第一章〜依頼〜前編
私は、仕事の依頼でとある路地裏に
入る道を塞ぐようにしてHiACEというワンボックスカーに乗って依頼人が来るのを待っている……
「現時刻は13時、5分前もうちょいだな。来るのは……。」
「そうですねぇー、一つ思ったのですが……この依頼って私必要なのですか?戦闘は起こらないと……」
「そうとは、限らないわよ。
向こう側はどうやら逃げながらって感じだったからねぇ」
そう、そんな感じだったそんで
相手は恐らく男かな…声はボイスチェンジャーかなんで変換されたから
なぁ…………。
〜時戻って1時間前〜
場所、自宅であるマンションにて
右のポケットに入っているスマホが
鳴った。
「ん?珍しいな…なんにもない時電話なんて、槍でも降るんじゃないかしら……」
とか言いつつ、鳴ってるスマホを
取り出してチラっと画面を見つつ
電話に出た。見た時の表示には
非通知とあった。………誰だ?
こっちからは、何も言わずに向こうが話すのを待った。
『……突然、電話してすまない。
貴方に運んで欲しい“モノ”がある。』
と、口調が男勝りな感じで機械的な
音声に変えられた声でそう言ってきた。私はそれに対して
「私は、何も言っていないのに
よく、運び屋であることがわかりましたね?どこで知ったんですか?」
そう返した、普通に考えると異常なことであるためだ。
『そ、そうだな。普通に思えば、
そちらのルールを無視し、貴方に
直接、連絡をとってしかも、声を変えてるわけだからな…コレはこちらの諸事情によりこうしないといけないのだ。理解して欲しい。すまない。』
息を切らしながらそう応えた。向こうの人は、そういう立場に立っているようだ
「えー、わかりました。では、それ以上のことは直接会ってから聞かせていただきますね?で、用件を聞きましょう。」
『私に余り時間がないのでな。この電話より1時間後の午後一時に……
〔長過ぎるので省略〕……ってとこの路地裏の入り口を隼Project本社のある方向を向いて入り口を塞ぐように止めて欲しいのだ。チッ奴らが来たか。すまない、ここで切らせていただく、』
と、言われて切られた。スマホを右ポケットになおしながら
「どうやら、向こうの彼はとても危険なようわね……。場所的には近いけど準備がいるはね……」
そう呟いて自室から出た。
リビングの方へ行き、ソファの上で
踏ん反り返っているショートヘアの
女に向かって
「望ぅ、今から仕事よ。寝転がっていないでさっさと起きて準備する!」
と言って自分も準備に取り掛かった。
「え、私も行くってことは戦闘になるってことですか?お姉様」
「そうよ。使う車両はHiACEね」
「運搬仕様じゃなくて戦闘仕様の方ですか?」
と、聞いてきた。そういや、どうゆう物を運んで欲しいのかって聞いてなかった。しまった……
ちょっと考えて
「いや、運搬仕様。でも重火器の使用を許可するわ。」
というと一瞬しゅんとなったが…
重火器の使用許可というと目が輝いた。そんで、飛び起きて自分の部屋にスキップしながら行った。
部屋からは「コレがいいかな?」とか「いや、こっちかな?」などとまるで服を選ぶように重火器を選ぶ女がそこにいた。
「あー、ちゃんと近接武器とかも
用意しとくのよー。」
と言っておいた。すると「ハーイ」
戸のとこからヒョコっと顔を出して
返事した。
今、着ている服を脱いで新しいスーツに着替えてドラマとかで刑事がしてるタイプのガンホルダーを着けた。そこにM1911A1というハンドガンを入れてからジャケットを羽織った。フゥーと息を吐いて念入りに身なりを整えもした。
「お姉様ぁー!私の準備できましたぁー。」
と言ってきた。その時に自分もできたのでスペアマガジンを三つ、ジャケットの内ポケットにしまって振り向くとチェロなどを入れるための大きなケースとギターケースを持った
望が立っていた。
「よし、行こうか。」
と言ってマンションを後にした。
…以上回想…
などと思いにふけていると……
突然、後部のスライドドアが合いた。それで後部座席を見るとフードを深く被った少女が乗り込んできた。ドアもちゃんと閉めて、車を出せとアイコンタクトしてきた。
「あのー、すいませんがこの車はタクシーじゃありませんので降りていただけませんか?」
と上半身を後ろに向けて少女に向けそう言った。すると少女は
「私は貴方に1時間ほど前に電話を
したはずだが?」と返した。
「えっ?なぜそれを……。」
前に見て時間を確認すると午後一時
三分をとなっていた……。つーことは、この子が依頼主ってことなのか?………多分そうだよな
「えーと、ならば貴方が依頼主ってことはわかりました。運んで欲しい物はなんです?」
「ああ、依頼したのは私だ。そして
運んで欲しいモノは私だ。」
とさらりと言いやがった。
理解に数分掛かってしまい、驚きのあまり軽くパニックになり……
はぁ⁉︎そういうこと⁉︎ならば急いで
発車しないといけないじゃない‼︎
と思い、車を発進させた。
コレはあのまま止めていたらマズイ
ものすごくマズイ………
恐らくコイツを追ってる奴らが来てたな……
「お姉様ぁなんで発進させたんですか?依頼主来てないじゃないですか。」
「あぁ、私もそう思ったがどうやら今回の依頼主はあの子みたい…」
「え、マシで⁉︎でもお姉様は恐らく男って言ってましたよね?」
望がそう言ってきた時にルームミラーを通して後部座席を見た。
すると、少女は下を向いてプルプルと震えていた。あ、地雷踏んだな…
と思った直後、少女は顔あげこっちを睨みながら(涙目で)
「……わ、私だってな!口調がおっさんくさいことぐらいは分かっているのだ‼︎でもコレはっ、」
「はーい、ストップゥ〜。落ち着いて その件はこちらの勘違いなのでそんなに自分を責めないでください」
と言って少女の自虐を途中で遮った。