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第三節 男のロマン

帝釈たちが帝釈天と神皇に都のことなどについて聞いていたころ、常闇の主の元に阿修羅丸・滅天童子・煩悩入道は報告にもどっていた。


「滅天童子・煩悩入道よ。よく清浄京を滅ぼした。我れが力をかしたとしても、おまえたちだけでおとせたことは大きな成果といえよう。」


「はっ!これもひとえに常闇様のお力あってこその成果といえるでしょう。わたしどもはそれをお手伝いしたにすぎませぬ。」


「しかし、それに対して阿修羅丸よ。おまえはどうだ?我の命でありながら神仏の使いのものどもをとりにがすとはどういうことだ。我の脅威となるのはあのものたちなのだぞ。それをよくわきまえておるのだろうな?」


「そんなこといわれなくたってわかってるよ。邪魔が入ったんだ。しかたないだろ?」


「言い訳はよい。結果がともなわなければ意味がないのだ。」


「おそれながら常闇様。わたくしに神仏の使いのものどもを滅するための機会をあたえてもらえないでしょうか?」


阿修羅丸に失態を問いただしていたところにわってはいってきたのは煩悩入道であった。


「煩悩入道よ。やつらを滅する自信があるのか?それとも秘策でもあるというのか?理由をきこうではないか。」


「はっ!単刀直入に申し上げます。秘策はございません。しかし、私の怪力と妖力をもってすれば鬼神のごときはたらきまします。」


「ほお。自信があるようだな。しかし、神仏の使いのものどもはそうたやすく滅せるものではないぞ?」


「ご安心ください常闇様。神仏の使いであったとしても人間であることにかわりはございません。そこがやつらの弱点となりましょう。」


「なるほど理解をした。よかろう煩悩入道よおまえに神仏の使いのものどもを滅する命をくだす。やつらを滅するだけの妖怪たちをひきいて向かうがよい。」


常闇の主は煩悩入道がどのような妖怪であるかを理解したうえで帝釈たちを倒すために大群を率いて帝釈たちのもとへと進軍したのである。


そして、そのころ帝釈たちは神仏の森で常闇の主のいる国へと旅立つ準備をしていた。


「帝釈様・・・・。」


「雫。大丈夫だ安心してくれ。俺たちはかならずここに戻ってくるから安心してくれ。」


「うん。かならず常闇の主をたおして戻ってくるからね。しずくちゃん。」


「心配せんでもよい雫よ。わらわもいるのじゃぁ。安心せい。」


「弥勒様が一番あぶないようなきがしますが・・・・・。」


小声で弥勒御前のことを頼りなくいっていた不動丸であったがそれを聞いていた弥勒御前は不動丸の頭にかみついたのである。


「いでぇ!!」


「ぬぅあんじゃと!うぁらぁうぁがたよりなひともうふか!?」


「いででで!!あやまりますよ!だから頭かむのやめてください!」


必死で頭にかみついている弥勒御前をふりはらおうとする不動丸であった。その光景をみていた神皇はおもわず笑みを浮かべたのである。


「さぁみんないこうか。」


帝釈たちはこうして神皇にみおくられながら常闇の主がいる国へと旅立ったのである。


「たっちゃん私たちきっと大丈夫だよね?しずくちゃんにはからげんきだったけどきっと常闇の主をたおせるよね?」


「ああ心配するな天女。俺たち四人で力をあわせればきっとうまくいくよ。」


「しかし、帝釈よぉその自信はどこからくるのじゃぁ?」


「弥勒様そんな細かいことはいいんですよ。ようするに常闇の主をたおせばいいだけなんですから。適当でいいんですよ。」


「そうだな弥勒。不動丸の言うとおり、考えててもしかたないってこと。やるべきことをしっかりこなしてその場を乗り越えることが大切だとおもうよ。それが自信になるのかもしれない。」


