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白の姫君  作者: アラウ
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割れ物注意

「まだ起きないのかこいつは」


ルランが召喚されてから2日。いきなり倒れた彼女は全く目覚めない。透明感のある卯の花色の髪にそっと触れてみる。あまりにも白すぎるそれは、病弱な彼女を余計に儚く見せていた。勿忘草色の瞳もまた。


「・・・」


医師曰く、彼女の心臓はとんでもなく弱いらしい。よくぞ召喚時に発作を起こさなかったものだと不思議がっていた。そういえば、泉から出てずっと胸を押さえていた。苦しかったのだろうか。


「・・・すまなかった」

「なにが?」

「うわぁ!!」

「陛下!?どうされましたか!」


ドアが外れるんじゃないかと言うくらい大きな音を立てて外にいた騎士が飛び込んできた。

俺を驚かしたルランはと言えば、俺が驚いたのとドアの音の二つにびっくりしてしまったのだろう。あろうことか、口をぱくぱくさせて過呼吸になりかかっていた。


***


跳びあがったルイに私の心臓も跳びあがり、ドアを蹴破らんばかりに飛び込んできた騎士を見てさらに心臓が縮み上がる。

とりあえずルイに謝らなければ。

そうは思うが過呼吸になりかかった肺は、言葉を言うほど回復していなかった。というか悪化している。


「お、おい落ち着け!待て、喋ろうとするな!・・・ルラン?おい、ルラン?」


あ、これはダメだ。

またもや意識がなくなるのを感じ、急に申し訳なくなって来た。こんなのが嫁では気苦労が絶えないだろうに。そしてまたルランは意識を失った。


***


「・・・」


腕の中でぐったりとしてしまったルランを眺め、ルイは早くも将来の不安を感じていた。

自然に目が覚めるまで眠らせておけば、身体は元に戻るらしい。というか発作のようなものだから、出来るだけ驚かしたり急に大声を出したり、とにかく心臓に負担をかけないように、とのことだった。言われた時はよく分からなかったが、これで分かった。危険だと認知すると、それ以上身体に負担がかからないように勝手に失神してしまうらしい。セーフティのようなもののようだが、非常に面倒である。


「・・・次目覚めるのはいつだ」

「・・・明日の朝のようです」

「長いな」


負担がかかればかかるほど、目覚めるのは遅くなる。今回2日も眠っていたのは魔力などを採ったりしていたからだろう。

ルランをベッドに戻し、俺はため息を漏らした。


「・・・ルランが移動出来そうな範囲の見張りを減らす。防具は音の小さい物にしろ。立ち位置は廊下の角などにして分かりやすくしてやれ。物陰の兵士で発作を起こされたら起きてられないだろう。」

「畏まりました」

「それと。なにがあってもルランの部屋にはそっと入れ。ただし驚かせるな。間違ってもドアを蹴破るんじゃないぞ」


青くなっていた騎士が一礼して退出する。他のものも静かに部屋を出て行く。


「レミア。お前にルランを任せる」

「畏まりました、陛下」


病弱なら体調に気を使ってやるだけでいいか、などと安易な考えをしていた俺は、翌朝その考えを打ち消さざるを得なくなった。



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