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第七章 神化の行く末 第一節 襲撃

「冥魔導神様。退魔師をふくめ神仏の使いのものどもが力をつけました。今後の対策はいかがいたしましょう?」


「滅天童子よ。私のもっとも望むことは人間どもの恐怖心です。その恐怖する心を糧とすることで魔具を通じて私はより強大になります。まずは清浄京の近隣の村を襲いなさい。


 そして、人間のもつ恐怖心をあおりなさい。村を襲えば神仏のものども罠であったとしてもたやすくつかまりますよ。」


「冥魔導神様では神仏の使いのものどもは殺してよいということなのでしょうか?」


「いいえ。殺すことはいつでもできるでしょう。まずは人間の恐怖心を集めなさい。正直なところ神化した神仏のものどもは力を合わせれば私と力が拮抗するでしょう。そのものたちに負けないよう力を


 つけるのです。ちょうどここに滅天童子よりもらった私専用の魔具もあります。それに加えて恐怖心をあつめれば神仏の使いのものどもに勝てるでしょう。それと神仏の使いのものどもが来る前に村を


 滅ぼしなさい。村が全滅するか。神仏のものどもがやってきてわたしたち魔物を討伐できるか楽しみましょう。」


「かしこまりました。では近隣の村をおそい神仏のものどもには道化となってもらい一役かってもらうとします。」


帝釈たちは冥魔導神が力をつけようとしていることも知らずに、神仏の森から帰ってきたのである。


「う~ん。いっぱいあそんだのじゃぁ!」


「そうだねみろくちゃん。楽しかったね。しずくちゃんも息抜きできたって言ってたし、本当によかったね。」


(二人とも息抜きできたみたいだな。それに雫もうれしそうだったし、いってよかった。)


帝釈は二人の満足した表情をみて思っていたのである。


「おかえりなさい。楽しそうですね。よく遊べましたか?」


「法海さん。はいおかげですっかり息抜きもできました。ありがとうございます。」


「いえいえ。こちらこそお礼をいわないといけません。普段屋敷の外へはめったにでられない神皇様ですが今回みなさんと遊びにいけて満足だったと思えますよ。さぁ今日は疲れたでしょ。明日も施設へいくのでしょ?


 疲れをのこしてはいけませんからね。」


「そうですね。今日は疲れたからゆっくり寝れそうです。明日のこともあるし、今日は早めに寝ますよ。」


帝釈たちは法海にいわれたとおり、今日の疲れを残さないように就寝したのであった。そして、真夜中のことである。都が騒がしいことに目を覚ました帝釈は何を騒いでいるのか眠い目をこすりながら寝ぼけていた。


そこへ法海があわてて帝釈たちのいる部屋へと駆け込んできたのである。


「みなさん大変です!近隣の村が魔物の群れに襲われていると聞きました!さきに退魔師たちも向かいましたが、みなさんも私についてきてください!」


「村がおそわれてるじゃと!帝釈一大事じゃぁ法海の言うとおりわらわたちもむかうぞ!」


帝釈たちと法海は急いでその村へと馬をはしらせた。しばらくすると村人だろうか子どもをかばっている母親に魔物が斬りかかる瞬間弥勒御前は矢を放ち魔物をたおした。


「大丈夫か!?」


「は、はいありがとうございます。」


「怪我してる!ちょっとまってくださいね。今治療しますから。」


天女は村人の母親と子どもに退魔の羽衣を使い傷を癒したのである。そして法海はその母親から村の様子はどうであったかを聞きだした。母親は逃げることに必死だったのであまりよくおぼえていなかったらしいが、


他の村人も同じように今でも魔物におそわれていることを聞いた。


「急ぎましょ法海さん!」


「そうですね。一刻のゆうよもありません。急いで村に向かいましょ!」


村は襲われた母親と子どもの距離からそう遠くなかった。その光景は家は焼かれ、無抵抗な村人を襲う魔物であった。先に村へ向かっていた退魔師たちも戦っているようだが魔物の相手をするので手一杯でった。