不動丸の適当な性格に心救われる帝釈であった。


「ところでみろくちゃん。みろくちゃんの国までどれくらいかかるの?」


「そうじゃなぁ。神仏の森から出発したから丸一日といったところじゃな。国境には温泉の湧き出ている村があるぞ。そこで今日は一泊して明日にそなえるとよいじゃろぉ。」


「温泉か。いいねみろくちゃん。温泉につかってゆっくりするのもいいかもね。」


「温泉はよいものじゃぁ。父上・母上と来た思い出の場所でもあるぞぉ。それに母上が言っておった。その村の温泉には美肌効果もあるらしいとなぁ。」


「美肌!?いいねそれ!」


美肌という単語に期待をふくらませ興奮する天女であった。


温泉の話題で盛り上がる天女と弥勒御前であったが、よからぬ考えをおこしてるものがいた。そのものは期待と野望に燃えていた。


そう、そのものとは不動丸であった。その野望等々についてもう定番中の定番であるアレである。その野望に満ちていた顔を見て帝釈はあきれた顔でみていたのである。


「さぁ村についたぞぉ。ここがわらわたちが前に泊まった温泉宿じゃぁ!」


「へぇ~雰囲気いいねぇ!これならみろくちゃんのいってたとおり温泉も期待できそう!さぁみんなはいろはいろ!」


三人の背中を押す天女であった。宿の主は帝釈たちを男女にわけ別々の部屋へと通したのである。


「へぇ~。眺めもいいんだね。」


「そうじゃろ?この宿はわらわのお勧めの宿でもあるのじゃぁ。」


天女と弥勒御前が会話しているころ別室では不動丸が帝釈にせまっていた。


「なあ帝釈。男ならやっぱりアレをしないといけないとおもわないか?お前の時代でみたてれびとかいうやつでいってた男のロマンってやつらしいな。」


「俺には興味ないな。一人で勝手にやってろよ。」


「そんなつれないこと言うなよ。お前だって男だろ。興味ないのかよ?」


「ないね。俺は普通に温泉を楽しむ。それだけだ。お前も普通に温泉楽しめよ。後できっとひどいめにあうぞ?」


注意を不動丸にする帝釈であったが、それをいっこうに聞いていない不動丸であった。それどころか不動丸は勢いよく帝釈の腕をつかみ温泉へと向かったのである。


期待に胸をふくらませていた不動丸は温泉につかりながら木の板に耳をあてていたのである。


「みろくちゃんはやくはやく!」


「ちょっとまつのじゃぁ天女よ。あわてるでない。」


「お!!きたきた!!」


天女と弥勒御前の温泉に入ってくる声を聞き取った不動丸はおもむろに法具をとりだした。


「おい浮動丸。おまえ法具でなにするつもりだ?」


「へへぇ。法具にはこういうつかいかたもあるんだよ。だまってみとけ。」


不動丸の法具からガスバーナーのような勢いで火をふいていた。


「こんだけ小さい炎で勢いよく木の板に穴開けるんだよ。」


そう。不動丸がやろうとしていたアレとはのぞきである。不動丸法具でうまく小さいのぞきあなをつくった。


「よっしゃ。あながあいたぜ。どれどれ。」


不動丸ののぞいた穴のさきには裸になった天女と弥勒御前の姿がうつっていた。それをみた不動丸は鼻血をだしてのぞいていたのである。


「なんじゃぁこの欲望にまみれた視線は?」


「なんだろうねみろくちゃん私も嫌な視線感じるよ?」


天女と弥勒御前は不動丸の欲望にまみれた視線を感じ取ったのである。


「この気配と嫌な視線は・・・まさか不動丸おぬしわらわたちの風呂をのぞいておるな!?」


あわてて体を隠す天女と弥勒御前であった。


「やべえばれた!」


あわててその場を逃げようとする不動丸であったが、弥勒御前は法具をとりだした。


「のぞくでない!これでもくらえ!!」


天に向かってはなたれた光の矢はやがて水へとかわり大量の水が帝釈と不動丸に襲い掛かってきたのである。


「なんでおれまで!?」


大量の水に巻き込まれた帝釈と不動丸は温泉の外へと投げ出されたのである。


「おぬしらしっかり反省しておるのじゃろぉな!?」


「そうだよ。たっちゃんまで。」


「ちょっとまて俺はなにもしていないぞ!?」


「うるさい。不動丸をとめなかったおぬしにも責任はあるのじゃぞぉ!」


帝釈と不動丸は正座をさせられていた。天女と弥勒御前はおこっていたのである。


それからしばらく2時間ほど天女と弥勒御前の説教は続いた。そして、夜がふけていき


帝釈たちはそれぞれの部屋で就寝をしていた。


「まったくもう。不動丸さんって本当にスケベなんだから。」


「そうじゃなぁ。すこしは反省したであろう。」


「でも、おこられてたときのたっちゃんおもしろかったね。」


「そうじゃなぁ。たしかにこまっておったぞ。あれは傑作じゃった。」


「ねぇ。みろくちゃん明日はいよいよ弥勒ちゃんのいた国にはいるんだよね?」


「うむ。戦闘が激しくなるであろう。しかし、わらわにはおぬしたちがおる。おそれるものはない。」


「そうだね。みんな強くなったし、あしたは・・・がんば・・ろうね。」


「いいながらねてしまっておるな。わらわもねようかのぉ。」


弥勒御前は天女の寝顔をみて微笑みをうかべながら寝たのである。

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