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FPS  作者: N19
第1章 サバイバルホラー編
9/43

FPS episode.08

episode.08――

2014/8/12 首都アルダート帝国第9騎士団本部


 招集された騎士団のメンバーは各自、装備を整えてブリーフィングルームに集まった。その中にはジャクソンも見知らぬ3人の姿が見受けられたが、恐らくは先日に聞いていた例の新人だろう。


「作戦は先に伝えた通りだ。本任務はあくまで追跡調査が主となる。各自はその意識でいてくれ。それと本日から配属となった新たなメンバーで、名前は左からアルフ、シャーリー、ベイダーだ。皆、仲良くやってくれ」


 新人の3人は比較的に若く、イメージで言うとアルフは新米警官で、シャーリーは大学で研究でもやっていそうな感じの女性だ。また、ベイダーはいかにも傭兵といった感じで他の2人に比べて、たくましく独特の雰囲気があった。


 今回の調査隊メンバーは団長とザック。リックと新人のアルフ、シャーリー、ベイダー。そして、スティングレーを含めた7名だ。


 クリフことクレアは未だに本調子ではない為、今回は留守番となった。本人は大いに不満そうではあったが……。


「尚、先発隊のザックとリックはサポートにベイダーを連れて行け。無理はするなよ」


「――了解だ」


 ザックはその人選に驚く様子も無く、団長のオーダーを受けた。それだけベイダーの期待が高いという事だろう。


「新人は今回、あくまでサポートに専念しろ。余計な事を考えるな、まずは無事に生き残るだけでいい」


「「イエッサー」」


 団長から激が飛ぶと新人達は声を上げる。


「それでは各員準備が出来次第、出撃」



――それから間も無くして騎士団にとって、後に最悪な出来事となる作戦が開始された。



「う、うわっーーーーー!!」


 何か黒い犬の様な四肢の化物が複数アルフに飛びかかると鋭い牙で彼の首や腕を喰い千切る。辺りには肉を裂く音と骨が砕かれる音だけが響く。


「……ぁうっ……ぁ……」


 あまりに凄惨な光景に目の前で何が起こっているのかシャーリーには理解出来ないでいた。頭では早くアルフを助けなければいけないと分かっていても、自分が思う様に身体が言うことをきかない。


「…ガァ…ルル………」


 アルフを喰い散らかしていた化物の一匹が、血走る双眼でシャーリーに狙いを付ける。


「ひっ、いや……来ないでっ!」


 既にパニック状態になっているシャーリーは支給されたハンドガンを構えるが震える手のせいで狙いがつかず、銃の引き金を引いても化物に弾が当たらない。


 その銃声に引かれ他の化物も集まりだし、視認出来るだけでも既に十は下らない。その絶望的な状態にシャーリーは自らの死を悟りその場に腰を落とす。


 弱った獲物を食らい尽くす為に化物達は、彼女を囲むと容赦なくその身に飛びつく。



「――クソ、やらせるものかよ!」


 だが、その死は銃声を聞いて駆けつけた、ジャクソンによって回避される。スナイパーライフルで彼女に飛びつこうとする何匹もの黒い化物を銃弾で仕留め牽制していく。


 それでも化物の数は一向に減らない。


 まさに絶望的な状況。一体何故、この様な事になってしまったのか……それを説明するには半刻程、過去に遡る必要がある。



――本部から出撃後、騎士団はスフィーダ伯爵の屋敷近くの中継ポイントに無事着いた。


 そこから、先行で調査を開始したザック、リック、ベイダーらが作戦続行に問題が無い事を確認した後、残りのメンバーも屋敷の近隣を覆う深い森に入った。


 団長とスティングレーは前方、後方に新人のアルフ、シャーリー、そしてジャクソンという配置で薄暗い森を進んだ。


 途中、特に問題も発生せず作戦は順調に思われた。しかし、手薄な背面を黒い化物達に包囲されている事に気付かず、突然強襲されたジャクソン達は暗闇の森の中で無数の黒い化物達に翻弄されることになる。


