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第四章 希望を胸に 第一節 死将軍たちの進撃

帝釈たちは元の時代にもどろうとしていた。


「でわみなさんおきおつけて、いってらっしゃい。都のことは私たちにおまかせください。それから不動丸、みなさんのご迷惑にならないようにしてくださいね。」


「わかってますよ法海和尚。人を騒がしい人扱いしないでください。」


「なにをいうか。じっさいおぬしは騒がしいではないかぁ。まあよい。時間と場所は帝釈と天女のいた蔵でよいな?では、時渡りの術を発動させるぞ。準備はよいか?」


「うん。いつでも準備いいよみろくちゃん。」


「ではいってきます。法海さん。」


弥勒御前は時渡りの術を発動した。光につつまれた帝釈たちは法海のほうをみてその場から消えたのである。


そのころ、帝釈たちが時渡りの術で元の時代にかえったことを感じ取った常闇の主であった。


「神仏の使いのものども。元の時代に戻ったか。これで清浄京を攻めやすくはなったが、もはやあやつらは我の脅威である。苦行苦学も滅せられてしまった。次なる手をうたねばならぬ。」


常闇の主は考えていた。脅威となった帝釈たちそして、今清浄京をせめれば神皇たちに深いいたでをおわせることができることをさとっていた。


その考えを察したかのように滅天童子は常闇の主に策を提案したのである。


「常闇様。お考えがございます。」


「滅天童子よ。なにかよい策でもあるとでもいうのか?答えてみよ。」


「はいございます。我ら死将軍を二つに分けるのです。」


「二つにわけるとはどういう意味だ。」


「二つにわけるというのは、常闇様も神仏のものどもとと同じように時を渡る方法があるとききます。その力を使い一方では神仏の使いのものどもの時代にいきそのものどもを滅ぼし、もう一方では清浄京を攻める


 方法でございます。」


「ほう。たしかに我には神仏のものどもと同じように時を操る術を持っている。それを利用するということか。」


「はい。そのとおりでございます。しかしそれには確実に神仏の使いのものどもを葬る力のあるものと清浄京にふかでをおわせるもの。この二つに分ける方法にございます。」


滅天童子の提案をきいていた常闇の主の傍らで阿修羅丸は言ったのである。


「オヤジ!俺にあいつらの時代に行くことを許可してくれ!どうしてもたおさなくっちゃならないやつがいるんだ!」


「息子よ。確実に葬ることができるという自信はあるのだな?もし失敗しても、わが子だかといって甘やかさぬぞ?」


「わかってるよ。あいつを倒すために俺は毎日がんばってきたんだ!かならずやっつけてくるからたのむ!」


常闇の主は阿修羅丸をじっとみていた。確かな勝利をつかみとるため考えをめぐらせていた。


「よかろう阿修羅丸よ。しかし、おまえだけではあやつらを滅することは不可能。苦行苦学でさえやぶれたのだ保険をかけておこう。確実にあやつらを滅するため上級妖怪を1000匹おまえにたくすぞ。


 指揮は、阿修羅丸よおまえがとるのだ。そしてこれを渡しておこう。我が力を使って送り込むのはよいがそれでは一方通行である。この妖具は我が元へかえってこられるものである。のちにつかえ。滅天童子


