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白の姫君  作者: アラウ
15/21

侵入者

いつの間にか寝てしまったらしい。暗くなった寝室で体を起こしたルイは、サッと血の気が引いたのが分かった。ルランがいない。見渡せばルランの服が椅子にかけられている。


「ユン、ユンはいるか!」

「い、いかがされましたか陛下」


出来る限り早く、しかし静かにユンが飛び込んできた。後からレミアと見張りも入ってくる。


「ルランを見たか」

「いいえ、誰も見ておりません」


全員が開け放たれた窓を見た。屋根に登った前科がある彼女ならやりかねないが、2週間も寝込み、痩せてしまった体では無理だろう。


「・・・舞踏会にミレニアは」

「出席しております」

「ついてこい」


服を着替え、マントを蹴散らさんばかりに早足で歩く王を、すれ違う人々が礼も忘れて見送る。

ルイだけではなく、ユンもレミアも見張り達も、ルランが攫われたと思っていた。まさか屋根の上で本人が馬鹿げたことをしようとは知らずに。


ドアを叩き開けて入って来た王に、会場がシン、と静まり返った。窓際にいるミレニアの姿を認め、ルランをどうしたのか問い詰めようとした時、窓がど真ん中から蹴破られた。黒い侵入者は振り向いたミレニアの胸を強かに蹴り上げ、テーブル共々中央に吹き飛ばした。耳が割れそうな音が響き、先ほどよりも遥かに静かになった。

侵入者はふらつきながらも何とか着地し、窓から伸びるロープを片手にフラフラと立ち上がった。


「ル、ルラン・・・」


興奮で頬を赤く染め、体中に割れたガラスを被ったルランが、鼻息も荒くミレニアに近寄る。


「な、何見てる、のよ・・・早く、助けなさい・・・!」


切れ切れにミレニアが叫び、彼女の侍女が近くにあったナイフでもってルランを刺そうとする。しかし勢いよく振られた短剣の柄がこめかみに当たり、あっという間に昏倒してしまった。


「ねぇ、ミレニア?」

「ち、ち、近寄らないで!誰、か、誰か!」


ロープを持った手で、柔らかな金髪を掴む。


「ミレニア、ロープに吊るされるのと殴られるのと、どっちがいい?」

「離して!どっちも嫌よ、離しなさい!!」


狂ったように腕や顔を引っ掻くミレニアに、ルランは薄く笑った。


「分かった」

「ーーヒッ!」


凄味のある笑顔で怯える彼女を見、短剣を持ち直して言った。


「ミレニア、私が病弱だから何も出来ないと思うのはやめた方がいいよ。死んでもいいなら別にいいけども」

「よせ!」


血相を変えたルイが抑え込もうとしたが、一瞬早く短剣がミレニアムの頭を殴った。酷く鈍い音がし、気絶した彼女を見下ろして私は満足した。

刃のない装飾用短剣は、しっかりとその役目を果たしたのだった。



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