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転生先は貞操観念逆転世界!?  作者: 晶洞 晶
第一章 中学入学編
32/67

勉強会

 あの後倒れた美琴を介抱しようとして志帆姉に止められたり、じゃあ俺のベットに寝かせればと言えば永眠させるきか、と祐樹に頭を叩かれたり色々あって、今再起動した美琴を含めた四人で当初の目的だった勉強をしていた。

 そして、念願の勉強会を開いたわけだがここで俺はある問題に気づいてしまった。そう、それは


 ――カリカリカリ

 ―― ペラッペラッペラッ

 ――ゴシゴシゴシ


「「「「……………」」」」


 誰も喋らねぇ。勉強会というのは本来友達とわからないところを教え合う事が目的だ。しかしだ、もしその場にいる人物たち全員が頭が良かったら?テスト範囲の予習を終えていたら?その結果は……自習室にいるのと変わらないという事だ。いや、別にいいんだよ?確かに勉強は捗るから。だけどさ、ここは俺の部屋なわけで、自習室じゃないんだよ。やっぱり自分の部屋で集まった時は楽しく過ごしたいじゃん?だから、俺としてはこの状況をなんとかしたいわけで、だけど俺一人じゃ解決策が見つからない。だから、


「ちょっと庭の花を摘んでくる」


 と言って返事を待たずに俺は部屋を出た。


 ――バタン


「……ふぅ。脱出成功。んじゃ、相談に行くか」


 俺は今から相談に行くのだ。そう、年の功という力を持った志帆姉に!


 △▼△▼△


 僕は今窮地に追い込まれていた。


 誰も喋らない勉強会という一種の地獄にいたけど、問題に集中すればそこまで気にならなかった。

 だけどだ!ついさっき奏斗が部屋からいきなりいなくなった。そう、いなくなるっていうアクションを起こしたんだ。そのせいで、僕は反応して顔を上げ斜め前の美琴さんとばっちり目があってしまったんだよね。


「……………」


 ここで僕はどうすればいいのだろうか?今の所僕が選べる選択肢は三つ。


 ▷会釈をして勉強に戻る

 ▷会話を振る

 ▷自分も部屋を出る


 まず一個目が一番無難だね。そして二個目は物理的に不可能。だってどうやって一文字で会話を振るのさ?難しいですねっていうんだったら「難」って言うことになるんだよ?もし僕が言われる側だったら苦笑いで無視するね。だって意味がわからないから。そして三つ目は……とても魅力的だ。逃げるは恥だが役に立つっていう言葉もあるくらいだし。……よしこれで行こう!


 そう思い僕は立ちあがろうとして……気づいた。


 足が痺れて立てない。


 そのせいで思わず顔を顰めてしまった。頑張れば立てなくもないけど、それで無理して転んだりもしたくないし……一個目の選択肢を選ぼう。


 △▼△▼△


 どうしましょうか。


 先程奏斗さんが席をお立ちになった時私は顔を上げたのですが、ちょうど芳田さんと目があってしまったのです。いえ、いつもなら会釈して終わりなのですが何故か芳田さんがジッと私の事を見つめてきて……もしかして惚れられていたのでしょうか?ですがそんな素振りは今まで無かったはず……違いますね、恋に時間は関係ないと何かの本で読んだ覚えがあります。つまり祐樹さんはこの数十分の間に私の何処かに魅力を感じたのでしょう。


 そう思って芳田さんを見ると先ほどより真剣な面持ちになっています。(選択肢を選択中)これは……もしかして悩んでいる?ご自身の友人の家で告白すべきか悩んでいるのですね!確かによそ様のお宅で告白というのはハードルがなかなかに高いですからね。……ですが、私は告白されても受けることはできません。芳田さんは今までで二番目に魅力的な殿方ですが、つい先程私は奏斗さんと結ばれてみせると決意したばかりなのです。だからごめんなさ………待ってください。なんで今私睨まれたのでしょうか?(足の痺れ)しかも次の瞬間には会釈されましたし。……もしかして私の心を読まれた?そして、芳田さんにはそんな気は一切なかった。だから不快に思い一度は睨んだものの、一応気を使って会釈した?……死にたいです。恥ずかしいです。誰か助けてください!


 ――ガチャ


 △▼△▼△


「なるほど。会話が無さすぎて気まずいからそれをどうにかしたい、と」

「そうなんだよ。何かいい考えない?」

「そうですね……」


 チラッ

 チラチラッ


 志帆姉は料理の手を止めて考え込む。そして俺は期待のこもった目で志帆姉を見つめる。志帆姉顔を逸らす。俺が正面に回る。また逸らす。……俺は一体何を?


「……申し訳ないのですが、ちょっと離れててください。集中できないので。」


 ごめんなさい


「……このお菓子を持って行って休憩を挟まれてはいかがでしょう?」

「……なるほど!いいね!」


 さすが志帆姉。社会人なだけあって機転が効くな。まさかお菓子を用意してくれてるなんて。そんな時間は無かったはずなのに。そう思いながら俺は志帆姉が2つの紙袋から取り出したお菓子を持ち部屋の扉を開け


「休憩しようぜ!」


 と言い放った。


 △▼△▼△


 その後、割と楽しく過ごせた勉強会が終わり、俺は志帆姉と一緒にコップや皿を洗っていた。


「志帆姉のおかげで途中から楽しく過ごせたよ。ありがとう」


 感謝の言葉は大事だからしっかり伝えないとね。特にあの短時間であんな高そうなお菓子を用意するのは大変だっただろうし。


「いえ。大したことじゃありませんよ」

(お二人から頂いたものを出しただけですし大したことは……お土産といえば)


「あの奏斗様?先程虎白院様が随分と大きな荷物をお持ちでしたが何か渡したのですか?」

「ん?……ああ、枕をあげたよ。当てちゃったお詫びをしたいって言ったら、枕が欲しいって言われてさ」


 うん。あれは意外だった。まさか枕を要求されるとは思わなかった。顔に当たった瞬間運命でも感じたんだろうか?「こ、これは!安眠の枕!?」って感じで。


「……待ってください。枕を渡したのですか?」

「そうだよ?俺は別に枕なくても寝れるし」

「っ〜〜!」


 何故そこで額を抑える?別にいいじゃない。枕くらい。……もしかして、俺の体調が崩れないか心配してくれている?だとしたら嬉しいな。


「大丈夫だよ。枕がなくなっただけで体調は崩さないし」

「そうではないのです」


 何が違うっていうのさ。さっきから俺を気遣う気持ちしか感じられないぞ?このツンデレめ♪志帆姉の新たな側面発見だな。


「志帆姉は可愛いね」

「はいっ!?」


 △▼△▼△


「はぁはぁはぁ……こ、これは慣れても危ないです。1分以上嗅いだら意識が持っていかれてしまいます。私はとんでもない宝を手に入れてしまいましたね」


ちょっと強引だったかな?……だけど、そろそろ勉強会は終わらせたかったんだよね。


それにしても安眠の枕ってドラクエにありそうだな

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― 新着の感想 ―
[良い点] 流石、美琴だね。一分耐えられるのかw
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