2パート
「はぁ・・・・・」
「もー、しっかりしなさいよ。魔法少女でしょあなた。」
「だってー。」
「口をとがらせない。そんなの誰しもあるから。そんなに落ち込んでたらあっちに伝染するからあなたは元気にしてもらわないと。」
「とてもなれません。」
「すいませんなんか。」
「なんで桜が謝るのよ。呼んだのは私なんだから。元々はお友達に魔法少女の知り合いがいるとか吹き込んだ私が悪いんだけど。」
「あれ、恵さんだったんですか。」
「そうそう。患者さんでねー、足を骨折した子がいるんだけど私が友達に魔法少女の知り合いがいるって言ったらそのお友達と魔法少女についてお話したいって言うもんだから来てもらったの。肝心の魔法少女の知り合いがあの凹みっぷりだけどね。」
暁美はしょぼくれた顔で髪をいじっていた。
「ほら暁美、無理にでも元気出してあの子に会って上げないと。」
「元気は出ませんが会うだけ会います。」
「だめだこりゃ。あの子外にいるから会ってあげて。」
「まぁ仕方ない。このままで会ってもらうしかないですね。」
外に出ると車椅子に座りボールで看護師と遊んでいる女の子がいた。
「あの子だよ。ほら、瑠々ちゃん。お友達連れてきたよ。」
「魔法少女のお友達?」
「そうそう。こっちの背が小さいほうね。」
「こんにちは。お姉さん魔法少女のお友達なの?」
「そうだよー。」
「魔法少女ヒカリさん元気?」
「ちょっと元気じゃないかなー。」
「ふーん。じゃあこれあげて。」
瑠々があげたものは画用紙で作ったお守りだった。「たいへんだけど、ムリしないでね」と書かれていた。
暁美はなんだか救われた気分だった。
「これ、ちゃんと魔法少女ヒカリさんにあげるね。」
「うん。瑠々ねー、今度手術なんだ。私も魔法少女ヒカリさんみたいにがんばるね。」
「そっか、足、治るといいね。」
瑠々に手を振る暁美。元気になってもらうつもりで会いに行ったのに私が元気づけられてしまった。私もまだまだである。
「こんなの作ってたんだ。知らなかった。」
「よかったわね暁美。」
「はい。元気になってもらうつもりだったのに逆に元気づけられちゃいました。」
「親御さんの話だと走ったり、ボール遊びするのが大好きな子で足を怪我してしばらく走れないって聞いた時は随分落ち込んでたみたいだよ。でも、あんなに元気になって。リハビリも一生懸命やるから治りも順調。もしかしたら魔法少女ヒカリのおかげなのかもね。」
「だったら素敵ですね。」
そんな中桜に電話がかかってきた。
「ハチ型の鬼がそちらへ飛びさっていくのが確認されたそうです。」
「私、行きます!ジーチェ・シーフェン。」
たちまち魔法少女ヒカリに変身した暁美。
「カーモ・フーラバ。」
蝶を呼び出し、上空に飛んでいった。
空を飛びながら心の中で言った。
世の中には最低な人もいる、人のことを騙す人もいる。だからこそ、桜さんや、恵さん、警察の仲間たちや弘樹さん、瑠々ちゃんのような一生懸命生きている人達が素敵に見える。
その素敵な人達にはずっと素敵なままでいて欲しい。だから戦う。素敵な人を素敵なままでいてもらうために。
「カーモ・キーテス。」
ハチ型の鬼が手にしているフェンシングのような剣とステッキが交わった。上空で火花が散った。
自分を不利と見たハチ型の鬼は地面の方に逃げるため森林の方へ急降下した。魔法少女ヒカリは大地の形態に戻った。
「ツーヒツ・キーテス。」
エネルギーをため、後ろからすれ違いざまにステッキを当てた。
魔法少女ヒカリが地面に降り立つと同時に炎に包まれたハチ型の鬼が落下。爆発した。川のため山火事にはならなかった。
「・・・・・やっと会えたね。今の世の魔法少女ヒカリ。」
「えっ?」
強烈な妖気のため周囲が暗くなりその暗い妖気の中心部から黒い服を来た女性と分厚い外骨格と装飾品、剣を持った鬼が姿を現した。
「まぁ、私のかわいい鬼になんてことを。」
「鬼が人を傷付けるから倒したのよ。」
「あんな醜い生き物を傷付けるのの何が悪いの。」
「般若様、私に是非。」
「まだ早い。戦い終わって疲れてるところを倒してもつまらないでしょ。もっと絶望してもらわなきゃ。」
「わかりました。」
魔法少女ヒカリはステッキを持って般若へ向かって走り出した。
ステッキを叩き付けようとしたがそれをとなりの鬼が受け止めた。
そして恐ろしい力で持ち上げ、後方へ吹っ飛ばした。岩の壁に叩きつけられた。
「魔法少女ヒカリは代を経る事に無謀になっていくのかな。」
「あの程度の相手、般若様にはかないません。」
「でしょうな。」
般若は魔法少女ヒカリの近くに歩き出した。黒い服が揺れた。
起き上がろうとしている魔法少女ヒカリを真横に蹴り飛ばした。
「まぁいいわ。また会いましょう魔法少女ヒカリ、いや、光良暁美。」
般若は闇の中に消えて行った。名前まで知られている。新たな敵の登場にただただ驚いていた。