過去の告白
「なんだ急に。今年で19だ」
「へ〜、若いなぁ。・・・待って、今なんて?」
さらりと聞き逃したが、19と聞こえた気がする。
「今年で19になると言ったんだ。今18歳」
「じゅ、18・・・?未成年・・・」
「俺は大人だっ!15で成人してる!!」
眦を釣り上げて怒るルイをよそ目に、私は茫然と呟いた。
「1つしか違わないのに・・・」
彼は王様だっていうの?
「成人しなければ王にはなれん!・・・1つしか違わないだと?なにがだ」
「・・・年齢。今17でそろそろ18になるの。ちなみにまだ未成年よ」
「な、なんだと・・・」
そんな馬鹿な、とルイも呟く。そして、悲しそうな、憐れむような目で見てきた。
「・・・なによ」
「・・・成人もしていない17の娘を、お前の母は捨てたのか」
「いいの。母さんには新しい″私″がいるから、きっと幸せでしょ?」
「そうじゃないだろ!なんなんだ・・・なんだよ、新しい″私″って・・・」
「・・・私ね。喋れなかったの。微かにしか喋れなかった。その上病弱で、母さんは私を嫌ってた。人に合わせたくなくて、中学から学校には行かせてもらえなかったの。母さんが代わりの子を見つけて来て追い出された時、私、自殺したのよ。でもね、裏山の社の神様が助けてくれたの。風景画と曲のお礼にって。・・・絵は小さい頃から描いてて、喋れない代わりに弦楽器を弾いたりしてたんだけどね。家も名前も持ち物も、全部失くしちゃったの」
ぼーっとしながら小さな声で話す私を、ルイは何も言わずに聞いている。
「龍が好きな理由はね、彼らが長生きするからよ。どんなものよりも長生きするって、凄く悲しいことだと思わない?強く美しいのに、怪物として退治されることが多い。それでも人は龍に憧れるのよ。この世のものが敵わない、あの優美な生き物に。手の届かない、自由で孤高な存在に」
見上げると、ルイは酷く悲しそうな目をしていた。苦笑して、恐る恐る綺麗な頬に触れる。
「・・・ルイ陛下は、龍みたいね。1つしか違わないのに王様として国を守ってて、しかも凄く綺麗な人だし。・・・ねぇ、やっぱり私は貴方のお嫁さんにはなれないよ」
「なぜ。俺はお前がいい」
「私の境遇に同情してるの?そういうのは嫌よ」
苦しそうに顔を歪めたルイの頬をもう一度撫で、私はゆっくりと自室へ戻っていった。