 そして煩悩入道よ。おまえらは清浄京をせめこむがよい。軍の編成は滅天童子にまかせる。煩悩入道は先陣をきり、清浄京をせめるがよい。」


常闇の主は各死将軍たちに命じ確実に滅ぼそうとしていた。


そのころ帝釈たちは光の中からあらわれ、帝釈の家の蔵にいた。


「ふぅ。もどってこれたか。場所は俺の家の蔵でいいとして日時はどうなってるんだろ。」


「安心せい。時間的にはおぬしたちがわらわのいた時代へといく一刻後にしたぞ。時間も場所も問題なしじゃぁ。」


「ほんとですか弥勒様?あやしいですよ。」


「わらわのことが信用できぬというのかぁ!?」


弥勒御前を疑っていた不動丸であった。


「でもよかったねたっちゃん。もどってこれたし、同じ時間ってことは明日も休日ってことだよね?じゃぁみんなで街に買い物いったりしない?」


「それはよいのぉ!いろいろな発見がありそうな予感じゃぁ!」


「綺麗なおねえさんがいっぱいいるといいな。なあ帝釈この時代の女性ってどんな格好してるんだ、おしてくれ。」


「不動丸・・・・おまえナンパ目的できたのかよ・・・。」


「難破?なんだよそれ俺は船にのりにきたんじゃねえぞ?」


帝釈は不動丸の言葉にあきれていた。


「おまえ・・・・この時代でいうナンパはおまえのいう難破じゃなくって、面識のない女性に声をかけて遊びにさそうっていう意味だ。格好はお前が実際にみてからにしろ。」


「なはは・・・。まっまああれよね。泊まるところをきめないとね。不動丸さんはたっちゃんの家でみろくちゃんは私の家でいいかな?」


なんともいえない問答に天女は苦笑いをしながら浮動丸と弥勒御前の泊まる場所を提案した。


「ああ。いいんじゃないかな?とりあえず疲れたから家にもどろうか。」


「じゃぁたっちゃん。あしたね。」


「ああ。おやすみ天女と弥勒。」


四人は蔵からでてそれぞれの家に帰っていった。翌日である。4人はそれぞれの家の前で待ち合わせをすることにしていた。


「弥勒様!すごいですねこの時代の文化ってやつは!人が小さなうすべったい箱みたいなものに入ってるんですよ!?それに風呂もまきをつかわずに湯がわくなんてしんじられませんよ!」


