水着とはすなわち聖衣である
ふっ……ガッツリ今回はおすけべ回だぜ。正直なろうで許される範囲が分かんないから「警告来ないよね!?」ってビビりまくってるけどなっ!
茜先輩率いる、S嬢……ではなくて美琴達から解放された俺はサングラスを掛け、ラッシュガード付きの水着に着替えてビーチに寝転んでいた。
「も、もうお婿に行けない――ッ!」
「お婿っていうか、お婿さんにならないでも奏斗は囲われるだろうから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃないんだよ…… 俺は、俺は美琴達にあんな事やこんな事を……俺の体は汚されてしまったんだっ!!そして俺はこの傷を一生背負って行きて行くはめに――ッ!」
悲壮感たっぶりに叫ぶ俺を祐樹は冷たい目で見下ろし……容赦ない一撃を放ってくる。
「……最後の方、声に喜色が混じってなかった?」
「ぐふはッ!?」
「ほらやっぱり。嫌よ嫌よも好きのうちって事だね」
「言葉のチョイス――!悪意あるよねそれ!?」
「この世界だと、これが正解だよ?」
「そーゆーことじゃないの!」
はぁ、はぁ、と俺は怒涛のツッコミで息を切らす。
「僕は人の性癖に口を出す趣味はないから。安心して?」
「おいこら貴様。童貞がなに粋がっとんじゃ」
「奏斗も童貞でしょ」
「グフッ!?」
ク、クリティカルヒット!!俺の弱点を明確に突いてきやがった!?こ、これが上級者の余裕というやつなのかっ!?(初心者です)
「いやぁ……それにしても秋穂の水着たのしみだなぁ」
「お前露骨に話題を……というかブレねえな。そこで秋穂一択って」
「フッ……自慢じゃないけど、露出度の高い秋穂以外の女性を見たら倒れる自信があるんだよね」
「ほんとに自慢じゃないな」
というかコイツそんな状況でどうやって遊ぶつもりなんだ?
このビーチには秋穂以外にも、美琴、レイナ姉、志帆姉、有紗たん、茜先輩が来とるんだぞ?
「実はこのメガネ……虎白院さんと青龍院さんからの早めの誕生日プレゼントでね。秋穂以外の女性に自動的に服を着せて僕の目に映してくれるんだって」
「すげぇな!?」
「最近の機械はほんとにすごいよね」
ちょっと貸してくんね?と俺が言おうとしたところで、背後のコテージの扉が開く音がした。
そして、お待たせてすみません、という美琴の声を聞いて俺は振り返り……
「よし、アウターレースを奪おう」
「へ!?」
「いきなり何言ってるの!?」
そこにいたのは、白を基調とし花柄をあしらった王道の三角ビキニ、さらにその上に純白のアウターレースを羽織った美琴だった。そして中1にしてビキニ姿が様になっているのはさすがと言ったところで、その姿はまるで天女のよう……
「祐樹知らないのか!?天女っていうのはな、羽衣を盗んで隠さないと天に帰ってしまうんだぞ!?」
「少なくとも、虎白院さんが天女じゃない事と、奏斗がおかしくなってる事は知ってるよ」
「わ、私が天女……」
コイツ何も分っとらんやないか。全く俺が説明するしかないようだな。
「いいか?あの鮮やかな紫光りする美しい黒髪。「へ!?」白磁のような純白の肌「えへへ」瑞々しくも妖しいあの魅力的な唇「へう!?」あの大きすぎず小さすぎない、まさに中庸を体現したかのような完璧な双丘「うっ!」そんでもって極め付けは、あのアウターレース!美しい肢体を覆い隠すそのレースによって幻想的な雰囲気を醸し出している!これを、絶世の美少女を天女と呼ばずになんと呼ぶのだ!」
「きゅぅぅ……」
「大丈夫ですか?ああ……奏斗様にやられたんですね?」
ふっ……流石の祐樹も俺の熱弁の前には反論する術はない、か。それにしても、天女に誉め殺しが有効だなんて思わぬ発見だな。これで窃盗という罪を犯さないで済む。
「奏斗奏斗。ほら虎白院さんの後ろを見てみてよ。虎白院さんが天女ならあの人はどうなるのさ?天女は一人のはずでしょ?」
「ん……あれは!?」
祐樹が指し示すその先には、美の化身としか表現のしようがない美しい女性《18歳》……蒼のクロスホルスタービキニを着た志帆姉がいた!
