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白の姫君  作者: アラウ
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病弱≠淑やか

空高く馬肥ゆる秋、とはよく言ったもので、それはそれは澄み切った青空の下。私は城の屋根によじ登っていた。


「こ、ここら辺、ならっ、見渡せ、るかなっ」


なんでこんなにもスカートというものは動きにくいんだ。ズボンの方が絶対にいい。

ゼーゼー息を切らしながらもそこそこ高い所まで登ることが出来た。屋根に座り込むと、ドレスに引っ掛けておいた紙とペンを持って辺りを見回す。そして、城の下の方にあるものを見つけて目を丸くした。


「・・・り、龍だ・・・ドラゴンだ・・・」


電線に止まっているハトくらいの大きさに見える。と言うことは、結構大きそうだ。多分乗れるくらい大きい。

龍がいる、それだけの理由で今日の描く風景が決まった。時折翔び立つ龍に見惚れたりしながら、せっせと描き上げていく。

しばらくして、ようやく満足に描き終わった時、ふっと周囲が翳った。顔を上げるのと屋根に黒い龍が降り立つのとほとんど同時だった。角や爪、翼の先に行くにつれて白くなっていく龍の鱗を眺め、凛々しい紫の目を眺め、私はその龍に見惚れた。


「なんて・・・綺麗な・・・」

「ルラン。どうやってここに来た」


絶対零度の声がした。ここで聞くなどあり得ないその声に、思わず目の前の龍を見る。いや、確かルイの目は金色だった。

私がなにを思ったのか理解したのか、龍が顔を横に向けた。その背中に乗っている人を見て、唖然とした。


「あの・・・なにしてるんですか陛下」

「それはこちらのセリフだ。なにをしている」


怒鳴ろうとするのを我慢しているのか、怒りにワナワナと震えながらルイが言う。なんかよく分からないけど怒っている。いや、女の子が、しかも自分の嫁となる娘が城の屋根に登っていたら誰でも怒るかもしれない。


「周りの景色を描こうかと思いまして・・・ついでにどんなとこなのか見たくて」

「お前・・・お前、この下がどうなっているか想像出来るか?」

「この下?」


この下とは一体・・・?

よく分からなそうな私を、ルイは苛立たしげに睨みつけた。


「騎士や侍女がお前を探している。朝っぱらから行方不明になっているんだぞ」

「朝っぱらって、そんなに時間経って「もうすぐ昼だ」

「ええ・・・どれだけ登ってたの私・・・」

「登った!?今登ったと言ったか!?」

「え、い、言いましたが・・・?」

「登っただと・・・?あそこからここまで?・・・嘘だろう」


頭を抱えてバカだ、こいつバカだ、と呟くルイにイラっとする。


「あのね!病弱だからって淑やかだとは思わないでよね!私だって普通に楽しく生きたいの。このくらいいいでしょ」

「ああ、そうだな・・・とでも言うと思ったか馬鹿者!!」

「ばっ馬鹿者!?王様が龍に乗ってることの方がおかしいでしょ!普通謁見の間とかにいるもんじゃない!?しかも龍に乗るとかずるい!」

「ずるいとはどういう意味だ!これは私の龍だ、乗ってなにが悪い!あと今は休憩時間だ、謁見はとっくに終わっている。・・・いや、そうじゃない。屋根から落ちたら死ぬんだぞ!?・・・待て、どこに行く!よせ、落ちたらどうするんだ!!」


今まさに斜め下の屋根に飛び移ろうとした私の腰を、龍から飛び降りたルイが捕まえて引っ張った。いともたやすく捕まってしまった私は、精一杯抵抗する。しかし再び龍に跨ったルイにキツく抱き締められ、顔が近いのにも狼狽えた。切れ長の金の目が見下ろして来る。


「大人しくしていないと落ちるからな」


随分低い声にビクつきながらも、部屋へ戻る間プチ観光気分を味わえた。ただし、龍を降りてからはルイに抱きかかえられて。




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