その押し付け、故意でしょ
ども、是枝です。
皆様の是枝 通が私が働いている会社までの道案内をいたします。
どうぞよろしくお願いします。
…なんてな。つまらない…。通勤中はすることもない漠然とした世界だ。
満員電車に揺られ、地方方面へA駅に下る。
下っているのに満員なのは、それなりに発展しているというのもあるが、都心への乗り換え路線が三線ほど重なっている点が大きい。
駅前はモールもあれば、居酒屋もネットカフェも満喫もスポーツジム…なんでも揃っている。
私は歓送迎会で利用する程度だが…。
これは同僚に聞いた話だが電車を乗車した30分前の場所と、降車した30分後の場所では、1度位の気温差があるそうだ。
今度はA駅からバスに乗車して務めいているB会社の工場に向かう。
くねくねとした道路のため、つり革にしっかり掴まり、両足を開いて踏ん張る。立って景色を見ることで、一瞬のC山の頭が見える。
今日も見れた!というところで、ロードバイクがバスを追い抜いていった。
抜かされた!
時速40キロメートルちょい超えってとこかな。
地理には詳しくないが、この道はヒルクライムに続く道らしく、たまに出会う。
後ろで結った髪がなびいている。
かっこいいなと思う。
鞄を背負っているので、通勤だろうか。
数分もするとラーメン屋の角を曲がって、工場に続く。
工場といっても最先端の機器を製造管理しているのだが、私は、そこの部署ではなく、情報閲覧のE部署に配属されている。
工場の入口に設置してある守衛室窓に今日1日頑張ろう!裏は今日一日お疲れ様と書かれたカードが安全君というキャラともに置かれている。置きっぱなしでかなり汚れている。
ゲートは遊園地か、競馬みたいだが、一歩入れば社員は寡黙に歩いているのみだ。
一般従業員の通行口に向かおうとすると、さっき追い抜いていったロードバイクの人が自転車を軽々と担ぎ靴をカタカタならして歩きづらそうに入ってきた。少しペンギン歩きで可愛い。
後で調べるとビンディングシューズというものらしい。
彼女は引き締まった体つきで、特に脚の筋肉が発達している。髪は後ろで束ねていた。サングラスを取ると胸元に指した。シャープな顔立ちに輝く目が印象的で、目は大きくキラキラとしていて、情熱と楽しさが感じられた。肌は健康的な日焼け色で、鮮やかなサイクルジャージを着ていた。
それはそれは目立つ!
ここの社員だったんだ…と眩し過ぎて瞬時見とれる。
目があった気もしたが、相手は物珍しさで見ているだけだろうという仕草で過ぎていった。
まぁ、実際そうだが…。
駐輪場は右だ。
一般従業員は左だ。
ここで分かれた。
更衣室にはシャワーがついているので、ジョギングで来る社員もいるようだ。
仕事の前に疲れるとは…気が知れねぇ。※1
「セリフ」:(心の声) というマルチタスク(並行処理)構成となっています。
「おはようございまーす。」 (うっ。先輩、月曜日から酒くせー。)
「おい。是枝。」 (うわぁ、いきなり呼ばれたよ…。)
「なんですか?主任。」 (なんだよっ。やんのかオラ!)
「今日、新人が配属されるから、お前に教育頼むわ。」
「この時期に新人ですか!?」 (え~俺が~?新人教育は俺担じゃないだろー。溝口だろって、有給かアイツ。くそ、今度奢らせてやる)
「何だ、不満でもあるのか。戦力になるかもしれんだろう。」
「この時期に来る社員って、いつも碌なやつがいないじゃないですか!?」(そーだそーだ!)
「なんだ、自分の事を言ってるのか?」
「くっ」(俺の時は優秀だったんですよ。これでも!)
「11時になったら、総務に行ってくれ。入社契約が終わってるだろうから。」
「碌でもない俺が迎えにいくんですか!?」(いーんですか?碌でもないやつにしちゃいますよ。)
「悪いな。」
「碌でもない」に対する「悪い」なのか、「俺が迎えに行くのか」への「悪い」なのか?と碌でもない俺は考えていた。
「はい分かりました。主任、張り切って行ってまいります。」(まぁ、さぼれるからいいか…。)
「ついでに張り切ってオリエンテーションもやっといてくれ」
「マジですか!?」(というか、通常業務と並行してだろ?勘弁してくれよ~。残業かぁ…)
この、押し付け上手め!!!
・・・はぁ、頭の中でつっこみ考えて鬱憤晴らしと思ったんだけど、マルチタスクはストレスだな。
文句を言ったところで、どうせやるんだから。
次からはシングルタスク(一つの作業に集中)だ。
何だか余計に疲れた。
※1作者は会社員ですがロードバイクで13キロを通勤してます。電車バス通勤の時より精神的肉体的に健康です。(個人の感想です。)