表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FPS  作者: N19
第1章 サバイバルホラー編
5/43

FPS episode.04

episode.04――

2014/7/30 首都アルダート 国立評議会場 ――


「最低限の掃除は済んだわ。まぁ、唯一の不安材料はここの主管が第六騎士団という所かしらね」


 朝から自分の仕事を散々彼らに邪魔されたルイはウンザリとした表情で愚痴を零し、捌け口の先となっているキャスターはそれに苦笑する。



「まぁ、そう言うなルイ。この会議の管轄は元々、彼らだったのだ。面子という物もあるだろう」


「そうね……でも、その面子とやらで殺される側の身にもなってもらいたいわ」


 ルイが指揮する第九騎士団は、帝国が今の体制となってから出来た新しい騎士団だ。その他、第一から第八までの騎士団はそれぞれに古い歴史があり、新参の騎士団に対して風当たりが厳しい。


 その中でも第六騎士団は国内の治安維持を担っており、法の範囲外となる事案を生業とする我々第九騎士団とはまさに水と油の関係という訳だ。


 今日の共同任務にしても魔術遮断する結界導入を勝手に決めたり、場内にライフルの持ち込みも制限したりとこちらの体制に大きな混乱を招いており、更に事前の進行スケジュールすらも共有されず、ルイは朝からその調整に追われていた。



「もしやスティングレーの奴が、未だに前の事を根に持ってるのでは無いか?」


 キャスターが意地悪そうにルイへ視線を向ける。彼の言うスティングレーとは第六騎士団団長のことで国内での警察権を一手に握る程、政治に長けてはいる男だ。しかし、その実エリート意識と誇示欲の塊の様な誰から見てもイケ好かない奴だった。



「それが本当なら、ホント器量の小さい奴だわね」


 ルイは疲れた様に思わずタメ息を漏らす。実は以前にルイは彼から執拗に言い寄られたことがあり、面倒なので大勢の前で「アンタみたいな詰まらない男には興味がない」とバッサリと切り捨ててしまったのだ。


 恐らく、キャスターの言う通りそれが未だに尾を引いているのだとは思うが、あまりにバカバカしいのでその事については考えない様にしていた。



「――おぉ、これはこれは陛下っ!」


 だが、運はルイに味方せずあろうことかその元凶が笑みを撒いてこちらに近づいてくる。それを見たルイは思わず眉間にシワを寄せて天を仰ぐ。


 まったく噂をすれば何とやらね………


「ご機嫌うるわしゅうございます、陛下。それにルイ、君とこうして共同作戦が出来るとは僕も嬉しい限りだ……そちらの準備は上々かい?」


 散々こちらへの妨害活動を指示していながら、その厚顔でよく言えたものだ……とルイは冷めた目で返す。


「えぇ、どこぞの馬鹿が邪魔しなければね」

「――なっ、バカだっ…クソ……まぁいい。今の内に精々陛下へ媚びを売っておくといい」


 そんな小物丸出しの捨てゼリフを堂々と吐くと、彼はそのまま踵を返して元に居た場所へと戻った。その様子をヤレヤレと見守っていたキャスターは、ホッと肩を撫で下ろすとルイに話し掛ける。


「奴もあの性格が無ければ逸材であることは間違い無いのだがな………ところで今日は何故ジャクソンをクリフついて行かせたのだ。ここの警備であればスナイパーが居た方がやり易いと思うのだが」


 それは明らかに話題を変えるためのフリであったが、キャスターの配慮をルイは有難く受けた。これ以上、奴の話を続けているとルイ自身がストレスで保たない。


 今は冷静沈着で良き上司として団長を担っているルイではあるが、一昔前の彼女は一転してちょうど今のクリフの様に激しい性格で周囲をよく困らせていた。故にクリフの不安定さや繊細な部分を彼女には理解ができた。


「そうね……実は最近、クリフが少し不安定なの。今回の任務にしても精神的に彼が良い緩衝材になると思ったからなんだけど、ああ見えてあのデコボココンビ、意外に相性は良のよ?」



