説教
黙って歩くルイは、私を強く抱き締めたままこちらを見ない。おかげで私は思う存分、ルイの整った顔を観察することが出来た。
「・・・さっきからなんだ」
「ヒャッ!」
髪を引っ張ってみたり襟の飾りをいじってみたり赤くなったりしていた私に、ルイがいきなり話かけた。痛んだ胸を押さえ、上擦った声をだす。
「い、い、いきなり話しかけないでよ!」
「さっきから呼んでいたんだがな。随分挙動不審だが」
「なんでもない!気にしないで!!」
「なんでもなくないだろう、なぜ俺を見て赤くーー」
「お、お願い、それ以上言わないで・・・」
咄嗟に手でルイの口を塞いでしまい、仮にも王様に対して失礼なことを!と青ざめた。しかし離したらまだ喋りそうだったので真っ赤になった顔をルイの首筋に埋めて隠した。
ルイはと言えば、口どころか鼻まで覆われ少々息苦しかった。しかもルランの息が首にかかって非常にくすぐったい。
「ルラン、くすぐったいんだが、ちょっと顔をどかしてくれないか?」
返事はなかったが、首に腕を回されたので離れるつもりはないらしい。足早に部屋へ戻ったルイは、その場の全員を見回した。そして、腕の中のお転婆娘に説教すべく、心を鬼にした。
***
いつの間に怒られているんだろう、私は。
部屋に戻ったと思ったら、ベッドに正座させられ、王様に騎士に侍女に貴族っぽい人に囲まれて昨晩なにをしていたのか問い詰められていた。
「どうやって屋根に登ったのだ」
「そこの取っ掛かりとかから」
「服とロープはどこで手に入れたのだ」
「ルイのクローゼットに入ってたの」
「どうやってミレニア嬢の位置を確認した」
「勘よ」
「窓の位置は」
「あんな大きくて見事な窓、1回見れば大体予測出来るでしょ」
「病弱と言うのは嘘か」
「女の恨みは怖いのよ」
怖い顔で尋問しているルイ陛下だが、全然怖くない。笑わないように我慢しているのが見え見えだ。ユンとその後ろの騎士2人はそれぞれ方々を向いているし、侍女はこっそりとクスクス笑っている。貴族は呆れ顔だけである。
「白の君が屋根に登り窓を蹴破るなど、前代未聞だ。しかも怪我人が1名出ている」
「そうでしょうね。狙ったんだもの」
しれっと言うと、ユンが吹き出した。慌てて咳払いする彼をルイが睨む。
「・・・反省は?」
「しないわ。必要ないもの」
「ではお前を拘束する」
「そう。・・・え?拘束??」
そこでようやくルイーーいや王陛下がニヤリと笑った。
「お前にこそ相応しい牢屋に入れてやる」




