痴漢
この話を書いたせいでR15を入れるハメに……なんで書いたんだ俺――!
「俺は、俺は今20世紀最大の感動している――!」
「最近僕は奏斗がわからない」
え?まさかお前にこの感動が伝わらないとは……さては貴様赤旗だな!?(※違う)
「何故……何故お前にはこれがわからないんだ!」
「むしろそこまで興奮する理由がわからないよ」
――っ!ストレートヘアの分際で生意気な!
「別にサマージャンボ宝くじに当選したとかならわかるんだよ?」
「じゃあなんでわからないんだっ――!」
1000万分の1の確率だぞ?今の状況だってそう変わらないだろ!
だって、
だって――
「―― 電車に乗ってるんだぞ!!」
「だからわからないんだよ!」
電車だぞ?電車。トレインに乗ってるんだぞ!?
「いいか?まずこの切符を手に入れられる確率は……1000万分の1だ」
「サマージャンボだね?」
「そして、電車に乗れる確率は2000万分の1だ」
「年末ジャンボかな!?」
今日もツッコミがキレッキレだな。ふっ……さすがは我が親友よ。
「つまり君はこの電車に7億の価値があるというのかい?」
「は?んなわけ無いだろ。遊びでロイヤルストレートフラッシュ出す確率と100万かけて出す確率。一緒だけど価値は全然違うじゃん」
「えぇ……いきなり正論?」
「今日俺は果てしなく正しいことしか言ってない」そう返そうとした所で、横合いから声がかかる。
「あの〜声ちょっと声大きいな〜って思ったり思わなかったり……」
「謝ざ「すみませ〜ん。うるさかったですよね。気をつけますぅ〜」……奏斗?」
いきなり気色わる……猫撫で声を出した奏斗に祐樹が不審なものを見るような目を向ける。
「お前、自分が女装してること忘れたのか?まったく、これだから最近のストレートは……」
「それは僕が悪い。……けど髪型関係なくない?」
「なに言ってるんだ!せっかくの女装だっていうのに、手抜きのストレートだなんて!せめてハーフアップだろ――!」
「本当になに言ってるの!?」
祐樹が俺に驚愕の眼差しを向けてくるが……コイツこそなに言ってるんだろうか?ただ、かつらを被るだけとか舐めてんじゃないの?そんなもの世の中の髪型とか髪質に気を遣っている女性への冒涜だぞ!
「いいか。今俺達……私たちは女性なのよ?」
「声の変容が気持ち悪い」
「もぐぞ。突起」
「ごめんなさい」
ったく。俺の声。レイナ姉さんバージョンを侮辱するとは。(過程をキモいと言っただけ)
「とにかく、私たちは今女装をしている以上完璧を目指さなきゃいけないのよ。そこに妥協はないの」
「別に妥協があっても良くない?」
「じゃあ一つ例を出してあげる。TVで似てないモノマネみてイラつくことあるでしょ?」
「確かに」
「街中でボディービルダーもかくやというゴッツイ男が初音ミクのコスプレしてたらムカつくでしょ?」
「……確かに?」
「オネェがスネ毛脱毛してなかったらキレるでしょ?」
「わかんないよ!?」
マジか――!?師範はすね毛処理してないオネエを見ると、強制で脱毛させてたけど。曰く『半端者にオネエの資格はない!』って(あると思います)
「……まぁ私のこだわりは置いといて、現実的な問題から私たちは完璧を求めないといけないのよ」
「それは?」
「……ちょっとでも隙を見せると男だとバレる。そして速攻で通報されるか、お持ち帰りされるのよ」
「ああ……」
やっぱりここは祐樹も納得してくれるのか。ちなみに第一回電車乗車ミッションでは「迷子の男性センター」に後期高齢者であろうマダムに連れて行かれた。関節決められたんだよなぁ……何者だったんだろう?
