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第五節 新たな魔具の脅威

神皇は書状をしたためていた。その内容は清浄京内の退魔師たちへの魔界への進軍であった。神皇は清浄京を守るには攻めに出るべきであると思ったからである。


帝釈たちも神皇の書状を読んでいた。魔界への進軍を決定したことに対して天女はおどろきを隠せずにいた。


「しずくちゃんがこんな無茶なことするなんて信じられない。」


「いや。近隣の村々を攻撃されたり、都にちょっかいだされるくらいなら攻めたほうがいいってことだろう。」


「そうですね。私もはじめはおどろきましたが、よくよくかんがえてみると冷静な判断ではないかと思われます。」


帝釈と法海は魔界への進軍に賛成であった。


「神化に対しての耐性がある魔物はいないんだはじめから神化して魔物どもをぶったぎっていこうぜ。」


「不動丸お主の頭のなかはいのししとおなじじゃのぉ。もっと頭をつかってたたかわぬか。」


「でもさぶっちゃけ神化した俺らが本陣に陣取っててもらちがあかないぜ。やっぱり不動丸の言うとおりはじめから神化して敵の数を減らしてあとからくる退魔師たちに残りの魔物を退治してもらったほうが


 効率はいいかんじするぜ?」


阿修羅丸は不動丸の意見に賛成であった。力の出し惜しみなしにいかないと冥魔導神を倒す前に魔物の軍勢に押し負けてしまうからである。


「でも、やっぱり雫には確認を取っておいたほうがいいだろうな。法海さん今から雫のところにいって確認をとってきましょう。」


「私もそう思います。冥魔導神に対抗する力はやはり神化しかありませんからね。」


帝釈たちは神皇の元へと向かったのである。そして、どうしてこのような書状を書いたのか問い詰めたのである。


「雫、この書状はどういう意味なんだ。教えてくれるかな?」


「はい。帝釈様、私達は力では冥魔導神の軍勢に勝っていますが、軍の数では劣っています。守りに徹していてはいずれ都の力も削られ滅んでしまうでしょう。だから私はあえて魔界への進軍を決意したのです。」


「そこまでの覚悟があるならしかたないな。それで作戦は考えてあるのか?考えてないなら今からでもかんがえるぞ?」


「大丈夫です。作戦はありません。帝釈様たちならもう察しはついているでしょう。」


「神化による一転突破か・・・・・。察しはついてたけどまさか本当に同じ考えをしてたなんてな。」


「法具・法力に耐性をもった魔物が相手なら神化が決定的なものになるだろうな。今回は切り札を出し惜しみなしで全力でいくってわけだな。」


不動丸はうなずきながら両手を組んでいた。


「総力戦になりそうじゃなぁ。わらわたちのがんばり次第ということになりそうじゃぁ。」


「安心してください。都の退魔師たちもやる気をだして全力で手助けをしてくださるそうですよ。」


「そうだよな。俺や帝釈たちだけで戦ってるんじゃねえからな。みんなの力を合わせて戦うんだ。負けるはずがねえぜぇ。」


阿修羅丸はかつて敵であった清浄京の退魔師たちの力をわかっていた。


「決戦の日は一週間後にします。それまでみなさまゆっくりと休息をとり戦にのぞんでください。」


神皇は帝釈たちに決戦の日を告げた。


滅天童子のスパイから神皇が進軍する日を聞いた冥魔導神は不気味に笑みを浮かべていた。


「一週間後ですか。いいでしょう。総力戦というのであれば私も本気で相手をしましょう。それまでにこの新しい魔具になれておくとしますか。」


帝釈たちは知らなかった。神化に対抗する力をもった冥魔導神たちのことを。


「冥魔導神様。頭が筋肉でできているような単純な発想で私たちと戦うなど笑止!しかし、そのほうが私たちの持っている魔具の力を存分にかつ単純に明確に理解させることができるでしょう。」


「滅天童子よ。本当によい機会に魔具を作ってくれたものです。本当に一週間後がたのしみですね。ではそれに答えるとしましょう。魔物たちに作戦の内容を伝え早速準備にとりかかりなさい。」


「かしこまりました。冥魔導神様。早速準備にとりかかります。」


冥魔導神様は戦いの流れを読んでいた。最終的には冥魔導神と滅天童子の二人と帝釈たち神化を遂げたものが対峙する情景が浮かんでいた。魔具による決定的な力の差をみせつけられる様子を。


そのころ帝釈たちは魔物との戦いにそなえるべく施設で訓練をしていた。


「ねぇ。たっちゃん本当に私たち勝てるのかな?たっちゃんやみんなが危ない目にあわないか心配でしょうがないんだよ。」


「なんとかなるだろ。そのために雫や法海さん達が法具の再強化をしてくれてるんだから。」


「天女心配いらねぇよ。帝釈のいうとおり何とかなるだろ。いざとなったら俺が全員守ってやらぁ。」


天女の心配は的中していた。帝釈たちの持つ神化を無効化できる力をもった冥魔導神たちの力を帝釈たちはしらなかったのである。


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