第4話
春香は家に帰ってきた
春香「ただいま」
春香がそう言うと
母「お帰りなさい」
母が出迎えてくれた
母「あ~春香、お母さんさネギ買い忘れちゃって買って来てくれない?」
と母が春香にお願いする
春香「ごめん、ちょっと今日は疲れてるから無理。」
母を避けるように春香はすぐに自分の部屋へ歩いていった
春香「まさか、私…本気でみつき先輩の事好きなのか。」
部屋で春香は呟いた
どうして、相手は女の人だよ!!
ぶっちゃけ恋愛とか高校でするものって思ってたけど
初めて好きになるのが女って!!
春香「どうしてだよ…」
さすがに美咲にも相談できないよ
でも、今日の頭撫で撫では反則だったな…
って!何考えてるんだ私は!
春香「あーもう、どうしよう」
ベットに横になって枕に顔を埋める
こうなったのは初めてのことだ
春香「落ち着け私、そうだよく考えよう」
たとえばみつき先輩と、キ、キスできるか考えよう
これで出来ないなら只の憧れだ。
春香「みつき先輩…」
春香が目を瞑る、口を少し前に出す
妄想の中のみつきが「春香…」
春香「先輩…、って!!キス出来るじゃあああああん!!」
枕に顔を埋める
やっぱり好きなんだ私…
でも、好きなんて言えないし、それにみつき先輩は友達と仲直りしないとだし
今はこの気持ちは抑えないと駄目だよ。
春香「私は先輩のパートナーなんだ!バドミントンに集中しなきゃ」
私は置きっぱなしのタオルとつかむと素振りを始めた
先輩への気持ちを打ち消すかのように只管タオルを振った
次の日…
美咲「春香おはよう!」
美咲が春香に挨拶をする
春香「お、おはよう」
目を擦りながら春香が言う
美咲「寝不足?また遅くまで何かしてたでしょ」
やっぱり美咲は鋭いな
結局寝れなくて素振りしてたら朝になったって
言えるわけない!!
春香「ふふふ、美咲の事考えてたら寝れなかったんだよ」
カッコよく美咲のほうを見て春香が言う
美咲「大丈夫?熱あるの?保健室行く?」
本気で心配されてしまった…
放課後になる
美咲と少しお喋りをして
お互い部活があるからとさよならした
でも、正直部活に行きたくなかった
こんな気持ちでみつき先輩に会いたくなかったのだ
重い足取りで部活へ向かう
「春香~!」
聞き覚えの声が聞こえる
春香「み、みつき先輩!こんにちは」
私は大きな声で挨拶をした。
みつき「こんにちは!今日はダブルスの特訓だよ。顧問の先生にも春香と組むって伝えたからね」
嬉しそうにみつきが春香に言った
春香「はい!で、でも本当に私何かでいいんですか?」
心配そうに春香がみつきに尋ねる
みつき「大丈夫だよ!私シングルで余ってて他の2年生はみんなダブルスなんだよ」
笑顔でみつきが言う
あぁ、やっぱり美人でカッコイイな
春香がみつきに見惚れていると
みつき「何ボーっとしてるの?ほらアップ始めるよ」
みつきが春香の手を引っ張る
春香は引かれるままみつきの後について行った
みつき「みんな集合!!」
大きな声でみつきが合図すると2年生が一斉に集まってきた
みつき「新入生が一人入ってきました。ほら自己紹介して!」
そうみつきが促すと
春香「あ、紹介に挙がりました安城春香って言います。宜しくお願いします。」
春香が自己紹介すると二年生達が拍手をする
「よろしくねー」
「何かあれば聞いてね」
「うちのバドミントン部人数なかなか来ないから嬉しいよ」
二年生達がそれぞれ春香に声をかける
みんな優しい先輩達だなぁ
みつき先輩もいるし頑張れるかも!
みつき「そして、私は春香とダブルスを組む、みんなもそうだけどやるからには勝つために練習する」
真剣な表情でみつきが言うと
二年生達も真剣にみつきの目を見つめる
みつき「春香がいるからって手加減とかしないで、全力でかかって来て!」
そのみつきの声に全員が
「はい!」
と声をあげた
そしてアップが終わった後
ダブルスが始まる…
一通りルールをみつきから習うと
試合がすぐに始まった
春香「あぁ…」
初心者の春香はシャトルに当てるのもやっとだった
みつき「春香、今のは取れたよ、しっかりラケット振って!」
いつも以上に厳しいみつきがいる
だがそれでも春香はそれに答えるように
春香「はい!」
と返事をした
全員とダブルスが終わった。
しかし一回も勝つことは無かった。
クールダウンをして
部室で着替えに行く。
みつき「春香!お疲れ様。きつくなかった?」
みつきが心配そうに聞く
春香「それは大丈夫です!でも勝てなくて」
春香が下を向きながら言う
みつき「気にしないでよ。むしろ一つでも勝てたら凄い事だから」
少し笑顔でみつきがそう言った。
みつき「今日も一緒に帰ろうか?」
みつきが誘ってきた。
春香「あ、はい!」
私は少し吃驚しながら
みつき先輩返事をした
「みつき~お疲れ!」
みつき先輩以外の二年生が手を振りながら帰っていく
みつき「春香、今日はよく頑張ったね。でも何回かシャトル打ててたしもしかして素振りとかしてた?」
ギクッみつき先輩鋭いな
美咲並だ。
春香「あはは、少ししてました!」
本当は寝れなくてずっとやってました。
みつき「そっか!何か私の為に一生懸命にやってくれて嬉しいよ」
嬉しそうにみつきが笑顔で言った
あー素敵だな
春香が見惚れていると
みつき「あのさ…」
少し俯きながらみつきが言う
春香「はっ、えっとどうしました?」
春香が我に戻ってみつきに言う
みつき「春香は好きな人っているの?」
唐突なみつきの質問に
春香「はぁえ?」
春香は変な声で返してしまった
みつき「いやぁ、春香は可愛いからモテそうだなぁって」
みつきが少し笑いながら言った
春香「い、いやぁモテないですよ!!逆にみつき先輩はいるんですか!?」
本当は聞きたくないのに
私はつい聞いてしまった…
みつき「んー気になってる人ならいるよ」
あ…やっぱりいるんだ
そりゃそうだよね、高校生だし一人くらい居ても当たり前だよね。
春香「そ、そうですよね!先輩美人だし!その人が羨ましいです」
本当に羨ましい…
やっぱ女の子に恋するのはつらい
みつき「それで、春香は?」
またみつきが春香に聞く。
春香「先輩です。」
自然と春香が口に出してしまった
みつき「え、えっ!?」
吃驚したようにみつきが聞き返した。
はっ!余りにも羨ましすぎて
自然に言ってしまった!
ど、どうにか訂正しないと!!
春香「あ!、あの、私その…あの…」
私が戸惑っていると
みつき「春香…」
えっ…先輩
みつきが急に抱きしめてきた
どういう状況か私には分からなかった。
只先輩の温もりを感じながら、私は言葉を発する事ができなかった…