたくなった。


(とりあえず隣の部屋を覗こう。万が一、万が一誘拐だった場合声は出せないから、無断で覗き見ることになっちゃうけど……仕方ない。背に腹は変えられん)


 自分の中で言い訳を並べ立てた俺は、そおっと隣の部屋の扉を開けた。幸いにも鍵がかかっていなかったのでほぼ無音だ。


 そして中を覗き込んだ俺の目に映ったのは、机に向かい何か作業をしているわりかし小さめな背中。


「有紗たん……かな?」


 とりあえずここがコテージである事が確定して俺は安堵した。

 そして安心して心に余裕が生まれれば、いらんことに好奇心を抱くこともできるようになるというわけで


「……何やってるのかな?」


 いけない事だと分かりつつも、忍足で近づき後ろから有紗たんが何をやっているのかを覗き込もうとする。……俺の良心は好奇心に勝てなかったです。


(何をやってるんだ〜?………文章をパソコンに打ってる?生徒会かなんかの下書きかな?えーとなになに……『奏子は――)


【パソコン上の画面】


 《()()()()()()()


 ………………………………


 奏子は彼氏の龍馬に憤懣やるかたないといった様子で言った。


「ねぇ!なんで裕子に優しくするのよ!」


「友達だからだ。それ以上でもそれ以下でもない」


「龍馬は分かってない!裕子は龍馬を狙ってるのよ!」


「……!それなら奏子だって一緒だろう!お前の事を狙っている隆二と仲良くしているところを何度も見たぞ!」


「そ、そんなの言いがかりじゃない!私はただの友達と話してただけよ!」


「ただの友達だって?俺が一体何度、あいつの前で楽しそうに笑ってる奏子を見て、邪魔をしてやろうと思ったか……奏子にわかるか!?」


「そんなの知らないわ、よ……ねぇ、もしかして嫉妬してくれたの?」


「あ、ああ、そうだよ悪いか?」


「――!ぜんっぜん!やっぱり龍馬大好き!」


「お、おう……俺も大好きだぞ」


 ()()()()()()()()()()()()()()……第180話


【画面終了】


(………見間違いかな?)


 途中からなんか見覚えあるなーって思いながら見てたんだけど、最後に俺の目に飛び込んできた情報に混乱する。


(いや、見間違いじゃないな……ってことは、今目の前いるのは有紗たんじゃなくて有紗先生ってことに!!?)


 目の前にいるちっこい中学一年生がライトノベル作家……しかもアニメ化まで決定している売れっ子であることに俺は驚愕する。


(え、ちょっと待って!?じゃ、じゃあ俺は今、聖典をお書きになった、()()()()と同じ空気を吸ってるってことに!?っていうか今までもずっとそうだったってことになるわけで!?)


 確かヒントはあった気がする。元々向井先生が嘘をつくことに慣れてないからか、時折ボロが出ていた気がする。

 ほら、例えば職場体験に出版社はなかったのに「出版社に行く」って言ってたこと、職場体験後になぜか俺が読もうとすると、読まない方がいいなんて言ってきたこと。

 今考えれば何気におかしいことに気づいた。


 そしてここまで来るとやっぱり本人への確認をとって確信を得たいわけで。



「……向井先生」


「は、はい?………か、かかかかかか奏斗さん!?え、な、ななんでここに!?」


 俺が後ろから話しかけると向井先生が飛び上がって驚いた。

 それを少し申し訳なく思いつつも俺は続ける。


「その……実はパソコンをみてしまいまして……向井先生って「転生先は貞操観念逆転世界!?」の作者さんですよね?」


「あ、わ、そ、その……そ、そうです」


 俺の質問に、表情を暗くしながら向井先生は答えてくれた。

 それはつまり、向井先生が俺の最推し作家さんというわけで……


「や、やっぱりこんなの書いているなんて気持ち悪いです「ファンです!向井先生の本は全て買わさせていただいてます!向井先生の作品は、面白い上に男女平等な世界を描かれる事が多くてすごく好きなんです!よかったらサインください!」は、はぃぃぃ……」


 俺は思わず向井先生の両手を握り前のめりになりながら、向井先生の子供達(作品)の魅力を語っていた。


「書いてくれるんですね!ええと何か書くものは……そうだ!最新刊をバックに入れてきたんです!今持ってくるので少しだけ待っててください!」


「え、あ、は、はい!い、いつまでも待ってます!」


 向井先生に了承をいただいた俺は、自分の荷物を探しに部屋を飛び出していくのであった……満面の笑みを浮かべながら。


ふふふ。なんとなく察していた方もいると思いますが、ようやく有紗たんの見せ場が来たぜ!


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