準備万端! 〜ロリ巨乳だって虫は苦手!〜
◇ ◆ ◇
その後、パーティを組んだ私たち。
私は、クラウスさんが【ディストラクション】の巻物をタダでくれたおかげで浮いたお金を使って、装備を一式買い揃えた。
といっても、どれを買えばいいのかよく分からないので、クラウスさんが相性良さそうな装備を見繕ってくれた。
今の私は、頭と手足にそれぞれ植物のツルで編まれたような飾り物をつけて、緑色のヒラヒラのワンピースを身につけ、手には、先端にピンク色の花がついた木の枝のような杖を持っていた。
クラウスさん曰く「これは本当は『精霊使い』用の装備なんだが、『闇霊使い』のお嬢ちゃんでも問題なく装備できる」とのこと、ちなみに『闇霊使い』用の装備はこの街では全く手に入らないらしい。
自爆魔法の件といい、やっぱり『闇霊使い』は不遇なのかな……?
ちなみに、今の私のステータスはこうなっています。
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名前︰ココア
性別︰『女』
種族︰『ホムンクルス』
ジョブ︰『闇霊使い』
ステータス
レベル︰5
HP︰450
MP︰50
STR︰4
VIT︰6
INT︰10
RES︰8
AGI︰5
DEX︰6
RUK︰7
スキル
【即死回避】 【幻惑】 【自動反撃】 【究極背水】 【初心者の証】 【赤い糸】
魔法
【完全脱衣】 【ディストラクション】
装備
武器︰精霊の杖
頭︰生命のサークレット
体︰精霊のワンピース
腕︰生命の腕輪
足︰生命のアンクレット
装飾品︰精霊の髪飾り
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装備のおかげで物理攻撃以外のステータスが軒並み上昇。そして、クラウスさんの助言でHPを上昇させる『生命系』の装備を取り入れたおかげでHPは早くも500に迫る数値になっている。これも全て【ディストラクション】の威力を高めるため、ロマンのためなんだよ!
そして、余ったお金で回復薬などの消耗品を買い漁って、私はクラウスさんの案内で街の外のとある初心者向けダンジョンに向かっている。
「そろそろダンジョンだ。注意しろよ。初心者向けといっても意外と侮れないからな」
先を歩くクラウスさんは私の方を振り返って言う。こういう、いつも背中を見せてくれる男の人ってかっこいいと思う。
「でも、クラウスさんがいれば余裕ですよね?」
「うーん、まあ普通ならな。でも誰かを守りながらとなると――」
えーっ! さっきクラウスさん「お嬢ちゃんを全力で守るから」とか言ってませんでしたっけ! なんで急に自信なくなっちゃうの!?
「私が死んだら背後霊として化けてでることにしますね!」
「怖ぇこと言うなよ……まあ心配なら俺の背中にくっついてな。それなら安心だ」
「じゃあお言葉に甘えて……」
クラウスさんが背中から盾を取り出して構えると、私はその背中にくっつくようにして後ろをついて行った。やがて、私たちは鬱蒼とした森へと入っていく。ここがダンジョンなのかな?
「来るぞっ! 『キラービー』だ!」
「へっ!?」
前を歩くクラウスさんの声にびっくりした私は、慌てて前方をうかがおうと顔を出したが、クラウスさんに手で制される。
「隠れてろって言っただろ? すぐに片付けるさ」
なんか、ブンブンと音がしているのは、モンスターの羽音だろうか。
――ブゥゥゥゥンッ!!
「――っ!? 【シールドバッシュ】!」
「うわぁ!!」
大きくなる羽音。突然走り出したクラウスさんの背中に私は慌ててついて行った。
――ゴッ!!
金属が何かにぶつかるような音がして、盾で殴られた敵はブンッと音を立てながら地面に落ちたようだ。
「【センチュリオンスパイク】!」
――グサッ!!
