エピローグ
結局のところ病院に着く前に、朽木さんは目が覚め、恥ずかしそうに俺の背中から降りたのだった。
結構な傷だったが、大丈夫なのだろうか……。
紫の球体についても聞いてみたが、それは天狗の魂である可能性が高いらしい。体は死んでも魂が生きていれば、いつ悪事を働くか分からない。
と言うことで、「私がどうにかしておくよ」とのことだった。
詩乃音と神崎については、吹き飛ばされていただけで、後々、会えたので特に明記はしないとして。
問題は俺の死の話だ。
そう言えば、この話が終われば、俺は殺されるうんぬんの話があったようなと。
それについてもいい知らせがあった。
俺が天狗によって攻撃されたとき、まるで夢のような感覚。目の前が真っ暗になったとき、実は本当に俺は死んでいたそうだ。
だが、体に秘めていた大量の妖力が、死を拒否した。
大量の妖力のほとんどが死の拒否、体の再生に使われたそうで、そのお陰で俺は生き返ったらしい。
そんなわけで今の俺の体には、ほとんど妖力がない。つまりは、未練残して死んだとしても、体に秘められた妖力から、化物が生まれることはないということだ。
よくわからないけれど、ハッピーエンドってことだな。
にしてもこの物語。
俺は必要なかったのでは、と、つくづく思う。
きっと俺が居なくても朽木さんがどうにかしてくれそうな……。
まあ、とにかく、俺のやることは全て終わったってことだな。
夏休みのほとんどをこうした騒動に使ったせいで、ほとんど休めてないし。
仕方ないから、残りの一週間はゆっくりと休むことにしようかな。
そして、それから、じっくりと動いていこう。
天狗によって、不運にも殺され、化け狐へと変えられた、人達を助けに。
夏休みは残り一週間。
八月一日から八月二十四日までの二十四日間の話。
俺と呪われた少女達の怪奇な物語は、八月二十四日をもってして、終わった。




