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転生先は貞操観念逆転世界!?  作者: 晶洞 晶
第一章 中学入学編
25/67

帰宅

 

「ただいまー」


  と小声で言いながら暗い家の中にそおっと入る。なんでこんなことしてるのかって?そんなの気まずいからに決まってるだろ。今朝、志帆姉さん、志帆姉でいいか。志帆姉に抱きついたまま出てきちゃったことを、家に入る直前で思い出したんだよ。生徒会が濃すぎたせいで完全に忘れてた......!荷物を置きながらパチっと玄関の電気をつけ「おかえりなさいませ」うぉおい!?


「た、ただいま」

「はい。おかえりなさいませ......電気をつけ忘れてしまい申し訳ありません」

 

 ほんとだよ。まだ、心臓がバクバク言ってるもん。

  そう思いながら、玄関先で三つ指ついてお出迎えしてくれた志帆姉を見る......メイド服だとどうにも違和感があるな......じゃ、なくて!意外と志帆姉の様子が普通だ。実は朝のことそんなに気にしてない?


「えっとじゃあお風呂に入ってくるね」

「はい。行ってらっしゃいませ」

 

 そう言って風呂場に向かう俺を見送る志帆姉には特に変なところは見当たらず、俺は思わずほっとしてしまうのだった。


  △▼△▼△


  ――バタン


  奏斗様が洗面所に入り、扉を閉めたのを見たと同時に私の体から一気に力が抜け


「うぅぅ......失敗しちゃったぁ。なんで電気をつけることに気づかなかったのよぉ」


  ――素が出た。


  奏斗様、もといカナトくんがいる時は条件反射で、できる女を気取ってるけど本当の中身はこんなものだ。(できる女?)


「でも、あんなことされた後にどんな顔して会えばいいかわかんなくて、ずっと悶々としてたんだもん」


  え?誰と喋ってるのかって?それは


「あ、あの程度で気絶するお前がわ、悪い。こ、こういうのは時間を置くと、さ、さらに気まずくなる」(超拡大音声)

「そ、それはどこ情報なのよ。」

「わ、私の実体験。だ、だから信憑性は、ば、抜群。く、くひひひ」(超拡大)

 

 このキャラが濃すぎる女性は私のバディとして、カナトくんの護衛にあたる暗殺者の真霞さん。暗殺者が護衛?と思うかもしれないけど、餅は餅屋っていう言葉があるようにすっごく役に立つ人ではあるの。......ただ天井とか軒下から話しかけてくるのが唯一の欠点かなぁ......。だから私もまだ直接会ったのは一回だけなんだよね。


「あ、夕食の準備に戻らなきゃ」

「そ、それはめ、メイドのし、仕事じゃない」(超拡大)

「私がやりたくてやってるの。あなただって私の立場になったらそう思うわよ」

「わ、私はち、近づけないのだ。く、くひひひ」(超拡大)

 

 なんかすっごく変な人だけど悪い人ではないんだよね。

  そう思いながら、私はキッチンへと向かって行った。


  △▼△▼△

  やっぱ風呂っていいね。嫌なこととか楽しかったこととか全部洗い流してくれる。(楽しいことは流してはダメでは?)

  おかげで、いつも通りに志帆姉と接せられそうだ。お、志帆姉だ。


「湯加減はいかがでしたか?」

「いい湯だったよ。ありがとう」

 

 そう言って志帆姉に近づいた......んだけど、何故か距離が縮まらない。

  これは......志帆姉が後ろに下がっている?そのままの体勢で?


  ――スッ

  ――スッ


「「...............」」

 

 ――ススッ

  ――ススッ


「「...............」」

 

 これ絶対朝のこと気にしてるじゃん!!だって俺が縮めた距離分後ろに下がるんだもん!あ ゙ーー!志帆姉が気にしてるってわかったらこっちも、すっっっごい意識しちゃうんだけど!


「......夕飯食べますか?」

「......はい」


  ――カチャ、カチャ

  ――モグモグ

  ――ゴクゴク


  ふう......くっそ気まずい。美味しいはずの料理の味が3割減してる気すらする。これは、早急になんとかせねば......!


「志帆姉」

「ん!?......ンゴク。ふう......なんでしょうか?」


  今すっごいタイミング悪かったよね。喉に詰まらせかけてたし。

 ホントにごめんね。


「......今朝。寝ぼけていたとはいえ、嫁入り前の女性に抱きつくなんてことをして本当に申し訳ない!この通りです!」

 

 ――ゴンッ!!


  そう言って俺はバッと頭を下げた。なに?嫁入り前の女性とか古いって?はっ!俺はそうやって育てられたんだよ。『結婚相手以外と接吻、抱擁とかの情交を交わすんじゃねえぞ!もしやったら土下座して謝れぇ!』ってな。......土下座した方がいいかな?反応がないから不安になってきた。そのせいか頭が痛い。(違うと思う)


「......あ、頭を上げて!?全然謝る必要ないよ!?むしろよかったし!」


  俺の誠意が伝わったか。よかった......もしかして志帆姉の素が出てる?いつもと喋り方が違うし。


「......志帆姉の素ってそれ?」

「へ......?あ、ち、違います!こっちが素です!」


  いや、指摘された途端に口調を変えちゃダメでしょ。バレバレだよ。


「そっかぁ残念だ。さっきの志帆姉可愛かったんだけどなぁ」

「か、かわっ!?!!?」

 

 ふふふ。動揺してるな?志帆姉がずっと道場通いでこういう褒め言葉に弱いことは知っている!


「あー。残念だなぁ。さっきの可愛い志帆姉見たかったなぁ」

「う、ぅぅう......」


  志帆姉が若干涙目になった潤んだ目で見上げてくる......やばい。破壊力が半端じゃない......!!


「そ、そのこちらもずっとやってきたからか、私にとっては素とほぼ一緒なんです」

 

 そっか......残念。だけど、メイドモードの志帆姉も道場時代からずっと見てきているし、なくなったらなくなったで寂しかったかもしれないから、別にいいかな。


「だ、だけど。その......たまになら、こっちを出すかもしれない……です」


  レアリティ付与きたぁああ!!それってあれだよね?嬉しいことがあったら偶に出てくるっていうやつだよね!?ならば


「俺、志帆姉をたっくさん幸せにするから!」

「ありがtえぇえええ!!?!!!??」


  静かな住宅街の夜空に、俺の決意と志帆姉の絶叫が響き渡るのだった。


真霞さん……今はわかんないけど、存在を忘れた頃に出すかも

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