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白の姫君  作者: アラウ
18/21

発現

牢屋に入れられてから早1週間。手錠と首輪、目隠しをつけられてはいたがルランはいたって元気に生活していた。

ユンに抱えられて連れて来られたのは、城の奥にある王と許された者しか入れない場所だった。淡い色の垂れ幕の奥に、直径4mから5mほどの鳥籠のようなものが鎮座している。中には布の天蓋やたくさんのクッションが置かれ、とても居心地が良さそうだった。


「待て、はしゃぐのは後にしろ」


ベッドのようにふわふわした鳥籠の中に降ろされ、クッションの山に飛び込もうとした私をルイが捕まえる。そして5cmほどの厚みの皮を両手首と首に巻きつけた。ルイがなにか囁くとそれらは繋ぎ目が消え、代わりに銀色の長い鎖が現れた。鎖は鳥籠の中央の床に固定されているようだった。


「大人しくしてるんだぞ」


満足そうなルイはそう言って鍵を掛けると、ユン達を連れて出て行った。しかし私が大人しくするはずもなく。銀色の細い檻を折れないものかと揺すってみたり、隙間にクッションを詰め込んでみたり、天蓋の上に乗ったり、鍵をピッキングしようとしたり。鳥籠に閉じ込められてからわずか1日で、ルイの手によって目隠しをされる羽目になった。


***


目隠しをされたままきょろきょろしているルランを眺めながら、俺はバレないようにため息をついた。


「羽根が発現してるじゃないか・・・」


鳥籠に入れてから3日目、彼女の頭に月白色の細長い角が生えていた。半透明の角は人差し指程の太さでひんやりとしており、強く握ったら折れてしまいそうだった。彼女が眠っている間にこっそり測っていたのだが、日々伸びていたそれは昨日から成長が終わったらしい。

そうしたら今度は羽根が生えている。まだ小さくふわふわしたそれは、持ち主の動きに合わせてパタパタと可愛らしく動いている。ルランは角には気が付いたようだが、小さいせいか羽根の存在は知らないようだった。


白の姫君に羽根が生えるのはごく普通のことで、人によって羽根の種類も色も能力も異なる。発現するのは決まって婚儀の後であり、早いと誓約の時、遅くても2週間以内には発現するのだ。そして稀に羽根以外にも尾が発現した白の姫君はいたのだ。

しかし、ルランとは婚儀を執り行っていない。なのに角が生えて成長し、小さい羽根が発現している。よくよく見れば羽根は震えながらゆっくりと成長している。

角が伸び切ったのは発現してから3日。と言うことは羽根が成長し切るのも3日後だろう。だとしたら、どれほど大きなものになるのか・・・。


「・・・ルイ?」

「気がつくのが早いな」

「だってルイの装飾品の音がしたんだもん」


鍵を開けて鳥籠の中に入ると、忙しなく羽根を動かしていたルランが嬉しそうに手を伸ばしてきた。抱き上げて膝に乗せ、さりげなく羽根を触ってみる。見た目以上にふわふわな羽根は鳥の物のような感じだが、それにしては少しだけ太い。しかも、雛なら無いはずの風切羽の感触があるあたり、既に羽根としての機能を持っていることになる。つまり、これは龍の羽根だ。


「ねぇ、ルイ。他に誰かいるの?」

「ん?・・・ああ、ルランの体が良くなったか検査するんだ。ほら、先に薬」


渡した小瓶を素直に飲み干したルランに若干の罪悪感を覚えつつ、彼女が眠るのを待つ。

やがて小さな寝息が聞こえ、合図をするとそれまでじっと動かず我慢していた医師と魔術師が小走りにルランに近付いた。

角に魔法をかけてみたり撫でた際に抜けた羽根を薬品に入れてみたりしている二人を見ながら、ルイは言いようのない高揚感を感じていた。


「・・・陛下。ルラン姫は龍の羽根と角を発現されたようです。呪い耐性があるようで、健康面では今までで通りです。龍体だとしたら鱗の代わりに羽毛に覆われ、華奢な体の龍になるものと思われます」

「能力についてですが、魂が再生の魔力を持っているものとみられます。まだ覚醒はしていませんが魔力は攻守共に万能でしょう。それと・・・もしも二次覚醒を起こした場合、龍体になる可能もありえます」

「・・・そうか。やはり龍なのか」

「白の姫君が龍を発現するなど、前代未聞です。・・・いえ、ルラン姫だからこそかもしれません」


3人して妙に納得し、すやすやと眠るルランを見る。


「・・・そういえばまだ婚儀の話すらしてないんだが」

「あの・・・その事ですが」

「なんだ」

「どうもルラン姫は、陛下のことを非常にお好きなようで・・・恐らく自由に会えないせいで体の方に発現してしまったのではないかと・・・へっ、陛下!?お気を確かに!」


顔を真っ赤にしていた王がふらりと失神したのを見て魔術師が慌てふためいた。医師は鼻血が出る前に冷たいタオルで鼻を冷やしてやる。


自室で意識を取り戻したルイが二人に口止めをしようとしたが、既に城中の人間がそれを知ってしまっていた。


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