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FPS  作者: N19
第1章 サバイバルホラー編
17/43

FPS episode.16

episode.16――

2014/8/12 スフィーダ伯爵邸 研究所地下


 暗く陰鬱な地下でゴリラの様に大きな化物と対峙したジャクソンはショットガンを構える。それに反応した化物はまるでサーベルの様に鋭い爪を最大限伸ばし雄叫びを挙げる。


「――来るっ!」


 次の瞬間に物凄い跳躍でこちらに飛び掛かって来るとその大きな爪をジャクソンに向けて振りかぶる。



――ドァン!!


 しかし、それよりも僅かに早くジャクソンのショットガンから散弾が放たれる。真正面で至近距離からの直撃。通常の人間であれば四散してもおかしくないその衝撃を化物は幹のように太い腕を咄嗟に交差させ、正面で受け止めてみせた。


「――――キシャァァィャァァァ!!」


 そして、ゆっくりと銃弾が食い込んだその腕を降ろすと先程よりも一層と威圧的に化物が叫びを挙げる。


「マジかよ……全然効いてないぞアイツ」


 驚きを見せるジャクソンを尻目に化物は多少知能があるのか、先程の様な大振りでは当たらないと考え、続けざまに両腕の爪でジャクソンを引き裂きに出る。



「――――シャァァァ!!」

「――クソっ!」


 だが、相手の挙動を冷静に見ていれば、そうそう当たることはない。ジャクソンは化物の猛追を上手く避け続けたが、手持ちの武器では歯が立たないこの状況では次の攻め手は無い……ならば、逃げるのみっ!!


「……えぇい、ままよっ!」


 唯一の活路を見出したジャクソンは避けた後の振り返りざまに、化物の顔面へとショットガンを向ける。そして片手で構えたまま、素早くトリガーを引き絞った。


――ドァン!!


「――――ギィウャァァァゥッ!!」


 流石の化物も顔面を撃たれると皮膚部分は剥がれ、その両目から赤い血が噴き出した。しかし、目は潰せたもののゼロ距離に近い位置で散弾を受けた化物は、未だ致命傷には至っていない様子だ。


「直撃の筈なのに、頑丈過ぎるだろ……」


 そんな愚痴を零している内にも既に再生が始まっている化物を見て、ここが潮時とジャクソンは後退する。視界を失った化物は辺り構わずに爪を振り回すが、当たらなければ、どうということは無い。



 ジャクソンは化物をそのまま放置して通路の横を駆け抜けると、第6騎士団の騎士を殺した奴を再び追う。記憶ではこの奥には大きな扉が一つしか無い筈で、既に逃走者を追い詰めたも同然だった。


 今回の事を招いた責任を取らせてやると意気込みながら通路の角を曲がる。するとこちらを待っていたとばかりにその人物は扉の前で待ち構えていた。


「――やぁ、随分と遅いじゃないか?」

「やっぱり、お前か……スティングレー」


 これまでの事実で薄々気づいていたとは言え、ジャクソンはその面を改めて見て落胆した。以前から何かを企んでいる奴だと思っていたが、ここまで酷い状況ではもう怒りすらも起こらない。



「開口一番にそれかい……失礼な奴だな君は」


「急に銃をぶっ放さないだけでも、ありがたいと思え……何故、お前は帝国を裏切った?」


「私が裏切っただと?……ククッ、笑わせてくれる。私は誰も裏切っていない、それは紛れも無い事実だよ」



 どこから来るのかと思うその余裕の笑みにジャクソンは苛立ちをみせたが、スティングレーは本当にそう思っているか、心底可笑しそうな表情で笑う。


「……俺は言葉遊びをしているつもりは無い」


「ふむ。君は何か勘違いしている様だから教えてやろう。私は元々世界教の人間でね。第6騎士団に居るのも大司教様の御言葉によるものだよ……皆、面白い程に私の掌で踊ってくれているがね」



 成る程。どうりで警察組織の長自体がそれでは世界教に良いようにされる訳だ。騎士団の動きが漏れたり、散在に邪魔をしていたのはそういうことか……。だが、一つ解せない部分がジャクソンにはあった。


