雲類鷲天悠現る!
『それではぁ!中学一年男子最強の男を決めるこの戦い!決勝戦を始めるぅう!!』
「「「うおおお!!」」」
『まず入ってきたのはみんなのアイドルこと1組男子だぁああ!!』
「「「きゃぁああ!!」」」
二人がコートに現れると空気が爆発したかのように感じるほどの歓声が響き渡った。
『そして次に入ってきたのは個性派揃いの2組男子だぁあ!!』
「「「きゃぁあ!!」」」
奏斗達に9割8分ほど取られていたが残りの二分のコアなファンが歓声をあげた。
「なぁ、個性派揃いの2組って何?」
「ちょっと僕にも想像できないな」
俺が個性派という言葉に心躍らせていると反対側から3人の男子が入って来た。そして、俺は……スタイルのいい先頭の男子から目が離せないでいた。
「そんな……まさか」
「?どうしたの?そんなに驚いて相手を凝視して……まさか僕たちの同類がいたの!?」
あの手に嵌められた指抜きグローブ。ルールに抵触しないためだろうか革製のやたら数の多いネックレス。そして上に体操服では無くジャージを着て前を開けているあの格好……!あれは、あれは、
「俺の後輩じゃないか!?」
「やっぱりそうだったんだね!?」
「ああ、あれは俺の同類だよ」
「そうか。そうなのか!僕たち以外にもいたんだね!」
祐樹。お前も嬉しいか。まさかこの世界でも厨二病患者に会うことが出来るなんて……っ!俺は今感動している!
俺と祐樹が嬉し涙を我慢していると声が聞こえるぐらいに近づいていた俺の後輩が話しかけて来た。
「フッ。深淵に封じられしアカシアの記録に刻まれたるその言葉は、天の悠たる鷲は雲に類するなり」
「なるほど」
「え?」
ふむ。何故か祐樹が困惑しているな。お前も同類ならわかるだろうに……さては貴様にわかだな?全くこれだから最近の若者は。仕方ない代わりに答えてやるか
「雲類鷲天悠……であってるかな?」
「ククッ!アカシアの記録は絶対にして普遍」
「俺は桐生奏斗と言う。よろしく頼む」
「彼の者の真名は宿世より我が深淵に刻まれている」
「これは失礼した」
俺はもうこのやり取りだけで満足だわ。何ならこのまま勝ちを譲ってもいいぐらいに。
「ねぇ奏斗。あの言葉がわかるの?」
「わかるよ。むしろ何でわかんないの?」
「ええ……」
何故そこで理解不能だ、みたいな顔をするんだよ。このぐらい思春期男子を経験したならわかるでしょ
「ちょっとさっきの会話を解説してくれない?」
「まぁいいけど……まずアカシアの記録はこの世の全ての事が書かれていると言うアカシックレコードの事でこの場で言うとしたら名前しかないだろうから、この後に名前が来る。んで、そのあと出て来た言葉のうちかっこいい文字……つまり漢字だけ抜き出してあとはそれっぽく感じを組み合わせて完成」
「あの一瞬でそんな事やってたの!?120通りあるよ!?」
120あるって言っても勘で大体10個くらいまで絞れるぞ?
「まぁな。そんでもって絶対にして普遍ってことは変わらないって事、つまり俺の答えも変わらないって言うことで正解を表す。あと、宿世からって言ってただろ?」
「!言ってた!じゃあやっぱり彼は同類なんd「つまり結構前から知ってたよって言ってるわけだ」……つまり彼は普通の人間っていうことだね?」
「それ以外に何があるんだ?」
「……僕はキーパーをやるね」
そう言って祐樹はさっさと後ろにひっ込んでしまった。……俺なんかしたか?
「我が宿敵はカエサルか」
訳(仲間割れか?)
「俺たち親子じゃないし、そんな深刻なことでもないよ」
「光。……我が意は宣戦布告にあり」
(良かった。俺は勝負をふっかけに来た)
やっぱり厨二病に悪いやつはいないな!わざわざ心配してくれるなんていい奴じゃないか!……それにしても何で俺は勝負を挑まれてんの?
「何故に?」
「我は闇の皇帝。故に我らは共存できない」
(俺のキャラとお前のキャラが被ってるからだよ)
「なるほど」
中身はともかく俺の見た目は、黒髪に深紫の目……これで静かにしてたら確かに闇の帝王とかでいそうだわ。
「勝者は王として君臨し敗者は光の者となる!」
(この試合で負けた方が髪を金とかの明るい色にして棲み分けをしよう)
「じゃ、それでやろう」
そうして俺たちの髪色をかけた勝負が始まった。
新たな友人候補の登場!?




