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芋虫が蝶になる時  作者: 臣 桜


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第10話

 私は鏡に映った亜由美の顔を見て、グツグツと煮えたぎる怒りを抱く。


 ――こんな顔!


 世の中で最も忌まわしい顔で、亜由美の顔に近づけて整形したのも大失敗だと思っていたのに!


 もう二度と見たくないと思っていたのに!


 この顔のせいでずっと酷い目に遭い続けてきたのに!


「うぅ……っ、ううぅうう……っ」


 両手で顔を覆って嗚咽しだすと、雅幸さんは愛おしむ手つきで頭を撫でてくる。


「ああ、元に戻れて嬉しいんだね。お前の美しさは完璧だよ」


 ――違う!


「うぅううーっ!!」


 舌を奪われたまま激しく顔を横に振っても、彼は聞き入れてくれない。






 私はただただ、混乱していた。


 ■■■■としてこの世に生を受けたのに、なぜ私は高崎亜由美になってしまったのか。


 私を■■■■として認識せず、亜由美と呼び続けている雅幸さんは、何を尋ねてもまともな回答をくれないだろう。


 なぜ()はずっと私を追い続けてくるんだろう。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()のに、どうしてここまで……!





**




 ――死にたいと常に願っていた。






 私――、高崎亜由美は裕福な家に生まれ、優しい両親と兄に恵まれて育った。


 物心ついた頃から私は周囲に褒められ続けていた。


 何をしていなくても『可愛いね』と顔を褒められる。


 父は医者で、母は女医。


 兄も父の病院を継ぐよう期待をかけられ、私もエリートとして育てられた。


 物覚えがいいからか、学生時代は大して頑張っていないのに才媛扱いされた。


 運動神経にも恵まれていたようで、私は周囲の人から『何をやらせてもパーフェクト』と言われるようになる。


 みんな私を人生の勝ち組だと言い、なんの苦労もせず生きていると思い込んでいるようだった。


 でもそんな私にも悩みはある。

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