「みなさん分かれましょう!私と不動丸で村人の退路を確保しつつ戦います!帝釈さんと阿修羅丸は村にいる魔物を排除してください!弥勒様と天女さんは怪我をしている村人に治療と魔物が襲ってこないように見張りをして

 

 ください!」


「わかりました!阿修羅丸いくぞ!」


「おう!」


「みろくちゃんわたしたちもいそご!」


「了解なのじゃ!」


帝釈たちは法海の指示で手分けをして村人を助けにむかったのである。そしてその様子を水晶をとおしてみている冥魔導神であった。


「これはいいですね。すばらしい。滅天童子の言うとおりです。村人の恐怖心が伝わって私に力を与えてくれます。」


「お気に召しましたでしょうか冥魔導神様?」


「ええ。すばらしいですよ。これだけの小規模な村でもその恐怖心が私に力つけてくれると感じとれることはよいことです。この調子なら神仏の使いのものどももたやすく葬れる力になるでしょう。」


恐怖心を糧にして自らの力になっていくことを実感している冥魔導神は歓喜をしていたのである。その歓喜している様子をみて滅天童子も満足そうな表情をしていた。


そのころ帝釈と阿修羅丸は魔物を倒しながら退魔師たちを援護していた。


「神化しててもやっぱり魔具をもった魔物は強い気を抜いたらやられる!」


「なに弱音はいてんだよ。お前らしくないぞ帝釈!」


「そうだな。俺たちで退魔師のみんなをたすけないとな!」


そういいながら帝釈は退魔師と戦っている魔物めがけて斬撃を放った。ピンチを救われた退魔師は帝釈にお礼をいって次の魔物の元へと向かった。


不動丸と法海は逃げてくる村人を誘導しつつ魔物を排除していたのである。


「不動丸そっちに魔物がいきましたよ!?」


「まかせてください!おらぁ!」


不動丸は近寄ってきた魔物を一刀両断した。帝釈たちと同じでこちらも村人を非難誘導しながら戦うのは厳しい状況であった。


「天女よおぬしは村人の治療に専念せよ!近寄ってくる敵はわらわが倒す!」


「わかった。ありがとうみろくちゃん。」


天女と弥勒御前のほうは帝釈・阿修羅丸・不動丸・法海の活躍で近くによってくる敵に数もすくなく、護衛にまわった退魔師たちもいたのでなんとか安全は確保できていた。


しかし、それぞれの分担場所に危険がせまっていた。一般の魔物とはあきらかに違った禍々しい姿をした3匹の魔物が迫ってきていたのである。


「なっなんだこの魔物!俺の攻撃をふせぎやがった!」


「きおつけろ阿修羅丸!こいつ今までの魔物とは違う!」


「ほほう。俺様の力を見極めるとはすこしはできるようだな。神仏の使いのものよ。」


「本気でいかないとこっちがやられるぞ。阿修羅丸全力でかかるぞ。」


「おうわかったぜ!」


そして不動丸と法海のもとにも危機がせまっていた。


「法海和尚これでひと段落ついたかな?大変だったぜ。」


「おつかれさまでした不動丸。」


「っ!!法海和尚!!」


不動丸はあわてて法海のもとへいき敵の攻撃を避けたのである。


「今の不意打ちに気づくとは感がするどいようだな。」


「なっなんだこいつ!?なにかおかしい!法海和尚きおつけてください!こいつ今までの魔物とはちょっと違うみたいですよ!」


「わかっています。気配でなんとなくですがかんじとります。」


さらに天女と弥勒御前にも危機が及んでいた。


「みろくちゃん上からなにか飛んでくる!逃げて!!」


危機一髪で避けた弥勒御前であった。


「いきなりなんじゃぁ!」


「なるほどここに生き残りの村人を隠していたとわな。」


(なに?この威圧感今までの魔物とはちがう。)


魔物の気配の異常さにきづいた天女であった。


帝釈たちを襲う異様なまでに強い魔力を持った魔物たちが帝釈たちをおそうのであった。

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