決戦の前
久しぶりの更新なのに、めちゃくちゃ文量が少ないです。
サブタイトルの通り、決戦──最終決戦の直前です。
完結までもうしばらくお付き合いお願いします!
その後というものの、惡ノ宮付近に到着するまで俺達はかすり傷一つ負うようなこともなく、何の損害も出さずに、まるで赤子をあやすかのように骸を神社へと引き連れていった。
それも当然のことだと思う。
詩乃音は俺が居ないと長い間戦うことはできないが、彼女の電撃は骸のレーザーと互角に──いや、勝っているとも言えるし、神崎だって俺達が助けにくる小一時間の間、ずっと骸の攻撃を凌いできたのだ。
良く言えば圧倒的に勝っていると言える。どれだけ悪く言ったとしても精々五分五分くらいとしか言えないだろう。
つまり、この状況で骸を取り逃がすなど万が一にもありえなかった。
「やっと、ここまできたな……」
「随分時間をかけてしまったけどね」
神埼が言う。
「て言うか、骸はどこにいったの?」
詩乃音が僕達に問いかける。確かに居なくなっているけれど……どこにいった?
「さっきまでは後ろに居たけれど、隠れたのかしら」
「それはないだろう神埼。あいつは今の今までひたすら一直線に俺達へ突っ込んできてただけなんだ。そういうプログラムが組み込まれていると考えると、今さら凝った作戦を立ててこないと思うぜ」
「そうね……けれど油断するのは命取りになるわけだし、そういう可能性も頭に入れておいてね」
神埼が俺達に注意を促したときだった。
惡ノ宮の方で、山の方で爆発音が聞こえた。
俺はすぐさまそちらの方向に目をやる。
「おいおい、あれって」
「……山の方には千九咲の仲間が居るんでしょ? もしかしたら骸は、私達じゃなくて……」
「いや違う……近くにいる三人のターゲットを切り捨てて、わざわざ遠方の一人に狙いを変えるなんてありえない。そもそも骸が俺達を狙っているのは、あの日記を守るためであって、奴にとっての脅威を消すためなんだ。それに遠くの人間をどうやって脅威だと判断するんだ? 判別しようもないだろ……近付いたわけでもないのに……」
そこまで言ったところで俺は気付いた。
一つの可能性に。
「骸ってさ……天狗の部下──というか操り人形みたいものだろ? もしかして天狗の命令を受けて惡ノ宮に向かったんじゃないのか?」
ありうることだ。
天狗の正体は朽木さんの知り合いなわけだし、ゴーストバスターとして動向を知っていてもおかしくない。
天狗にとって、妖怪にとっては、朽木伊従というゴーストバスターは敵なのだから。
日記の中にも、朽木さんは才能のあるゴーストバスターである、と言うように書かれていたし、動きをチェックされている可能性はある。
……そして、朽木さんの行動を知ったから、天狗は攻撃を仕掛けた。というのも十分存在しうる要素の一つだ。
「二人とも、もしかすると朽木さんは今大変な状況下にあるのかもしれない」
詩乃音の背中におぶさる俺は言う。
「行こう、嫌な予感がする」




