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第五節 戦闘

「阿修羅丸様。監視をしていた妖怪どもから目標が動きだしたと報告がありました。どうしますか?」


阿修羅丸に報告をし、どのように動くが確かめる滅天童子であった。


「やっと動きがでたか。まちくたびれたぞ。それで人間の様子はどおなってるんだ滅天。」


「は!人間が5人清浄京を出たとの報告がありました。しかし、そのうちの一人があの法海がいるとの報告も受けております。」


「法海だと!厄介なやつが出てきたものだな。あの坊主にはお前や煩悩入道それに苦行苦学も手を焼いたからな。この俺でもてこずったからな。」


「ほかに清浄京の退魔師どもの姿はみえておりません。人間どもの人数そして法海が一人ついているということはたぶんあやつらの力がどのていど通用するのか試すためではないでしょうか?」


「まぁいいさ。俺は時を越えてきた人間と戦ってみたいだけだから法海がでてきても関係ないからな。」


「ですが、阿修羅丸様。法海がいるということは脅威にあたります。一応警戒はしておくべきです。」


「わかったよ。そんときは俺とお前で法海を相手にすればいいだけの話だ。」


阿修羅丸と滅天童子は法海の存在に脅威を感じながら、帝釈たちの行動に対処しようとしていた。


法海と帝釈たちは都の外にでて、阿修羅丸と滅天童子のいる方向にむかって歩いていた。


「本当に大丈夫かのぉ?きづいてたら死んでましたじゃすまぬぞ?」


怖がる弥勒御前であった。


「な~に、俺と法海和尚がついてるんだ。大船に乗った気持ちでいればいいんだよ。」


弥勒御前にしてみれば根拠のない不動丸の発言にいっそうの不安をおぼえた弥勒御前であった。


「みなさん。感じませんか?特に天女さんあなたは妖怪の妖気を察知する力が強いはずです。」


法海の妖気を察知するという言葉に対して天女は


「はい。とても強くてまがまがしい気配みたいなのを感じます。以前戦った妖怪たちよりももっと強い気配です。」


「おっと。現れましたね。妖怪様ご一行の登場です。」


側近級の阿修羅丸と滅天童子そして、複数の妖怪たちを目の前にしても動じない法海であった。


しかし、それに対して、帝釈・天女・弥勒御前の三人は驚きを隠しきれないでいた。


「よぉ!久しぶりだな法海のくそ坊主!この前のかりとそこにいる四人をぶっ殺しにきてやったぜ!」


「ぶっ殺すとは穏やかな発言ではありませんね。威勢だけはさすがにいいですね。阿修羅丸。」


阿修羅丸を子ども扱いするかのように発言する法海であった。


「なんだとこのやろう!俺が弱いとでもいうのか?!」


「阿修羅丸様。法海の挑発にのってはいけません。久しぶりだな法海よ。あいかわらず余裕そうだな。」


阿修羅丸をおちつかせようと滅天童子であった。


「常闇の主の側近が二匹首をそろえていて、私が退治したいところですが、まぁ今回は我慢しましょう。今はこの四人があなたたち相手をしますよ。」


「なんだぁ?退魔師のひよっこみたいなのが四人いるだけじゃねえか?法海おまえこれだけの妖怪をたった四人で倒せると思っているのか?」


「確かに。普通常闇の主の側近二人と大量の妖怪がいれば、私を含めた上級退魔師が10人以上いないと対処できないところです。ですが、この子たちは強いですよ?私が保証します。」


「すごい自信じゃねえか。じゃぁためさせてもらうぜ!!」


突然、阿修羅丸は勢いのよいスピードで帝釈にめがけて斬りかかってきたのである。


それをとっさに帝釈は金剛杵で阿修羅丸の剣を受け止めた。


「いきなりかよ!」


阿修羅丸の剣は休むことなく帝釈に斬りかかっていた。


「おまえ、回避予測能力もってるだろ?俺の初打を完全に見切っていたからな!すぐわかったぜ!!」


「なんだよおまえ!なんで俺にいきなり斬りかかってきたんだ!?」


阿修羅丸の剣をうけながら必死に語りかける帝釈であった。


「理由なんかねえよ!直感でお前と戦ってみたいっておもったからお前に斬りかかったんだ!」


「なんだよそれ!わけわかんねぇぞ!」


驚きながらも帝釈は冷静に今自分のおかれている状況を把握しようとしていた。


(大丈夫。この妖怪の攻撃をかわしきれないわけじゃない。冷静に対処すれば勝てる気はしないけど、負ける気もしない)


