表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いつかの桜・SS

いつかの桜SS・6

作者: 久義遼太

「とりあえずこの状況の説明を願おう」

「なによ、両手に花で何か不服?」

俺の右腕を掴みつつ澄。

「あはは・・・」

俺の左腕を掴みつつ誰が見てもわかる困り顔で苦笑いのさくら。

しかも2人とも俺の腕を体で包むような掴み方をしているのでかなり幸せな状況なんだが同時に死ぬほど視線が痛い。

「全身に殺気を浴びるような状況に理由もわからずにいたくはないぞさすがに」

「器がちっちゃいわねー。男なら殺気も含めてこの状況を楽しむくらいじゃないと」

「楽しむためにも状況を説明して欲しいんだが」

放課後何故か澄がさくらを連れて教室にくる→立たされる→2人に腕を抱かれる←今ここ

うん、意味がわからない。

「しかもさくらは何でめちゃくちゃ困りながら腕を掴んでるんだ」

「すみません、わたしからはなんとも・・・」

相変わらず困り顔の苦笑いなさくら。

嫌な予感しかしない。

「まぁこれから来る地獄を乗り切るためにもこの状況を楽しんどきなさいよ」

「やっぱこの後地獄なのか!?」

「いやー、あたしもこんな事したくないのよ?でもおもしろそ・・ちょっと弱みを握られて」

「今絶対面白そうって言おうとしたよな?確実に喜んでやってるよな?」

「細かい事気にしないの。いいじゃない、美少女2人に挟まれてるのよ?地獄だろうが神だろうがなんでも来いくらいの気持ちになりなさい」

「最終的に命令か。

さくらがさっきから呆れて何も言えなくなってるぞ」

「あ、いえ、呆れてるとかじゃなくてわたしこの後どうなるのか本当に知らないからどうしていいかわからないんです。」

・・・ん?

「じゃあさくらは何故に俺の腕を抱えている」

「澄さんと悠さんに頼まれまして・・・あと知らない世界を知るのはいい社会勉強になるからって立原先生にも言われまして」

「よし、まずさくらはノーと言える日本人になろうか」

「いえ、それだけじゃなくて三人とも何か楽しいことをするような感じだったからなんですけど」

なるほどこれは俺がおもちゃになる流れか。

「なら何でそんな困り顔なんだ?」

「澄さんと同じようにすればいいからって言われてここに来たんですが・・

この状態恥ずかしくて・・・もの凄く注目されてますし」

「まぁ下級生がいきなり入って来て男の腕を抱きかかえて注目されない訳がないよな。」

「うぅ・・・ですよねぇ・・・」

若干涙声になりつつ目を背けるさくら。

それでも腕をほどこうとはしない辺り律儀と言うかなんと言うかだが。

「んで、今さくらから要注意人物2名の名前が出た訳だがその2人はどういう地獄を持ってくるのかお聞かせ願いたい」

さくらの様子を黙ってニヤニヤと見ていた澄に聞く。

「いやー、やっぱいいわねぇさくらの反応。ほっぺ赤くしてかわいいわー」

・・・聞こえていなかったらしい。

「おいコラそこの変態」

「失礼ね。可愛いものを可愛いと言って何が悪いのよ。

そんなに心配しなくてももう来るわよ」

「お待たせー。」

澄が言い切るとほぼ同時くらいのタイミングで悠が来る。

・・・何故かドレス姿の悠が。

「わ、かわいい・・・」

さくらが俺の腕を離さないまま感嘆の声をあげる。

「あはは、ありがと。演劇部で借りたんだけど着るのに手間取っちゃって。」

「やー、ごめんねこーちゃんゆーくん。演劇部の子がシナリオ書くのに実際にお姫様と青年の絡みを見れたらもっと書きやすいのにっていう話に協力してもらっちゃってー」

続けて入ってくる立原・・・と見知らぬうちの学校の生徒。

「お前今確実に俺に向けて説明ゼリフ言ったよな」

「こーちゃん鈍いから説明しないとわからないかなーって」

説明なしでわかったらそいつの思考回路を詳しく聞きたい。

「うん、色々言いたいことはあるがまずお前ら何で俺を売った」

「駅前のクレープ、あと面白そうだから。」

「同じく、あと面白そうだから♪」

「私演劇部の顧問だもーん。あと面白そうだから☆」

「最低だなお前ら!?」

「まぁそれはおいといて。

さくにゃん、こっちおいでー」

立原がまだ悠に目を輝かせていたさくらに向けて手招きする。

「あ、はーい」

てってって、とさくらが立原の方へ向かう。

と同時に、

「ていっ。」

「うおっ!?」

じーさん直伝の技で澄にすっ転ばさせられた。

「わわっ、大丈夫ですか浩一さん!?」

「大丈夫大丈夫。さくらは優しいわねー」

転んだ音で気づいたさくらが慌てて駆け寄ろうとしたところを、いつの間にか立原の方に行っていた澄がさくらの頭を撫でつつ止める。

「・・・えーとこの状況は」

すっ転んで倒れている俺、手をわきわきさせている女装悠、その後ろに女性陣、&いつからか可哀想なものを見る目とわくわくした目に変わっているクラスメイト達。

「まあ、そういうことだね〜。」

いい笑顔で近づいてくる悠。



・・・この後どうなったかは、ご想像にお任せする。思い出したくない。

ただ、この後行われた新入部員募集の為の演劇部のステージは大成功だったらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