1パート
「我に魔法の力を。ジーチェ・ジーフェン!」
魔法少女ヒカリが鬼の目の前に姿を表した。純白の姿は月の光をうけ輝いていた。鬼が数人殴りかかってきたが得意の足技で蹴り飛ばした。鬼たちを転ばせた。
桜がブレードを持ってテントから覗くと魔法少女ヒカリはステッキを持ち、すれ違いざまに何体もの鬼を撃破していた。鬼たちの中で光り輝いた姿でステッキをもって立っている魔法少女ヒカリがつい今しがたさつまいもをほおばっていたまだあどけない女の子とはとても思えなかった。
瞬時に山の形態に変わった魔法少女ヒカリは鬼たちにレイピアをあてがい、かき集めまとめて切断した。あたりは爆風に包まれた。
さらに高々とジャンプして駆けつけた蝶の上に乗った。
高度をあげながら翼の生えた鬼を次々と切断し倒していった。
今度は水の形態に変わり、遠く離れている翼の生えた鬼を弓矢で射抜いた。
ことごとく魔法少女ヒカリに撃ち落とされ撃破されていった。
そして、ビルの高い階の般若がいるフロアに窓ガラスを突き破って飛び込んだ。
「いらっしゃい。あなたには火途がお似合い。あなたが百鬼と戦った時の黒い羽からこの子は強の形態を手に入れたわ。この子に倒されなさい。」
火途はエネルギーをためると魔法少女ヒカリ強の形態によく似たラインをまとった。
魔法少女ヒカリは必ず勝つと想いを込めて強の形態に変身した。
火途と蹴りがぶつかりあった。敵の足を掴み放り投げた。火途は柱にぶつかり柱が大きくえぐれた。
魔法少女ヒカリと火途が強烈な戦いをしている中、儀式は粛々と進んだ。
ビルを中心に不気味に光る六角形が上空に広がった。
腹部へのパンチが炸裂し、火途は吹っ飛ばされた。
火途はいよいよエネルギーをこめ、必殺技を繰り出そうとしていた。腕の装飾品をステッキに変え、魔法少女ヒカリと同じようにステッキの先が鋭く伸びた。
「ツーヒツ・ライズ・キーテス。」
魔法少女ヒカリも必殺技の呪文を唱え、必殺技を繰り出した。
鬼の真っ黒な光と魔法少女ヒカリの白い光がぶつかりあった。
強烈なエネルギー同士のぶつかり合いはさらにひろがり窓ガラスなどをはじき飛ばして真横に広がっていった。般若の祈りを妨げ、般若はそこで転んだ。
白と黒の光がぶつかり合い大きく広がった。
こんなやつに負けるもんか!
エネルギーのぶつかり合いで純白の光が黒い光を押し返した。やがて黒い光を引き裂き黒い光は割れ、魔法少女ヒカリのステッキが火途にあたり、火途は爆発して倒された。
「いやぁすごいわね。わたしの火途は百鬼の時の強の形態よりも強い能力をあげたんだけどそれをも倒すとは。」
魔法少女ヒカリは黙って見つめていた。
「仕方ないなぁ。そこまで邪魔するなら私が直に手を下すしかないじゃない。これだけはやりたくなかったんだけどね。」
般若は手を掲げた。するとTVやラジオの電波を支配した。TVに魔法少女ヒカリと般若の姿が映し出された。
「魔法少女ヒカリだ!」
あちこちからそんな言葉が聞こえた。
「なんのつもりだ。」
「人類には絶望してもらわなきゃ。あなたが倒されるのを是非みんなに見てもらって絶望してもらうの。そうしたら鬼になるのもスムーズでしょ。」
「つくづく嫌な趣味だね。あんた。」
「それじゃ、いくよー。我に魔法の力を。魔法少女、オーガ。」
般若、魔法少女だったのか。般若は魔法少女オーガに変身した。魔法少女ヒカリは蝶だが魔法少女オーガはカラスの力を身につけていた。その為姿は似ているものの真っ黒だった。
「よくもまぁ私のかわいい鬼たちを倒してくれたね。まぁでもいいわ。ちんたら戦ってくれたからこうして完全体になることができたんだし。あなたを倒して儀式をやり直すわ。」