1パート
弱い自分が嫌だった。魔法少女としてだけでなく、逃げようとした自分が。桜さんの優しさに甘えてすべてから逃げようと一時的にも考えた自分が。
魔法少女は私しかなれないのに。
なんで私なんかが魔法少女になったんだ。家系的には仕方なかったとはいえ私の家系に生まれたのが桜さんのような強い人だったら良かったんだ。
もはや涙も出ない。決定的に向いてない人間が魔法少女になったものだ。
「ほんと、向いてない人間が魔法少女になったもんだね。やめちゃおうとか逃げちゃおうとか考えたし。」
「いいんじゃない?」
「えっ?」
「別に逃げようと考えたって。だって暁美お姉さん優しいもん。目玉焼き作るの手伝ってくれたじゃん。お母さんとケンカしたまま嫌だったから。お姉さんのおかげで仲直りできたんだ。」
「でもわたしは無力だし。弱いし。」
「僕好きな歌があるんだけどその歌詞にあるの。自分にもある弱さを知ればほんとのヒーロー。きっとそう言う事だよ。」
自分にもある弱さを知ればほんとのヒーロー。なんて素敵な言葉だろう。弱くたってヒーローになれるのか。ヒーローになれるなら魔法少女にだってなれるだろう。弱くたってなれるんだ。弱さを認めることができなかっただけか。
「あー、できたできた。ぜんぜん本物と違うけど。ほら、これ。」
「なーにこれ?」
薄いピンク色の紙で作られていて赤い画用紙が先に貼ってあった。
「これねー、まねっこして作ったんだ。魔法少女ヒカリのステッキ。これ、預かってて。」
「いいよ。もらっちゃっていいの?」
「お姉さん持ってないと意味がないんだ。お姉さんが魔法少女ヒカリやめた時はそれを僕に魔法力をためてちょうだいよ。僕がお姉さんの代わりに魔法少女になって鬼をやっつけるんだ。ぼく男の子だから絶対お姉さんよりも強いもん!だから自信持って!」
暁美は大粒の涙を溢れださせながら泣き出した。こんな小さな男の子が代わりになってくれるんだって。しかも、鬼に石を投げて対抗したんだから私よりも勇気があるかもしれない。こんな男の子が応援してくれていたのか。
「ありがとうね。お姉さんとってもうれしいよ。元気もらった。」
「よろこんでもらえてぼくもうれしい。」
「もう大丈夫だよ。私。今度こそあんなやつに負けるもんか。」
「そっか。じゃあ応援・・・・・まって!ぼくも行く!応援する!止めても無駄だからね!」
「わかったわかった。来てもいいけど怪我しないくらい遠いところで見ててね。」
「はーい。」
「まずは弘樹さんのところに行こう。」
弘樹さんに言ってブレスレットを返してくれるように頼んだ。
「いいけど、真っ黒なままでなにも改善できてないぞ。いろいろ試したんだが。」
「いいですよ。預かっててくれてありがとうございます。」
桜も合流した。
「いたいた。大丈夫なの?」
「はい。負けっぱなしは嫌ですから。」
「あなたがいいならいいけど・・・・・実は百鬼を倒すために振動を発生させる装置を用意してそこでみんなで強化弾を撃ち込んで仕留めるつもりなんだ。そこに行けばバックアップもしっかりしてるし。でも、変身できないんじゃない?」
「やってみないとわかりませんよ。なんせ、相手は魔法ですし。とりあえず雄介くんが、応援したいらしいので応援してもいい安全な場所に送ってもらってもいいですか?」
「わかった。じゃあ先に行ってるね。」
桜を見送った後、早速変身の準備を始めた。しかし、案の定何度唱えても変身できなかった。
「やっぱり無理かな?魔法を信じるしかないか。」
大きく息を吸ってまた何回も試し始めた。




