第14話
俺は再度■■■■さんに会い、優しく接して食事をし、飲み物に睡眠薬を入れて眠らせた。
世話になった極道が出入りしている病院の手術室を借り、麻酔を使って■■■■さんの四肢を切断し、毛髪をすべて抜き、目玉をえぐって眉も耳も鼻も唇も削いだ。
鼻を削いだ時に美容整形をした時のプロテーゼが出てきたが、亜由美にはこんな物必要ない。
蘇った亜由美に文句を言われては困るから、舌も切り取っておいた。
不要な部分は壊死した部分を切断した事にし、〝医療廃棄〟してもらい、俺は亜由美でもなく■■■■さんでもない〝素体〟を、田舎の郊外に買った家に持って帰った。
先んじて地下室を改装し、呪術師には部屋いっぱいに亜由美の血でまじないを描いてもらっていた。
その上にクッション性のある壁を貼れば、一見普通の部屋に見える。
その空間で〝素体〟に亜由美の体を喰わせる事により、失った部分は蘇り、すでにある臓器や体なども作り変わっていくそうだ。
最も大切なのは、〝素体〟に亜由美の精神が宿っていくという事だ。
そこから先は、亜由美のリメイクだ。
しばらく四肢切断をした〝素体〟の激痛が治まるまで、常時痛み止めと鎮静剤を点滴で流し込んでおいた。
亜由美の体を喰わせるにしても、痛みがあれば俺と会話をする事もままならないだろう。
何か月経ったか分からないが、ようやく〝素体〟は意識を取り戻したようだった。
そのあと俺は意識が朦朧とした〝素体〟に、料理に混ぜた亜由美の体を食べさせていく。
冷凍しておいた妹の体を原型がなくなるまで切り刻むのは胸が痛んだが、これから新しい亜由美が生まれたなら、彼女に謝ればいい。
本当に体が再生するのか最初は半信半疑だったが、歯が生えてきた時は感動を覚えた。
不思議な事に、人は普通とは少し異なる物であっても、事前に『これは○○だよ』と言い聞かせれば、すんなりと信じるらしい。
どれだけ髪の毛を細かく刻んで麺に練り込んでも、食感が悪くて食べられたものではないだろう。
けれど海藻だと言ったら、〝素体〟は違和感なく食べていた。
そもそも、記憶が混濁して本能を剥き出しにしたアレには、食欲と睡眠欲しかないようだったから、何を出されても食べただろうが。
序盤、〝素体〟に大した感情は持たず、実験動物を見ているような感覚だった。
だが少しずつ亜由美らしさが見えてくると、どんどん思い入れが強くなっていった。
特に顔のパーツが戻り、髪が生えた時には、亜由美そのものと言っていいほどで胸が高鳴った。
彼女が目を開いた時、亜由美と同じ眼差しを受けて身が震えるほどの歓喜を得た。
――あぁ、この顔だ。
――俺はこの顔しか愛せない。
精神は〝素体〟のものが残っていて混乱しているようだが、適当に言いくるめればなんとかなる。
俺の妹は、またこの世に産声を上げたのだ。
もう両親にも知らせず、この地下室で亜由美と二人きりで生きていく。
いずれ子供ができたら、幸せな生活を送っていけるだろう。
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