 まるで自分のオモチャを自慢する子供の様にルイは2人の話をすると普段は見せない笑みが零れる。


 クリフは良くも悪くも特別だ。今までにも何人かパートナーを付けたことがあったが、あの身体能力と性格について行けず騎士団内でも、クリフだけ孤立してしまっていた。


 そんな中、ジャクソンだけは右往左往しながらもクリフのパートナーを上手く務めてくれている。


「ふむ、成る程。そういうことか……」


「クリフが真面目な分、ジャクソンがお馬鹿だから、それで上手く釣り合い取れているのかしら?」


「ハッハ、そうかもしれん。しかし奴には何か不思議なものを感じるよ……かつてのアイツの様にな」


 どこか懐かしむ様にキャスターは1人呟く。ルイも内心は彼と同じことを考えていたが、心の底ではそれを何処かで恐れている自分が居る。



「そう…かしら……」

「あぁ、そう思うよ。さて、そろそろ始まるか……例え儀礼とは言っても、これも仕事だからな」


 キャスターは自嘲する様に笑うと重い腰を上げて会場中央の講義台へとゆっくり歩いていく。



「私はそうでない事を望んでいるわ……」


 ルイはひとりそう呟き、複雑な表情を浮かべる。彼の言っていた“アイツ”の事を思い返しながら。



――キャスターの演説が終わり会場は拍手で盛り上がると今度は各所領の盟主達が演説を引き継いだ。帝国内のそうそうたる人間達が揃うこの会議はかつて敵同士だった者も居り、会場全体が妙な空気感とプレッシャーに包まれている。


「何かしら……何かが来る…………」


 そんな時だった。突如、異変を察知したルイは会場の外を警戒していたザックに声を掛ける。


『――ザック、外の様子に変化はない?』


『急にどうした?外には特に……いや、待て。何かがおかしいぞ……』


 そのザック言葉の後、ひと足違いで第6騎士団の警備達が今度は慌ただしく動き出す。


『団長、こちらリックだ。今、警備の奴らの無線を傍受してるんだが、今結界が一時的に止まっているらしい……こりゃ、何かあるかもしれないぞ』


『あぁ……敵襲かもしれん。各員、警戒しろ』


 この異常事態に場は一斉にピリピリとした緊張感が増し、それに合わせルイは周囲の変化に神経を張り巡らせる。そしてその変化は起きた。



「――では次、外務大臣前へ」


 キャスターを始め一通りの代表が挨拶を終えると次は昨日の事件で人質となっていた外務大臣が席を立つとゆっくりとした足並みで講義台に向かう。


 彼は戦時中からキャスターを支えてきた人物で、現在は外務大臣をしていた。私利私欲で動くのが当たり前な政治家の中で彼は希少な部類に入る。



――――ザザッーー!!


 だが、その演説が始まる直前、すごい雑音と共に無理やり割り込んで来た通信が入った。


『――ヤッホー――聞こえ――やっ――繋がっ――ジャクソンから伝言―――よ―――ルイルイ!』


『マリーネ、貴方どうやって通信を………まさか、アンタが結界を止めたんじゃ………』


『――へっへ~ん――局所的非――って奴だよぉ?えっと――大臣がテ――――入れ替わ――る可能性―――んだって~』


 雑音が入って一部聞き取れない部分はあったが、マリーネからの報告でその意図をルイは悟る。


『っ――バカ!遅いわよっ!!』


 そう、もしジャクソンからの報告通りであれば、その非常事態はもう既に始まっている――


「……皆様にはお集まり頂き、真に喜ばしい限り。我々世界教は偉大なる神を蔑ろにする傲慢なる異端者達であるお前達に神の裁きを下す者である!」


 不敵な笑みと共に大臣はそう語ると突然、あろうことか持っていたナイフで自分の腹を引き裂いた。その異常な光景に会場の至る所から悲鳴や嗚咽が漏れたが、更に男は引き裂かれた自分の腹に手を差し入れるとその中から魔石を取り出し頭上にへと掲げる。


 それはまさに昨日のデジャブの様であり、男の愉悦を帯びた表情は今回が本番であると言わんばかりだ。


「クク……サーヴェイン様の糧となるがいい!」


 狂気じみた叫び声にその場に居た人間はようやく自分達の置かれている状況を察したのか、悲鳴を挙げながら我先にと波となって一斉に出口へと逃げ出す。


「――そうそう好きにやらせない」


 腰のホルスターからハンドガンを抜くと、ルイはその波に逆行し大臣の顔をしたテロリストに向かって飛び出した。

 

第4話です!今回はキャラクターの視点を変えて書いてみました!


最初は最後まで主人公のジャクソン視点で固定しようとしたんですが、

主人公自体の異常さを描くのが難しく悩んだ末といった感じです。。


視点が変わって読みにくい等、あれば教えて頂けるとたすかりますー


PS

400PV超えました。ありがとうございます!Σd(゜∀゜d)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