決戦準備! 〜必殺ジャイアントスイング!〜
(前回までのあらすじ)
記憶を取り戻すため、ココアちゃんの最後の戦いが始まる!
するとその時、ギルドメンバーからメッセージが送られてきた。ユキノちゃんからだ。
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差出人︰ユキノ
タイトル︰敵が来ます!
本文︰セレナさんの言う通り、魔王『イブリース』のものと思われる大群が北の方角からこちらに向かっています! すごい数です!
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すぐさまクラウスさんがギルドメンバーと助っ人全員宛にメッセージを送ってきた。
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差出人︰クラウス
タイトル︰戦闘準備
本文︰敵さんがおいでなすったぞ! 総員持ち場につけ! 魔王だかなんだか知らんが俺たちの力を思い知らせてやれ!
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いよいよ……いよいよ始まるんだ。魔王との戦いが!
私はホムラちゃんと顔を見合わせて、頷きあった。
――ブワッ!!
前方から飛んできた大きなドラゴンが頭上を通り過ぎていき、村の東側に降り立った。『ファフニール』に変化したユキノちゃんだ。――ユキノちゃんが戻ってきたということは……?
――ゴゴゴゴゴゴ
程なくして前方から地響きがし始めて地平線が蠢き始める。相変わらずすごい数だ。私はウィンドウを操作して【ディストラクション+】の詠唱を開始した。
私の役目は前方から襲いかかってくる『アンラマンユ』の眷属のトカゲどもを一掃しつつ、ついでに『アンラマンユ』自体も倒すこと。相手はセレナちゃんですら一人では倒せなかった相手。上手く自爆に巻き込まれてくれればいいけど、もし巻き込まれなくてもホムラちゃんと協力しながら倒すことになる。
「ビビってんのか?」
「違いますよ! 武者震いだもん!」
緊張して震えていたのをホムラちゃんに見破られてしまった。恥ずかしい。でも、こうしている間にもどんどん敵は近づいてきている。ホムラちゃんとじゃれあっている時間はない。
トカゲの大群は、村から少し離れたところに止まり、先頭の一匹だけがこちらに歩いてきた。そして、そのトカゲは黒い長髪のイケメンに変身する。『アンラマンユ』だ。アンラマンユは村の前に立っている私とホムラちゃんを一瞥すると、首を傾げた。
「あれ、今日は爺ちゃんとかマイハニーはいないのか?」
マイハニー? セレナちゃんのこと? うわキモ! セレナちゃんが西側に回ったのは正解だったかもね。
私の隣でホムラちゃんが「おぇぇっ」と嘔吐くような声を出したので、笑いそうになってしまった。
「当たり前じゃない。何様だと思ってるのよ」
「――アンラマンユ様だが?」
「そんなの分かってるわよ! つまりセレナちゃんも、この村もあんたのものにはならないってこと!」
残念ながらボケに付き合っている暇はない。
「――なるほど、交渉は決裂ということだな。――ならば力ずくで村とマイハニーを手にいれるまで! ――やれ!」
アンラマンユが合図を出すと、一斉に眷属のトカゲたちが村を飲み込もうとこちらに走ってくる。私は【ディストラクション】の詠唱のカウントダウンが0になっていることを確認すると、ホムラちゃんに目配せをした。
「よっしゃいくぞロリ巨乳! 歯ぁ食いしばれ! 舌噛むぞ?」
「――ふぇっ!?」
私がホムラちゃんの発言の真意を理解するよりも前に、彼女は私の身体をひょいっと持ち上げて、そのまま脚を掴んで自分の身体を中心にグルグルと回転を開始した! え、えっと私これ知ってるかも! プロレス技の『ジャイアントスイング』ってやつじゃない!? うわ、めっちゃ目が回るんですけど!
「な、なんだぁ? なにやってるんだ?」
アンラマンユの間抜けな声が聞こえる。そりゃそうです。誰だってそう思います。
「パンツ! パンツ見える!」
「どうせ全部脱ぐんだから関係ねぇだろ!?」
「あ、確かに!」
確かにではないけどなんか納得してしまった。
そして、すぐに物理攻撃特化のホムラちゃんのパワーによってジャイアントスイングは常人離れしたスピードにまで加速し、私の脳みそもミキサーにかけられたんじゃないかっていうくらいぐちゃぐちゃにかき混ぜられたような、なんとも言えない感覚に襲われた。アオイちゃんに【ペインリデュース】をかけてもらったから苦痛は減っているらしいけど、だからといって雑な扱いしていいわけじゃぁぁぁぁぁっ!?
「いくぞぉぉぉっ!! おらぁぁぁぁっ!! クソ火力爆弾食らいやがれっ!!」
気合一発、ホムラちゃんが私を投げる! 私は凄まじい勢いでトカゲの群れに突っ込みながら、魔法を唱えた。
「――【完全脱衣】!! ――【ディストラクション】ッッッ!!!!」
お読みいただいた方、ありがとうございます!
『装甲娘』というアプリにハマってしまい、更新が滞ってしまいましたごめんなさい。反省しております。
でも、装甲娘マジで面白いんで仕方ないですよね(言い訳)