「そうじゃろ不動丸よ!わらわもこの時代に一日泊まってみたが驚くことばかりじゃった!」


帝釈の時代の文化に驚きと興奮を隠しきれない弥勒御前と不動丸だった。


「それになんだよ。箱の中に入ってた女の人の格好!ひらひらしたすかーととかいう着物短すぎるだろ。うらやましいぜこの時代!!」


「不動丸・・・・おまえもういいから弥勒のいた時代にかえっていいぞ?」


「なんだよ。俺は男として個人として感想を述べてるだけだぞ!」


帝釈はあきれ、天女は苦笑い、弥勒御前は不動丸の言っていたことを聞いておらずこれから買い物にでかけられる興奮につつまれていた。


さっそくショッピング街についた帝釈たちであったが、不動丸は女性に声をかけまくり自爆、弥勒御前は食べ物や服のショーケースやショーウインドに顔をあてていた。


「やっぱり、弥勒の時代からくらべれば俺たちの時代って不思議なんだろうな。」


「そうだね。よく漫画とかドラマとかでも同じリアクションしてるし、そのまんまって感じだね。」


帝釈と天女は不動丸と弥勒御前の行動をみて笑っていた。


「いやぁおどろきの連続じゃぁ!かわいい着物やおいしそうなたべもの!わらわの心は興味がつきることはない!そこなしじゃぁ!」


「いててぇ・・・。お~いてぇ。この時代の女性って気が強いやつばかりだな。」


不動丸の頬には赤く平手打ちをされたあとがのこっていた。


「いい薬だ。不動丸お前大人なんだからもう少し自重しろ。」


「ねえたっちゃん。そろそろお昼だから食事にしない?」


「そうだな。どっかファミレスあるといいんだけど。」


「そうだいつものあそこのファミレスがいいんじゃない?たっちゃんと学校帰りによくよるファミレス。ここからなら近いし、いいんじゃないかな?」


「そうだな。あそこならおちついた雰囲気のファミレスだし、天女の言うとおりでいいとおもうよ。」


「ふぁみれすとはなんじゃぁ?不思議な名前じゃのぉ?」


帝釈と天女の会話を聞いていた弥勒御前は二人の間から顔を出して不思議そうな顔をしていた。


「あのねみろくちゃん。ファミレスっていうのはご飯を食べるところなんだよ。」


「おお!ご飯を食べるところか!わらわもちょうどおなかがすいてきたところだちょうどよい二人とも案内せよ!」


こうして帝釈たち四人はファミレスへと足を運んだ。


「不動丸さんとみろくちゃんははじめてだからわからないよね?これがメニューっていっていろいろな食べ物が書いてあるやつなのよ?」


「めにゅーというのか。ほうほう。絵がたくさんかいてあるのぁ。なんじゃこの旗がたってまっかな飯は?」


「これはお子様ランチっていってみろくちゃんが注文するたべものじゃないね。」


「弥勒様。そのお子様らんちとかいうのでいいんじゃないですか?にあってますよ?」


「なんじゃと不動丸!わらわはもう14歳なのじゃぞぉ!大人じゃ!」


そういうと弥勒御前は不動丸の足を思い切りふんだのである。


「あっいた!!なにするんですか弥勒様!」


(こっちの時代にきてから弥勒と不動丸は子どもみたいにはしゃいでいるな。まあ戦い続きだったし、弥勒もたいへんな思いばかりだったし、不動丸も妖怪退治ばかりしてたから、なにか吹っ切れたものがあったのかもな。)


帝釈は自分のいる時代がいかに平和であったかを実感し、弥勒御前と不動丸のいた時代を自分のいる時代と同じように平和にしてあげたいと思ったのである。


食事をおえた帝釈たちはショッピング街のすこしはずれにある公園で休憩をしていた。


「ふぅ。たらふくくったのぁ。あのはんばーぐとかいうたべものおしかったぞぉ。」


「俺はすてーきとかいう肉の塊がおいしかったですね。ったくよ。うらやましいぜ。こんなに贅沢なものずくしな帝釈の時代がよ。」


冗談まじりに笑い、帝釈の頭を脇ではさみこみ、髪をぐしゃぐしゃにかきまわしていた不動丸である。


「おっおい!不動丸はなせよ!」


「なんだとこいつもっとやってやるよ!」


「ねえなんか騒がしくない?パトカーとか機動隊の車それに救急車がすごい台数でショッピング街のほうにむかってるよ?」


ショッピング街のほうを指差す天女であった。


「いってみよ!」


騒ぎの原因をしるために帝釈たちはショッピング街へと走って戻ったのである。


「なんじゃ、煙がでておるぞ?」


「う・・・うそだろ?」


そこには警官・機動隊が出動をしており、妖怪たちと戦闘を繰り広げていた。


ショッピング街にいた人たちは非難をし、警官による誘導で逃げ惑う人たちがそこにはあった。


「たっちゃんどうして妖怪がこの時代にいるの!?」


「まさかとおもうけどあいつらも弥勒と同じように時間移動できる力をもっているのかもしれない。」


帝釈は右手をにぎりしめながらいっていた。


そのころ妖怪たちと銃撃戦をかわしていた警官と機動隊は銃がまったく妖怪たちにきかないことにとまどい混乱しつつも発砲をつづけていた。


「帝釈よいのか!?このままでは関係ないこの時代の人々を巻き込んでしまうぞ!しかし、わらわたちは法具をもってきたおらんぞぉ!どうすればよいのじゃぁ!?」


「武器ならありますよ弥勒様。帝釈・天女ちゃん。法具を呼び出せばいいんです。思い描いて念じるんです。」


自分たちの法具をイメージした帝釈たちの前に法具は光を放ち天よりふってきたのである。


その間にも警官たちは妖怪たちと戦闘をおこなっていたが、自分たちの攻撃がきかないとおもい、戦闘をやめて住民たちの安全を確保しつつ撤退していったのであった。


警官たちが撤退していったあとのショッピング街はみるも無残な光景であった。妖怪たちは雄たけびを上げその無残な光景をじゅうりんしていた。


「ひどい・・・・。」


口を押さえ、涙を流していた天女である。


帝釈は怒りに震えていた。妖怪たちに憎しみを抱き、復讐をするかのごとく勢いよく走り、金剛杵を妖怪の軍勢にめがけてふりおろしたのである。しかし、振り下ろした金剛杵を受け止めるものがいた。


