表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

極論男シリーズ

極論男・14

作者: ルク穴禁

 ワシは菌が嫌いだ。何でも除菌除菌!


 65歳で定年を迎えたが、この年で歯周病にかかってない。ワシの自慢だ。これも除菌活動の賜物だろう。


 健康診断で医者にビフィズス菌を摂れと言われたが、どんな菌だろうと許すまじ。除菌除菌!

 納豆も食べろと言われたが、納豆は雑菌の塊。除菌除菌!

 キノコも良いと言われたが、これこそ、悪の枢軸!


 ワシは潔癖症ではない。ただのきれい好きだ。


 そんなワシに愛想を尽かせた嫁は家を出ていった。今流行りの熟年離婚というやつだ。子供はいない、というか作らなかった。他人と雑菌まみれの戯れなど出来なかった。


 除菌活動した方が長生き出来るのに馬鹿な元嫁だ。


 日本酒を一杯飲みながら…………しまった〜! 日本酒は麹菌ではないか! ワシに飲ませやがって! 許さん!




 ワシは悪魔に魂を売った。悪魔の名は納豆。


 そして酒蔵見学ツアーに参加して、目を盗み、酒樽に納豆を落としていく。


 麹菌は納豆菌に弱い、抹殺出来る。


 そして、ワシは警察に捕まり、裁判にかけられる。


 ワシは悪いことした覚えはない。除菌こそ正義!


 ワシに下った判決は1800万円の損害賠償――ふざけるな! 退職金が吹き飛んでしまう。まあ、払う気ないけど。


 数ヶ月後、差し押さえだと抜かして、スーツ姿の男達が家の中に雪崩れ込む。


 男達がワシの除菌七つ道具を足蹴にした怒りはピークに達する。


 次の瞬間、ワシは包丁を手に取り、1人の男の腰を刺す。


 そして、ワシは刑務所に入ってしまった。


 刑務所の独居房は汚い。除菌をしなくては。


 除菌こそ正義!




――いずれ誰しもが老害になる。どうせ老害になるなら、マトモな老害になろう――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 『目を盗み、酒樽に納豆を落としていく。』が妙に面白かったです。結構迷惑なご老人ですね……。 最後まで除菌のことしか考えていないところが良かったです。
[一言] 途中まではわからなくもないなって読んでて 日本酒飲んだとこで笑ったわ じじい人を刺す元気あるのが驚きだ なぜか酔生じじいを連想したのは内緒(笑)
2018/04/29 15:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