表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/143

<悪巧みと契約成立>

あのククク野郎が付いて来た時に悪い予感はしたが、やはり悪巧みしていやがった。

モノマネした時の仕返しなのか、只の嫌がらせを楽しんでいるのか本当に信用ならない。

だが今は取り敢えず彼女を助けに行かないと、又ククク野郎が何するか解らない。


鍵は開いていたので難なく室内には入れたが、中では黒いローブを纏った誰かが倒れている。

慌てて駆け寄り起こそうと抱き抱えると、其れは骸骨だった。


驚いたと同時に、不気味な違和感を感じる。

朽ちているなら、普通は崩れ落ちていくはずだが。

まるで生きているかの様に骸骨は全体の形を保っていて、今にも動きだしそうだ。


そう思っていると頭に機械的な声が響く。

魔王:グレン・ルーファス

[擬態姿真似]の条件が整いました。


やはりオカシイとは思ったが、魔物の遺体だったのか。

だが一つ解ったぞ、どうやら戦わないと能力擬態は出来ないらしい。

だが気のせいか?今、魔王って聞こえた気がしたが。


「人間が二回も来るとは珍しい日だな」


不意に喋りだした骸骨に驚き手を放しかけると、骸骨は何事も無かったかの様に話し掛け続ける。


「そう怖れるな、もう我は消える身だ。其れよりも頼みが在る引き受けてくれんか?」


骸骨兵の親玉らしき恐ろしい見た目とは裏腹に、威圧感の在る話し方ではなく。

少し安心はしたが、恐る恐る訊ねてみる。


「頼みとは、どんな内容でしょうか」


「我が消えて配下が哀しまぬよう我の代わりに主になってほしい、お前のスキルなら其れが可能だろう」


どうやら俺のスキルは見抜かれているので、理由を付けて断りづらい。

其れに主って、やはり魔王というのは聞き間違えではなかったのか。


特にメリットが無いので悩んでいると、魔王は話しを続ける。


「勿論タダとは云わん、我の知識を全て授けよう。其れに我が転移した城もお前の物だ、どうだ悪くはないだろう」


確かに条件は悪くない。

外は荒野で、きっと魔物が沢山居るだろうし。

人間の済んでいる所迄行けるかは解らない。


くれるという城も全体的に薄暗くはあるが、かなり広く豪華。

此の部屋は所々に戦闘跡のような傷が付いていて、寂しげに大きな椅子が一つ有るだけだが物件としては悪くない。


配下を騙すのはどうかと思うが、気にしなければタダで寝る場所を得たようなものだし。

上手く誤魔化せれば、彼女を救うリスクもゼロになる。


「喜んで引き受けましょう」


「契約成立だな」


そう云うと魔王は砂の様に崩れ落ち、ローブだけを残して消えていった。


早速ローブを纏い[擬態姿真似]で魔王:グレン・ルーファスを選択。


見た目が骸骨になってしまったので、恐れられるかもしれないのは残念だが仕方ない。

此れで彼女が救えるなら、其れだけで充分だ。


そう思ったのも束の間。


「そろそろ我の配下が来るぞ」と先程消えたはずの魔王の声が、直接頭に聞こえてくる。


どういう事だ、消える身じゃねーのかよ。


口に出していない俺の疑問に、魔王が意識内で答える。


「喜べ。お前の魂に取り付いて、我の知識を授けているのだよ。このまま消えてしまいたかったが、まあ人間の寿命なぞ短いからな仲良くしようじゃないか」


取り付くって?最初の説明で聞いてねーよ。

しかも寿命分って、仲良くしようじゃねーよ。

こんなん呪いじゃねーか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