「いよ帝釈。ひさしぶりだな。」


「阿修羅丸!」


帝釈の金剛杵を受け止めて、待ちわびたかのように笑っていた阿修羅丸であった。


「阿修羅丸おまえがこれをやったのか!?おまえが罪もない人を殺させるように妖怪共に命令したのか!?いってみろおおお!!」


「ああそうだとも。おまえらをおびき寄せるいいえさになってくれたぜ。死んでいった人間どもに感謝しないとな。」


「あぁぁしゅぅぅぅらぁぁまぁぁぁるぅぅぅ!!」


怒りにとらわれていた帝釈であった。帝釈は阿修羅丸の術中にはまっていた。阿修羅丸は人が争う心から生まれた妖怪であり、闘争による怒りを妖力へと変換していたのである。


「いいきぶんだぜぇ帝釈!俺のもっとも好む心境だ!もっと怒れそして俺を楽しませろ!!」


帝釈と阿修羅丸のぶつかり合う激しい剣撃はまわりの建物や妖怪たちおも巻き込み破壊していった。


そのころ天女・弥勒御前・不動丸は大量の妖怪たちにかこまれて苦戦をしいられていた。


「いったい何匹おるのじゃぁ!たおしてもたおしてもわいてきおるぞぉ!」


「おちついてみろくちゃん。おちついて対処すれば勝てないかずじゃないはずだから。」


「細かいことは考えないでくるものはぶった斬るだけですよ弥勒様!」


苦戦をしいられつつも、冷静に対処し妖怪1匹づつ確実に退治していく三人であった。


「くっ!俺の攻撃が全部かわされてる。」


「帝釈おまえの攻撃が全部わかるぜ!お前の怒りを通して全部心がわかっちまうんだよ!こいつでおわりだ帝釈!」


鋭い斬撃を放ちそれを正面からくらってしまった帝釈は地面に体をめり込ませ、そのめり込んだ衝撃で円形の跡が形作られた。


「たっちゃん!」


「いかん!二人ともわらわにつかまれぇ!」


急いで弥勒御前につかまった天女と不動丸であった。そして時渡りの術で帝釈の元へと瞬時に移動した弥勒御前は帝釈の手を取りこの時代から弥勒御前のいた時代へと消えたのである。


「はっははははははは!勝った!俺はあの帝釈に勝ったんだあああああ!!」


阿修羅丸は帝釈に勝利した気持ちは歓喜に満ち溢れ、闘争への勝利の心おどらせていた。


「帝釈を殺すつもりだったがにげられた。まあいい。おまえら!この時代にもうようはない!もどるぞ!」


常闇の主にもらった妖具を天にかざした阿修羅丸はむらさき色のまがまがしい煙につつまれ妖怪たちをおおうようにひろがってその場をさっていったのである。


時を越えて弥勒御前のいる時代へと戻ってきた。その場所は清浄京の法海のいる寺であった。しかし、都の変わり果てた姿を見て天女・弥勒御前・不動丸はいきをつまらせていた。


「お・・・・おい・・・なんだよこれ・・・。」


「ひどい。あたり一面廃墟になってる・・・・。」


「誰もおらぬのか・・・・。」


三人は言葉にならなかった。都の変わり果てた姿をみて絶望感に支配されていた。


そのときである背後から妖怪が一匹、三人に襲いかかったのである。しかし、その妖怪の襲撃を助けるかのように炎がその妖怪を燃やし尽くしたのである。


「みなさんご無事ですか?」


三人をたすけたのは法海であった。法海は傷ついた帝釈をみてここにいるのは危険であると判断をして都の近くにある神仏の森へと急いだのである。

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