【もふもふ王国】パワハラしてくる先輩に【漫才】
ボケ:女性、神埼
ツッコミ:男性、二宮
【登場しながら、二宮が前に出ようとするのを神埼が押しのけて叫ぶ】
ボケ「うおおおお!! おっはようございまぁぁぁぁす! もふもふ王国ですよろしくお願いします! こっちの美人が神埼で、そこの目つきの悪いのが二宮さんです! さて二宮さん悩みがあります!」
ツッコミ「俺の悩みは相方が言う事聞いてくれないことだな」
ボケ「悩みがあります!」
ツッコミ「ないだろお前に悩みなんて。ゲームのボスが倒せないくらいだろ」
ボケ「その悩みもありますけど!」
ツッコミ「あるのかよ」
ボケ「この業界、先輩後輩の上下関係が厳しいじゃないですか」
ツッコミ「まあ、それはよく聞くな」
ボケ「大半の先輩はいい人ですけど、パワハラがひどい人もいて」
ツッコミ「あるあるだな」
ボケ「ひどいんですよその人。会うたびに、挨拶がうるさいって言ってくるんです!」
ツッコミ「うん。それはそうだな」
ボケ「お前は馬鹿だとも言われました!」
ツッコミ「本当のことでも言っちゃいけないよな」
ボケ「人の話を全然聞いてないと言われたこともあります!」
ツッコミ「なあ! さっきからその指摘、全部正しいと思うんだけど!?」
ボケ「お前、顔以外に良い所全然ないよなって言われたり!」
ツッコミ「だから人の話を聞けや!」
ボケ「ひどいと思いません!? 確かにわたし美人ですけど、他にも良い所いっぱいありますから!」
ツッコミ「だから! そういう所だ!」
ボケ「二宮さん怒ってますね……可哀想なわたしのために」
ツッコミ「こいつはもう駄目かもしれない」
ボケ「面倒くさがり屋だとも言われました」
ツッコミ「それ……はわからない。事実かどうか微妙だな」
ボケ「その他にも、死ねとか邪魔だから引退しろとか、コンビ揃って面白くないとか言われました!」
ツッコミ「それは駄目だ。怒るべきだ。初めてそう思った」
ボケ「でしょー。だから、仕返しを考えてます!」
ツッコミ「仕返し? どんな?」
ボケ「呪いの藁人形です!」
ツッコミ「藁人形!? 先輩より売れて見返すとか、パワハラを告発するとかじゃなくて!?」
ボケ「呪いですよ呪い! 時代は今、呪いなんです!」
ツッコミ「そんな時代はもう終わったんだよ」
ボケ「というわけで二宮さん。今から呪いをかける予行演習をするので、うまく出来てるかどうか見てください」
ツッコミ「俺もやり方とか知らないんだけど」
ボケ「まずは服装ですが、白装束です」
ツッコミ「だから人の話を……白装束なんて持ってるのか?」
ボケ「家に無かったので、夏物の白いワンピースを着ます」
ツッコミ「そんなのでいいの!?」
ボケ「控えめなフリルが可愛くて気に入ってます」
ツッコミ「呪いにその情報はいらない」
ボケ「次に頭にロウソクつけるんですけど、家にアロマキャンドルしか無かったので、ソロキャンプのために買ったヘッドランプをつけます!」
ツッコミ「あるならせめてアロマキャンドル使え! てかお前ソロキャンプなんてやってたか?」
ボケ「最後に下駄を履くんですが、形が似てるビーチサンダルで代用します」
ツッコミ「似て……るかもしれないけど! いやでも代用は無理だろ」
ボケ「そして肝心の藁人形ですが、藁が無いのでティッシュと輪ゴムでそれっぽい人形を作ります」
ツッコミ「幼稚園の工作かよ! 肝心な所をティッシュで済ますな!」
ボケ「この藁人形、まだ完成ではありません。呪う相手の体の一部が必要なんです」
ツッコミ「ティッシュ人形だけどな。体の一部って、髪の毛とか?」
ボケ「はい。けど入手が難しいので、少し知恵を絞りました! 【トーンを落とした気取った声で】体の一部じゃなくても、体から出た情報なら有効ではないかと」
