第二節 清浄京への旅路と法具の使い方
「俺の名前は不動丸。家の家系はみんな古来から妖怪討伐を専門にあつかってるからな。俺はその子孫ってことだ。」
「不動丸さん?」
真紅の侍は不動丸と名乗った。
「あの・・改めてありがとうございました。不動丸さん本当に助かりました。俺の名前は九品院帝釈・・・そしてこの二人は羽衣天女と弥勒御前といいます。」
帝釈は自己紹介をしたあと、不動丸にことの始まりを語ったのである。
「そうかい。そんなことがあったのか。未来から来たってことか。だから変な格好してるんだな。」
不動丸は帝釈たちの服装を見て、笑顔で笑っていた。
「不動丸さんの家系って昔から妖怪討伐をしているって聞きましたが・・・・。」
「そうそう。家の家系は代々妖怪討伐専門の家系でね。代々伝わるこの剣、こいつは倶利迦羅といって不動明王の神気を持った。法具なんだよ。」
自慢げに自分の法具について語る不動丸であった。
「不動明王ですか。なんだかすごいそうですね。」
話をあわせるようにうなずく帝釈であった。
「すごいだろ?でもおまえさんやそこのおじょうちゃんたちのもってる法具もすごいはずだぜ。だって帝釈天様からもらった法具なんだろ?」
「不動明王とか、帝釈天とか神様や仏様のことについて詳しくないからわからないけど・・・・さっき感じた力はすごくよくわかりました。」
帝釈は自分や天女・弥勒御前の持つ法具の力は妖怪との戦闘時によく理解していた。
「おれら退魔師は神仏の神通力をとおして、それを神気に変換して力にする方法がある。」
「おれらってことは他にも不動丸さんみたいな。退魔師の人たちがいるってことですか?」
ほかの法具使いを確認するかのようにたずねる帝釈であった。
「ああいっぱいいるぞ。神仏の神気を利用して結界がはられた都がある。そこにはたくさんの退魔師がいて、妖怪を滅する術を身に着けた退魔師たちがいっぱいいる。俺もそこで修行をした。」
「修行したといってもいっても俺のこの倶利迦羅を完全に使いこなしてるわけじゃないけどな。」
「常闇の主はそこらへんの強力な妖怪とはわけが違う。闇そのものといってもいいかもしれない。」
「隣国の神仏の功徳や恩恵を受けていた国があったがその国でさえ、滅ぼされた。俺ら退魔師は常闇の主を討伐するために、隣国の国に加勢に行ったが返り討ちにあっちまった。」
「それだけ、常闇の主の力は強大ってことだ。」
常闇の主の力と存在感について語る不動丸であった。
「そうじゃ。わらわのいた国はその悪しきものに滅ぼされた。わらわはその常闇の主を討ち取り自国をさいけんしたいとおもうておる。」
悲しそうな表情を浮かべながら、自分の決意を三人に伝える弥勒御前であった。
弥勒御前の事情や帝釈・天女二人の目的を聞いていた不動丸は、それを聞き提案をしたのである。
「よし、じゃあおまえさんらを退魔の都清浄京に案内してやるよ。」
「清浄京?」
「そう。清浄京だ。」
「そこで、おまさんらの持つ法具本来の使い方を学ぶといい。使い方を教えてくれる知り合いにこころあたりがあるからよ。」
清浄京へと案内することと法具の力を引き出す方法を教えようとする不動丸であった。
「そのせいじょうきょうとかいう都はどれくらいかかるの?」
天女はたずねた。
「そうだな。ここから歩いて3・4日ってところかな。馬があるなら2・3日でつけるがおまえさんら馬をもっていないだろ?」
日数をつげる不動丸であった。
「あるいて3・4日か・・・・長いな。それまでにまた妖怪たちが襲ってこないという保障もないし、また俺の持ってる法具が自由自在に使えるという保障もない。」
帝釈は冷静に考え、清浄京への道のりと妖怪たちとの戦闘をどのように避けようか考えていた。
「大丈夫だ。使い方はさっき感覚で覚えてるだろ?それがわかればあとは簡単だ。帝釈ならまた使えるって。」
不動丸は帝釈を安心させるかのようにきづかった。
「弥勒御前様だっけ。なんだか呼びにくいですね。一国のお姫様だったんだから、そうだな弥勒様ってよんでよろしいですか?」
不動丸は不意に呼び方を確認した。
「よいぞ。帝釈や天女はわらわのことを弥勒とかみろくちゃんとよんでおる。」
「わかりました。じゃあ弥勒様。清浄京までの道中このわたくしめがおまもりいたしましょう。」
「うむ。よろしく頼むぞ。道中であるが、帝釈と天女やわらわたちの持っている法具の使い方を簡潔ではあるが教えてほしい。」
「承知いたしました。道中ではありますがみなさんに法具の使い方を簡潔ではありますがお教えしましょう。」
不動丸は帝釈・天女・弥勒御前に簡潔ではあるが概要的に法具の使い方を清浄京までの道中で教えることにした。