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ある異世界での銃の発明史

黒色火薬を最初に発明したのかが誰だったかは諸説ある。

高名なエルフの薬師だという説もあれば、製金法を求めたヒューマンの錬金術師という説もある。

だが最初に「利用」したのはドワーフだ


なぜドワーフが黒色火薬を早期に受容したか

その原料が硫黄と硝石に炭…ドワーフが故郷とする鉱山と親しみ深いものだったからだ。

まさか硝石にこれほどの利用価値があったとは!

この魔法や魔物に拠らない安定供給可能な爆発物は、魔法の爆発物より安価な代替品として発破に利用された


この安価な爆発物を武器として利用できないか考えるのは当然の発想であった。

黒色火薬の塊に導火線をつけて投げつける「爆弾」や小型カタパルトで大型の爆弾を投射する「投弾械」である。

初期には単に爆発のみがその利用法だった。


伝説に拠れば、次世代の火薬兵器は事故から生まれた。

当時すでに定着した発破作業中、飛散した石塊がドワーフたちを死傷させる大事故が起きた。

それを目撃したあるドワーフが「爆発で石を飛ばす武器」を着想したという物語だ。

「射石砲」である。

真偽を確かめる術は今やない


砲は構造的には「頑丈な金属の筒の片方を塞ぎ、もう片方から爆発で加速された弾丸が出る武器」である。

金属の細工や鍛冶に天性の才を持つドワーフたちにとって「長い鐘」のようなもの。

特筆すべき苦労もなく直ぐに完成した。

しかしこれはあまりにも巨大で山岳地のドワーフたちには扱いにくかった。


話は変わるようだが「ドワーフの弓」で「適性がない」ことを示すように彼らは弓術を苦手とする。

これはドワーフは体格が小さいので弓を引くストローク長が確保しにくく短弓しか扱えないためである。

彼らは強靭な甲冑を鍛冶場で作り上げるが、それを貫くにはクロスボウを用いるしかなかった


しかしドワーフにとってクロスボウは高コストな代物である。

木材の加工、動物性の接着剤、矢の安定翼としての鳥羽などなど手間暇が大きい。


「砲を小型化すれば単純な鉄の筒、ただの金属球、黒色火薬、どれもドワーフにとって低コストな射撃武器が作れるのでは?」


当初は「クロスボウの安価な代用品」として生まれたドワーフたちの新たな武器が銃であった。

彼らの文化からしても理想的な武器である。木や骨ではなく、鍛冶屋たちの炉と金槌で作る金属の射撃武器は大いに歓迎された。

これが戦場で大いに猛威を振るうようになるのは知られる通りである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一つの歴史を創り語る上で、テンポが良く分かりやすいと感じました。ドワーフに『火薬に適性がある』よりも『弓や魔法に適性がない』点が着眼点として面白いと思います。 [一言] 一つの世界における…
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