ツッコミ「おお。急に知的な感じになってきたぞ。ティッシュ人形作ってた奴なのに」
ボケ「着目したのは"声"です」
ツッコミ「うん」
ボケ「あの人に死ねと言われた瞬間の音声をボイスレコーダーに録音しました」
ツッコミ「うん?」
ボケ「音声データをカセットテープに録音し直して、中のテープを藁人形に巻き付けました!」
ツッコミ「そのデータ他に使い道があんじゃないかな!?」
ボケ「そして呪いたい相手の名前を人形に書けば完成です! 波輪原刷蔵っと」
ツッコミ「そんな先輩いたかなあ」
ボケ「ではいよいよ呪ってみましょう!」
ツッコミ「そんなテンションでやるもんじゃないだろ」
ボケ「かける呪いを頭に浮かべながら、藁人形をハンマーと釘で木に打ち付けるんですよね。大事なのが、呪う途中で人に見られてはいけないってことです。見られたら呪いが自分に跳ね返ってきますから」
ツッコミ「それは聞いたことあるな」
ボケ「では早速、夜の森へ行きます。草木も眠る丑三つ時。周りには誰もおらず、わたしを見ているのは月とフクロウだけです」
ツッコミ「詩的な感じ出してるけど、誰かに見られたらアウトじゃないのか?」
ボケ「人間じゃないからセーフです! さあ呪いますよ! うおおおおお!! 死ね波輪原!」【叫びながらハンマーを振る動作】
ツッコミ「待て待て声が大きい! 誰かに聞こえたらまずいだろ! てか呪いで殺すつもりだったのか!?」
ボケ「そんな呪いはかけませんよ! もし跳ね返ったらわたしが死んじゃうので」
ツッコミ「今死ねって」
ボケ「それくらいの気持ちってことです! うおおおおお!」
ツッコミ「呪う雰囲気じゃないんだよな」
ボケ「うおおおおお! ……え? 足音!? こっちに近づいてきます! なんでわたしのこと、わかったんでしょうか!?!?」
ツッコミ「その大声だよ」
ボケ「逃げれば見つかった内に入りません! 森の中をダッシュです!」
ツッコミ「いいのかそんな雑な判定で」
ボケ「うわー! 枝にスカートが引っかかった!? うわーん破れちゃいました! お気に入りだったのに!」
ツッコミ「そんな格好で森を走るから」
ボケ「うわー転んじゃった!」
ツッコミ「ビーサンで走るから! てかソロキャンやってるなら、その格好で森を走るの無理ってわかるだろ」
ボケ「やってません! 道具だけ揃えて面倒くさくなったので!」
ツッコミ「面倒くさがり屋! 波輪原そこは間違ってなかった!」
ボケ「ここまで逃げたのに、まだ追ってきます! なんで夜なのにわたしの居場所がわかるんですか!?」
ツッコミ「ヘッドランプのせいじゃないかな!」
ボケ「もう終わりだー。呪いがはね返されちゃう。ああ、これまでの人生がダイジェストで見える」
ツッコミ「走馬灯!? やっぱり死ねって呪ったんじゃ」
ボケ「人生いろいろあったな……あ!! うおおおお! おっはようございまぁぁぁす!」
ツッコミ「急にどうした!?」
ボケ「二宮さんも一緒に!」
ツッコミ「やらねえよ! なんなんだよ急に」
ボケ「漫才で二宮さんに挨拶させてあげられなかったのが未練です」
ツッコミ「だったら普段からやらせてくれないかな!?」
ボケ「あ。追いかけてきた人が逃げていきます! なんででしょう」
ツッコミ「夜中に変な女が大声でおはようございますは怖すぎるからな」
ボケ「なるほど! よし今のうち! カンカンカンカン! よし呪い完了です! どうですか予行演習ばっちりですよね!? 呪いかけられますよね!?」
ツッコミ「全然だめだ。てか、さっきから言ってる呪いってなにかけたんだ? 跳ね返ったら困るらしいけど」
ボケ「漏らしそうな時に限って男子トイレが行列になる呪いです!」
ツッコミ「お前に跳ね返っても意味ないな!」
二人「どうもありがとうございましたー!」