 その混乱の中で孤立したアルフをシャーリーが追った。しかしその結果、騎士団は配属されたばかりの団員を失うという損失を作戦開始早々に被る事になったのだ。


「――立てるか?ここから離れるぞっ!」


 恐怖に怯え引きつった表情でシャーリーは放心しながらもジャクソンに答える。


「……先輩…アルフが…私、助けられませんでした……」


「後悔は後だ。このままだと奴らにやられる。今は自分が生き延びる為に走れ!」


 シャーリーの震える手を強引に引っ張り、ジャクソンは全速力で合流ポイントまで走る。だが、走るにつれ黒い化物達は更に数を増し、刻一刻とジャクソン達を追い立てる。


 だが、人と獣の脚の速さではその差は歴然でありその距離は徐々に詰められていく。


「……シャーリー、先に行くんだ」

「――そんな、先輩っ!」


 このままでは2人とも助からないと判断したジャクソンはシャーリーを先に行かせると脚を止めて化物と対峙しライフルを構える。


「……貴重な最後の一発、くれてやんよ!」


 1番近い標的にライフルの最後の弾を当てると化物の頭は吹き飛んだ。しかしそれはひと時の苦し紛れに過ぎない。未だに減らない他の化物が朽ちた同族を踏み越え、黒い波となってジャクソンに迫り来る。


 その光景は死を想像させるに十分だろう。


「残念だけどコレ、実戦なのよね……」


 もし、ゲームならばここで死を覚悟することも出来るだろうが、これはれっきとした現実だ。そう安々と諦める訳にもいかない。


 ジャクソンは腰に差していた2本のバリスティクナイフを抜くとそれを正面に構える。あんな化物相手にナイフでは厳しいだろうが、それでも何も無いよりは幾分マシだ。


 そして追いついて飛び込んで来た化物の一体にジャクソンはナイフを突き立てる。化物の悲鳴が轟くが、更にその後ろに控えていたもう一体の化物が横から襲い掛かった。


「くっ、やられる!!」


 万事休すかと思われたその瞬間、化物が後ろに吹き飛びジャクソンは難を逃れた。


「相変わらず近接が苦手だな、お前は……」

「――団長っ!」


「ジャクソン、このまま屋敷まで引くぞ。その間の殿は私に任せておけ」


「ナハハ……。了解、俺が先行して屋敷の中を確保しておくよ」

「頼むぞ……」


 団長は頷くと瞬く間に化物を蹴散らし皆の退路を作る。それを確認したジャクソンはシャーリーとスティングレーを連れて目前の屋敷までナイフを振り回しながら全力で走る。


「ウラァァーーーーーー!!」


 死に物狂いで目の前に立ち塞がる化物をナイフで否しながら突貫していくジャクソン。


 3人で森を走り抜ける中ドサクサに紛れて、1番始めに着いたのは逃げ足が早いスティングレーであった。彼が屋敷の正面扉を開けるのをみて、皆はそのまま一斉に中へ飛び込む。


 そこにはまだシャーリー、スティングレーとジャクソンの3人しか居なかったが、後ろを追う化物達を警戒したスティングレーがすぐに扉を閉めてしまう。


「オイっ、団長はまだ後ろに居たんだぞ!」


「仕方ないだろう。その扉を閉めなければ、逃れた私達も奴らの餌食になるだけだった」


「お前、団長を見殺しにするつもりかよ!」


 まるで団長を亡き者にする様な言動にジャクソンはスティングレーへ食ってかかる。


「オイオイ、私は君の為に言ってるんだぞ」

「――貴様、減らず口をっ!」


――ダァン!!


 だが、言い争っているジャクソンとスティングレーを止めたのは1発の銃声だった。


「――今の銃声は!?」


 今居るホールとは別の場所から聞こえた銃声にシャーリーが声を上げる。このファンタジー世界で銃を所持して居るのは世界教か黒騎士団のみ。この状況から考えて団長が別の入り口から入った可能性が高い。


「団長かもしれない……俺が見てくるから、君はここの安全を先に確保してくれ!」


「えぇ、先輩も気をつけて……」


 そんな彼女の言葉に「了解!」と返したジャクソンは慎重に扉を開け、薄暗い雰囲気のダイニングの中へ1人進んで行った。


8話目です。今回のお話はすごい難産でしたー。

イメージした光景を文字にするのが難しいです(っ´ω`c)ムゥ


これからゴーストハウスと化した屋敷の中に踏み込んでいきます。

中々書くの難しいので、更新おそくなったらゴメンです(ノД`)シクシク


PS

1000PV本当にありがとうございます♪ 奇跡って本当にあったんやヽ(゜∀゜)ノ

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