「一つ聞きたい……お気に入りだった白銀の盾までを犠牲にした理由は何だ?」


「あれは私の誤算だよ。彼らは想定より優秀過ぎた。余計な詮索をせずに私の言う通りにしていれば、生きていられたものを……」


 つまりはスティングレーが世界教と繋がっていた事を知ってしまったのだろう。そして計略だけであればキャスター並である奴の術中に嵌まって殺されたのだ。人の命を弄ぶ、この真正のクズ野郎に………。



「そうか……お前が教団の人間ならここで始末をつけるよ。悪いが罪を償わせる何ていう事はしない」


 こういう奴を放って置くと後に大きな災いをもたらす。過去の経験で手酷くそれを学んでいたジャクソンは、もはや語る必要も無いとスティングレーに向けてショットガンを構え直す。



「まったく、薄汚い蛮族は興というものを知らんな。ポテンシャルはあっても、やはり彼女以外の異世界人は出来損ないばかりという事か……」


「彼女……どういうことだ?」


「おっと、これは口を滑らせてしまったな……まぁいい。お前らの団長ルイは私の友人が捕らえてあるから安心したまえ。彼女は私にとって貴重なコレクションだからな、ここの始末を着けた後にあのクソ生意気な小娘をゆっくりと躾けてやるとしよう」


 それは明らかに逆上させる口実であったが、最早ジャクソンは我慢ならないとトリガーを引き絞る。


「――――貴様ぁっ!」


――カチッ


 だが、それは寸前のところで撃鉄を引く音がジャクソンの動きを止めた。血が昇っていた後頭部には既に冷たい銃が突き付けられ、自分の立場が逆転したことをジャクソンは悟った。


「――銃を降ろすんだ。ジャクソン……」


「よく来てくれた……我が友人よ」


「友人……だと………」



 ジャクソンはゆっくりと銃を降ろし、横目でその聞き覚えのある声の人物を確認する。そこに銃を構えた姿で居たのは、これまでに幾度もジャクソンの危機を救ってくれた筈のザックだった。


「……まさか、アンタが裏切ってたとはね」

「…………」


 後ろめたさがあるのか、ザックはジャクソンと目を合わせようしなかった。彼が明らかに乗り気で無い事は見て取れるが、何か事情があるにしてもそれは許される事では無いと彼も分かっての行動だろう。



「まぁ、そう攻めるな。彼も自分の家族が危機に晒されているんだ。多めに見てやって欲しい」


 ザックにはこの異世界で結婚をして妻と娘が居た。ジャクソン自身もよく彼の家に招かれ彼女達とは親しい間柄ではあったのだが、最近になり顔を見なかったのはそういう訳があったのかと唇を噛む。


「この外道め……」


「それは褒め言葉として受け取っておこうか。その礼として、君には私の作品を見せてやろう」



 スティングレーはそう言うと後ろの扉の鍵を開け、研究所の中枢へとジャクソンを招いた。その中には、ここがおよそ異世界と思えない程の近代的な研究設備が揃っており、人よりも大きなビーカーが幾つも並んでいた。先程に対峙したベルセルクの他に研究中と思われる異形の生物が薄い赤色の液体に浮かんでいる。


「まるで化物のショーウィンドウだな……」


 後ろに居たザックもこの光景を初めて見たのか、言葉を失って険しい表情でそれを見ている。こんなモノが量産された暁にはこの世界全体が脅威に晒されるであろうとジャクソンは危機感を覚えたが、恐らく彼自身もそれを感じているのだろう。


「ほぅ、面白い事を言う。ここは元々そういう用途に使っていたが、こうなっては破棄するしかあるまい。それに研究所はここだけでは無い……さぁ見るがいい、コレが我々の研究成果だよ」


 愉悦の表情を浮かべるスティングレーが指差す先には、もはや生物という常識から一脱した巨大な化物がその時を待つ様に眠りについていた。

 

16話目です!今回はついに裏切り者の正体が明かされました!えっ、予想通りだって?


でも、これで終わると思ったら、そうはいきませんよ?

次回も少し巻きでストーリーは進んでいきます(*´ω`*)フッフッフ


(10/30 補足 実は1話分程ですが、途中のお話をカットしています。内容は新人ベイダー登場!って感じでしたが、作者の文章を書く遅さの問題で断念。落ち着いたら、追記予定です!)


PS

気がついたらユニークも1000人を超えておりました!

FPSは皆さんのおかげで続いておりますΣd(゜∀゜d)ジカイモヨオロシク

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