第二回ミッションでは、裏の方にバレてお持ち帰りされそうになった。あの時は色々あったなぁ……。
第三回からは……語るまでもない。自宅から10メートルで確保されたよ。
「だから、奏斗「奏子」……奏子は三つ編みシニヨンなんていう気合の入った髪型なんだね」
「これは、久しぶりの女装でテンション上がっちゃっただけ」
「……もう奏子がわからないよ」
そんな会話をしているととある駅に停車し――一気に人が増え、先ほどまでは多少のゆとりがあったのに一気に、雨の日の朝バリの満員電車になる。
「祐美……!」
「あ、奏子……!」
ああ、祐美!なんてこと!人の荒波に揉まれて私たちの仲が引き裂かれてしまったわっ!(悲劇のヒロイン風)
……ぅおっほん。そして、俺は電車の壁に流され、周りを女性に取り囲まれる。腕が、腕に幸せな感触が――ッ!……というか押さえつけられてるような。ん?待てよ。この状態俺は聞いたことがある。これは――
――サワッ
――痴漢だぁああ!!!
そう、今俺は背中を撫で回されている――ッ!まだ、性的な所はやられて無いが撫で回されてる時点で確定だろう。
まさか……まさか、こんな所で『男が女性にされたい事ランキング』の第2位を体験できるなんて――!感激だ――ッ!(全国の男性に謝れ)
これは、これは実行してくれた方のご尊顔を拝見すべきか!?いや、待て奏斗よ。ここは見ないで妄想で作った何パターンもの女性で楽しむという手もあるぞっ!(変態か!?)
……それにしてもこの手、日和ってやがる。さっきから俺の背中だけでプリケツに触ろうとしねぇ(いい事では?)
クッ!これは、俺がリードすべきなのか!?いやしかし、リードしてしまった時点でこれは痴漢ではなくなるのではないか!?それでは……それでは、ただの変態プレイではないのか――ッ!?(そもそもお前は何やってんだ)
「はぁ、はぁ、はぁ、……」
「……………」
あ、なんか後ろの……周りの女性の荒い息を聞いたら、なんか……頭が正常になったわ。つーかさっきの俺やばくね?(いまさら?)
『来宮〜来宮〜来宮駅ー』
「さて、どうしようか……」(小声)
やめさせるか、このまま放置するか。辞めさせるなら、振り向いてスマートフォン片手に睨むのが一番だな。声をあげるのは可哀想だし。でも、ちょっと勿体無いような気もする……実際害はないんだよな。背中だし。
『右のドアが開きま〜す』
「まぁ、やめてもらうかn「君は面白いな。後日謝罪とお礼を。では」にゅわっ!?」
いきなり、後ろからハスキーボイスで話しかけられたと思ったら、去り際にケツをモミッと揉まれたッ――!
「あ、かなtじゃなくて奏子大丈夫だった?いきなり人が増えたからびっくりしたんだけど……」
「……ああ、大丈夫だったよ。わよ」
俺の尻揉み童貞は奪われたがなッ!(どうでもいいよ)
△▼△▼△
「お嬢。どうでしたか?」
「ああ。非常に筋肉質で、それでいて無駄に多いわけでもない。機械などを使ってない、非常に実践的な筋肉だった。正直もっと触っていたかったよ」
「流石にあれ以上は無理だったかと。次の駅では虎白院が待ち構えていますし、そろそろ天霧が追いつくゆえ」
「わかっているさ……それにしても彼はいいな。正直今すぐにでも求婚したいほどだよ」
「……それほどですか?」
「ああ、男でありながら勉学スポーツともに優秀。私生活も問題なし。たまに突拍子もないことをするようだが、まぁ飽きなくていい。外見だって素晴らしい。家柄も問題ないさらに性格も優しいときた。本当に完璧じゃないか」
「他はわかるのですが……優しいですか?」
「ああ、彼は途中で我々に辞めさせようと思ったみたいだが、声を上げることはなかった。これは声を上げたら我々が警察に御用になってしまうと気を使ったのだろう。実に優しい行動ではないか」
「それは……とりあえず、この旨を当主様に報告しましょう。もしかしたら上手くいくかもしれません」
「ああ、あのクズと縁を切れることを期待しようじゃないか」
そう言ってワイルドに笑った。
まず、全国のストレートヘアの方に謝罪を。申し訳ありません。悪意があったわけではないんです。
ついで、全国のモノマネ芸人、コスプレイヤー、オネエの方々に謝罪を。作者本人が思っているわけではないんです。
最後に、読者の皆様へ。これは痴漢を是認する目的は一切ございません。予めご了承ください。
……と、堅苦しい事言ったけど……そもそも女性読者いんのかな?俺は99%いないと思ってる。残り1%は捨てきれなかった期待です。
ちな、ストレートはワイの好きな髪型第2位っす。……え?誰も知りたくねえよ!だって?……すんません。