「そうか、天女じゃなかったのか」
「うんうん。そのとお――」
「まさかグラアランの短詩の方だったなんて!」(複数乙女が出現)
「そう来たかっ――!!」
何やら祐樹がショックを受ける中、志帆姉の後ろから麗奈姉さんが出てきたのだが……俺はその姿を見て吹き出した。
「ねぇ奏斗。私はどう?」
「……非常にセクシーで良いと思います。ええ。」
レイナ姉はブラジリアンビキニ……つまり非常に布面積の少ない情熱の赤の水着を着ていたのだ。レイナ姉には北欧スラヴ系の血が入っているから、肌は白いし、スタイルも中学生とは思えないほど見事であるので普通に似合っている。似合っているのだが………視線のやり場に困るんだよ!
「ほらほら、早く行きましょ〜」
「で、でもぅ……やっぱり恥ずかしいです」
「大丈夫さ。十分可愛いよ」
最後に出てきたのは、ブルキニというムスリムの女性用に作られた手足の先と顔しか出ない水着に身を包んだ秋穂と、ひまわり柄のワンピースタイプをきた有紗たん。そしてラッシュガードをきた茜先輩だった。
「茜先輩が貞淑な服装をしているだと――ッ!?」
「どこに驚いてるのよ〜」
いや、だってあの茜先輩だぞ?俺は普通にマイクロビキニとかでくるものと思っていたんだけど……
「奏斗。ここは虎白院のプライベートビーチだよ?多分パパラッチが張り込んでるんじゃないかな?」
「正解よ〜」
「まじかぁ……」
プライベートがも世間に監視なんてストレス溜まるなぁ。普段隙あらばちょっかいかけてくるこの人も何気に苦労してんのな。ちょっと見方が変わったわ。
「まぁ、そんな暗い話はいいのよぉ。ほら、有紗ちゃんどう?可愛いでしょ〜」
「王道の可愛さが良き!」
「僕も向井さんはメガネなしで見れるね。秋穂もだけど」
「あ、ありがとうございますっ!」
そう言って有紗たんはペコリと俺たちに向かって頭を下げた。すっごいいええ子や……。
「奏斗君〜」
とそこに茜先輩が小走りで駆け寄って来る。
(ふむ。超局所地震が起きとるな。漫画だと大体この後主人公が鼻血出して気絶すんだよな。まぁ、姉さんで耐性を手に入れた俺はそんなことにならないけどなっ!)(幕間夏服を参照)
そんな事を思いながら俺がそちらを向くと――
「ぎゅぅううう」
「ムゴッ!?」
「「ああああ!!」」
――瞬間。俺の視界は黒に染まり、顔全体に柔らかい感触を感じた。
「ムゴウ!?ムゴゴゴ!」
「奏斗君、実は私きてないのよ〜?」
「ムゴ?」
「だ、か、らぁ….こういう事」
そう言って茜先輩は横から手を差し込み、少しチャックを下げた。……そして薄暗い視界の中俺の目に映ったのは「肌色」の一色のみ。つまり、これは……
「そうよ。水着をきてないのよ〜。どうかしら〜?私の半生は?」
蠱惑的に俺の囁く茜先輩。だけど俺はまるで頭の中に靄がかかったような状態で、正直あまり聞こえていなかった。
(つけてない。肌色。半生……つまりこのしたは本物があるわけで、今の俺は布一枚を間に挟んで触っているってことで、それってつまり.…)
「ブフッ!!」
「「「奏斗(君)(様)!!?」」」
ついに理解したその現実。それに応じて襲いかかってきた過興奮で俺は、鼻血を出して意識を飛ばしてしまうのだった……。
さぁ、なんとでも言え!「おすけべ回とか言っといて全然じゃねえか!」って言われることは予想してたから全然大丈夫だぜ!!
え?なんで予想できてたのかだって?……それは書いてる途中で日和ったからだよ!
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