心の中で冷静に考え落ち着きを取り戻していく帝釈であった。


「俺は阿修羅丸だ!おまえの名前なんていうんだ!」


「俺は帝釈だ!って斬りかかって普通名前聞くか?」


剣の連撃を止め、阿修羅丸は自分の名を名乗り、帝釈に名を聞いた。


「帝釈か。おまえいい眼してるな。透き通ったまっすぐな眼をしてるぜ。気に入った!」


そう言い放ちながら、再び阿修羅丸は帝釈に斬りかかった。


帝釈が阿修羅丸と戦っている間、法海と天女・弥勒御前・不動丸の四人は滅天童子と大量の妖怪たちに囲まれていた。


「法海よ。お前はただたっているだけだが、そこの三人に加勢しなくていいのか?」


「ええそうですね。私抜きでもこの子たちだけで十分ですよ。」


「死将軍にして常闇様の側近最強と言われる私そしてこの大量の数の妖怪たちを前にしてその発言をするとはいい度胸だ。」


「いいえ。本心から言っています。本気でいってますよ。滅天童子。この子達を甘くみないほうがいいですよ。」


「ならためさせてもらうおうか!」


滅天童子は手下の妖怪たちを天女・弥勒御前・不動丸三人におそいかからせた。


すると、妖怪たちの後ろから一筋の光の矢が妖怪たちめがけて射抜かれたのである。


「なんだ援軍か!?」


後ろを見た滅天童子は弥勒御前が弓を構えている姿をみた。


「いつのまに後ろにまわりこんだ!?」


驚きを隠せない滅天童子であった。


「ほう。雑魚妖怪ならわらわの矢で10、20匹くらいまとめて駆除できるのぉ。」


弥勒御前の射抜いた光の矢は複数の妖怪たちを一撃でなぎ払った。そして法海からアドバイスされていた時渡りの術を使って妖怪たちの後ろに回りこんだのであった。


「みろくちゃんやったね!」


「まかせろなのじゃぁ!」


得意げにする弥勒御前であった。


「滅天童子。私はいいましたよね。甘く見ないほうがいいと忠告したはずですよ?」


「どのような手をつかって後ろに回りこんだかしらないが、戦況にかわりはない!」


滅天童子は妖怪たちを弥勒御前一人に集中させるかのように攻撃をさせた。それに驚いた弥勒御前であったが、それを助けるかのように今度は波のような炎が妖怪たちだけを焼き払ったのである。


「弥勒様!うしろに回り込むときは考えてくださいね!それくらい俺でもわかりますから。」


笑いながら不動丸は倶利迦羅を振り下ろしていた。そうさきほどの炎の波は倶利迦羅から発せられた炎だったのである。


「助かったぞ!不動丸!」


「二人ともすごい!じゃあ私も!!」


天女はまとっていた退魔の羽衣を槍へと変換し、勢いよく滅天童子に飛び掛り、鋭い突きをはなったのである。


その鋭い突きをかわした滅天童子であった。


「予測できる攻撃です。かわすのは簡単なことです。」


しかし、滅天童子は鋭い突きをかわしたかのように見えたが、右肩が崩壊していくのが見えた。


「なに!かわしたはずなのになぜだ!くっ!!私の再生能力がおいつかない!」


帝釈たちの戦力をあなどっていた滅天童子は危機感をおぼえた。


一方、斬りあいをしていた帝釈と修羅丸は、


「おまえの斬撃すごい切れ味だな!普通の妖刀だったら真っ二つだぜ!」


阿修羅丸の言うとおり帝釈が斬り放つ斬撃の余波は阿修羅丸の持つ妖刀滅神丸を貫通して、あたり一面に鋭い亀裂がはしっていた。


阿修羅丸の持つ妖刀滅神丸は神仏のもつ神通力を無効化する能力を持っている。それにより、かろうじて阿修羅丸は帝釈のもつ金剛杵の斬撃を受け流していたのである。


しかし、帝釈の持つ金剛杵の斬撃は阿修羅丸のもつ妖刀滅神丸の能力の許容範囲を超えようとしていた。それにきづいた阿修羅丸は動揺を隠せないでいた。


滅天童子も阿修羅丸に余裕がないことを感じ取っていた。それに加えて帝釈・天女・弥勒御前・不動丸たちの力が予想以上に強力であったために撤退することを決意した。


「阿修羅丸様!ここはいったん退却いたしましょ!」


滅天童子から紫色の妖気で満ちた煙が放たれた。その中へ逃げ込むように妖怪たちと阿修羅丸は姿を消したのである。


そして煙の中から阿修羅丸の声が響き渡った。


「帝釈!お前を倒すのは俺だからな!次会うときはかならずお前を倒す!」


阿修羅丸の声がきこえなくなると同時に煙は消えていった。


戦いの緊張感がほぐれたのか、戦った四人はその場に座り込んでしまった。


「なんとかなったのぉ・・・・。」


「たっちゃん!大丈夫だった!?」


「ああ。なんとか無事みたいだよ。」


「おまえら情けねえな。俺なんか見ろよ。ちょーよゆうだったぞ!」


「うそをいうでない。不動丸おぬしだって手がふるえておるではないか?」


力の抜けた声で会話をする帝釈たちであった。


それを見ていた法海は四人のもとへと歩みよってかたりかけた。


「ご苦労様でした。やりましたね。死将軍級の二人を相手によく戦いました。合格です。これなら心配ないでしょう。」


笑顔で帝釈たちの顔を確認する法海であり、その笑顔になんとなく苦笑いで返す四人であった。


「さぁ。いったん都に戻りましょう。そしてゆっくり休んでください。初めて真の法具の力を引き出して戦ったんです。疲れたでしょう。」


四人を気遣うように法海はいい、帝釈たちは都へと一時帰還したのである。

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