クラウスさんはロングソードの連続攻撃で地面に落ちた敵にトドメをさしたようだ。私が盾の陰からチラッと見ると、ちょうど体長1メートルほどもある大きなハチのようなモンスターが、白い光に包まれながら消滅するところだった。
おお、やった。勝ったんだね! 私なにもしてないけど!
「どんどん行くぞ!」
「はいっ!」
その後、私はクラウスさんの背中に隠れながらダンジョンの奥の方までやってきた。モンスターが出る度にクラウスさんが迎撃してくれるのだけど、やっぱり物理攻撃力が足りないのか、一発で仕留められないことが多かった。
しかも、ダンジョンの中盤あたりから出現し始めた大きなカブトムシのようなモンスターは、防御力が高いのか撃破に手間取り、それが数体まとめて現れたりすると、撃破するまでに数十分かかることもあった。
が、彼の物理防御力は流石で、背中に隠れていれば全くダメージを受けることはなかった。
私もなにか遠距離魔法を習得して、背後からクラウスさんを援護できるようにならないとかなぁ……。うーん、じれったい!
私が少し退屈してきた時、私たちは森の中でも木の少ないだいぶ開けた場所に出た。
「ここがダンジョンのボスが出る場所のはずだ。――っと、噂をしていればお出ましだせ!」
――ブゥゥゥゥンッ!! ブゥゥゥゥンッ!!
一際大きな羽音がして、周囲の草葉が風でガサガサと揺れる。すごい風圧。ということはかなりの大物だ!
「お嬢ちゃん、出番だ!」
「はーい!」
私はクラウスさんの背中から飛び出して、杖を構えた。すると、真上の木の枝をバキバキと折りながら、巨大な黒い物体が降りてきた! 危ない!
「避けろっ!」
「うわぁぁぁっ!」
クラウスさんの声で私は咄嗟に横に跳ぶ。すると、さっきまで私がいたところに、なんと体長10メートルはあろうかという巨大なクワガタムシのようなモンスターが降り立っていた。
クワガタムシの真上には敵のHPを示す大きな三本の緑色のバーが出現し、その上にモンスターの名前が表示される。
――『アーマードスタッグ』
明らかにボス! みたいな感じの風格。黒光りするその装甲はとても厚そうで、クラウスさんの攻撃力ではダメージは与えられなそうだ。つまり私がやるしかない!
私は風でめくれ上がってしまったワンピースの裾(パンツが見えちゃうじゃん!)を左手で押さえると、右手でウィンドウを操作して魔法の発動準備に入る。
魔法欄の【ディストラクション】をタップして、コマンドの『発動』を選択すると、視界の上の方に水色のバーが出現した。と同時にメッセージが表示される。
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【ディストラクション】を詠唱中です……
発動可能まで60秒
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数字はどんどん減っていく、つまり60秒耐えればいいのね!
「いいかお嬢ちゃん! 敵はこちらで引き受ける! このゲームのデスペナルティーはデカいから、お嬢ちゃんはできるだけノーダメージで立ち回って自爆のダメージを【即死回避】で耐えるんだぞ!」
「なるほど! 了解です!」
さすがクラウスさん、私のスキルの相性をしっかりと把握している! 自爆しても【即死回避】があれば死なずに済むんだね!
私は力強く頷いた。
そうこうしているうちにカウントダウンはどんどん進んで残り50秒! ノーダメージで! 耐えてみせる!!
「ほら! こっちだぞこのうすのろ!」
――キァァァァァァッ!!
『アーマードスタッグ』がそんな耳障りな咆哮を上げて――盾を掲げて挑発するクラウスさんに突進していった。
お読みいただきありがとうございますぅぅ!!!(´;ω;`)
このご時世なんで暇ですよね! 少しでも憂鬱な気分が紛れたのなら幸いです!
頑張って更新しますのでどうぞ! ブクマとポイント評価をよろしくお願いいたします!m(_ _)m
(ノ゜ο゜)ノガンバルゾイッ!!




