第一話『依頼人は同級生』 1
此処は、とある街にあるレトロなアンティーク店『アルビス』。
其処へ一人の若い少女が、中へと入っていった。
年齢はまだ十代の後半というところだろうか…ブレザーを着ている。
「いらっしゃいませ」
店の中へ入ると、メイドらしき女性が、少女を出迎えた。
「あ…あの…」
少女は、おどおどしながら鞄からある物を出した。
「此れを見て来たんですけど…」
「ん?」
其れは、藁半紙で印刷されたチラシだった。
良く見ると、一番上には『依頼人募集!』と書かれていた。
「あ〜ぁ!」
メイドらしき女性は、手をポンッと叩くと、
「坊ちゃま!」
と、誰かを呼んだ。
恐らく、チラシをこの街にばら撒いた張本人だろう…
呼んで暫くし、
「何ですか…?アンナさん」
と言いながら、店の奥から一人の少年が出て来た。
(え?)
其の少年を見た瞬間、少女は固まる。
彼を見た事があるのだ。何処かで――
「久し振りの依頼人ですよ!隼人坊ちゃま!!」
「そうですか…依頼…人――!?」
少年も、少女を見て固まる。
そして――
「か、神楽坂さん!?如何して此処に!?」
「堤君こそ!如何して此処に居るのよ!?」
二人は、お互いを指差し、言い合った。
「あら?お二人ともお知り合いです?」
メイドらしき女性は二人に聞く。
『中学の時の同級生です!』
すると、二人はほぼ同時に言った。